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すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
106/155

105. 大陸軍


 夜営の陣で食事の用意をする。

 俺はせっせとパンに切れ目を入れて燻製肉と野菜、チーズをはさみ、サンドイッチを作っていた。

「ほら、アユミ、しっかり食え。」「はい! ありがとうございますフミオ様!」

「ほら、ヒナコ、肉多めにしておいたぞ。」「ダーリン☆ ありがとー」

「シェリーは野菜多めか?」「フミオ様! ありがとうございます!」

「レオル、ルル、ほら、肉たっぷりだ!」「師匠! いただきます!」「ししょー大好き!」


「どうした? レパーラ、こっち来い、ほら食え」

 薄切りにした燻製肉をたっぷり挟んで渡してやる。


「え? あ、ありがとうニャ、、」

 おそるおそるサンドイッチを受け取るレパーラ。

 じーっとサンドイッチを見つめたまま固まっている、ときどきゴクリとツバを飲んでいる。


「遠慮するな、早く食え。」

「! い、いただきますニャ!」

 かぶりつくレパーラ、一口食べて、、ポロポロ泣きながら二口めをほおばる。


「おいしいニャ、あたい、、こんなおいしいの初めてニャ、あたいだけ、い、いいのかニャ、、」

 やっぱりそういうことか、、こいつ、仲間に遠慮していたようだ。


「ああ、ほら、おかわりだ、遠慮するな。ベアダインの皆が、こういうものをお腹いっぱい食べることができるように、俺もがんばるから。」

「うう、ご主人様、おいしいニャ! おいしいニャ!」

「ほら、泣く暇あったら食え、お前の事だ、今までも仲間に遠慮して、ろくに食ってなかったんだろ? スープもうまいぞ。」

 スープの入ったマグカップを渡してやる。



「フミオ様、ちょっとお話が、、」

 アユミだ、まじめな顔で話しかけてきた。


「ああ、わかった。 ヒナコ、ちょっとみんなを頼む。」

「うん、わかった、ダーリン☆」



「で、どうしたんだ、アユミ」

「レパーラさんの事ですが、、すみません『力読み』させてもらいました。それで、職業なんですが、、」

「『盗賊』でも付いていたか? 別に構わんぞ。」

「いえ、、はい『盗賊』もありましたが、、それよりもレベルは低いですが『聖騎士』があります。」

「なんだと!」

 ううーーん、聖騎士、聖騎士、、どういう条件で出るんだ?

 俺は魔族倒した後で出たが、、まさかねぇ、、



「なあ、レパーラ」

「ニャに? ご主人様。」

「お前、魔族と戦ったことはあるか?」

「魔族? それは何ニャ?」


「うーん、説明が難しいな、、俺の時は浅黒い肌で、頭にこう、太い角が額から後頭部まで流れるようについてて、背中には蝙蝠のような翼があったな。」

「頭の左右に小さな巻き角のある、真っ黒い変な奴となら戦った事あるニャ。そいつ、ある日突然、隠れ村にやってきたニャ、人を押し倒しては胸に手を当ててたニャ。やられた人は息が止まって動かなくなったニャ。そいつ倒したらみんな息を吹き返して、あの時は本当に焦ったニャ。」


「……間違いない、、魔族だ、魂抜いてやがったな、、良く倒せたな。」

「あたい以外はそいつの相手にはなんにゃかったニャ。そいつ、素手であたいのナイフと打ち合ってたニャ、強かったけど、そいつの全身にナイフ10本根元まで突き刺して、なんとか倒したニャ。あたいも結構必死だったニャ。」

 ……なんつー壮絶な戦い方だ、、

「そうか、、すごいなお前。」



 翌朝、、

「よし! 帝国領へ向け、出発!」

「「おーー!」」

 よし、子供たちは今日も元気だ。レパーラもすっかりみんなと打ち解けた。

 特にルルなんて、馬車の中でレパーラに体をこすりつけるようにじゃれついている。



 やがて、国境の山が見えてきた。山の向こうからは、異様な熱気が伝わってくる。

「師匠、、」

「ああ、レオル、わかるか、、」

 俺の隣で騎乗しているレオルも、山の向こうの様子に気が付いたようだ。

 

 山を登り始め、峠へと差しかかると、帝国の小隊が待機していた。

「こちらはアルカナ帝国南方軍 第15師団 第34小隊、そちらはいずこの軍か?!」

 小隊長らしき者がこちらへと問いかける。


「こちらはゼノラウト王国テリクス軍、アルストア大陸軍に合流するために参上した!」

 ケビンが先頭で答えた。


「ヤマナ様はいらっしゃるか?」

「おう、いるぞ!」

 俺は馬を先頭に進めて答える。


「おお! まさしくヤマナ様!! お待ちしておりました!」

 小隊長が胸に手を当て、礼をする。


「連絡のための狼煙のろしを上げさせていただきます!」

 たき火に草を入れ、狼煙が上げられた。


 ウ”ォォォオオオオオオオオ!!!


 狼煙が上がった直後、山の向こうから地鳴りのような歓声が上がる。

 峠の頂上に登り、反対側を見下ろすと、、

 帝国側の草原を埋め尽くさんばかりの大軍勢がそこにいた。


「とんでもねぇな、、まったく。」

「フリード殿下は、ヤマナ様の到着を心待ちにしておられました。」

「殿下に来るって約束した覚え、無いんだけどな。」

「フリード殿下は信じておられましたよ。さ、早く殿下の元へお進みください。」



「うわあ! すっげぇ!!」

 俺の横に来たレオルが、眼下の軍勢を見て感嘆の声をあげる。

 大陸軍の数もものすごいが、10万もの軍勢が、一糸乱れず陣形を組んで整列している姿は圧巻であった。


 先鋒軍は矢じりのような形の鋒矢ほうしの陣、勇者ユウキだな、発せられるこの好戦的な気は。

 その後ろには右軍、左軍がこちらに対して翼を広げたような横に長い陣形を取っている。それぞれ2万ほどか。

 そして後方に2万の横陣、中央に1万ほどの方陣がある、これが本陣だろう。

 本当に10万そろえてきやがった。

 それにしてもなんという好戦的な陣だ、、3万の鋒矢の陣で突き崩し、4万の鶴翼の陣で包囲する、か、、


「アユミ、ちょっとおいで。」

「はい! フミオ様!」

 喜んで馬車から俺の馬に乗ってくるアユミ、もう慣れたもんだ。

 アユミを俺の前に座らせる。


「この陣をどう見る?」

「すごいです! さすがフミオさまの軍です! 天にまで登ろうかという士気、陣形も、、極めて攻撃的で破壊力があります!」

「この10万の軍に対して、3万で戦うなら、、どう破る?」

「!! ……そうですね、、先鋒の矢のような陣は危険です、かといって放置はできません、防御に特化した部隊か、捨て部隊をあて、まっすぐ引き込みます。直進は強そうですから、、ですが取って返す考えはなさそうなので、引き込んで足止めをして、、、」

「いや、話さなくていい、これを率いるならどう動かすか、敵ならどこを突いてくるか、油断なくシミュレーションしておいてくれ。いずれ必要になる。」

「はい! フミオ様!!」



 アユミを馬の前に乗せたまま、進んでいく。峠を下り、草原を進み、先鋒軍の前まで来た。


「よう! ユウキ! 元気か?」

「フミオさん! 久しぶりです!」

 緑色の髪の青年、勇者ユウキが出迎えてくれた。


「フミオさん、すごいですね、活躍は伝わっています。竜を殺し、一万の軍を一人で撃退し、戦艦を一撃で破壊し、トウセ ジウマの首もとったとか!」

「うーん、今の話のうち、4分の3は俺かな? でも一番苦戦した戦いはその中には無いな。」

「へえー! フミオさんも苦戦するような奴がいたんですか!」

「ああ、いたぞ! 敵にしておくには惜しいほどいい奴だったんでな、ダチになった。今はゼノラウトにいる。そのうち紹介するよ。」

「フミオさんのダチかぁ、、いいなぁ」

「お前、何言ってんだ? お前の事ダチだと思ってんのは俺だけか?」

「!! ああ! 俺たちはダチだ!」

「ったりめぇだろ! 『強敵と書いてマブダチと読む』ってやつだ、はっはっは!」

 ユウキと二人、馬を並べて先鋒軍の中を進んでいく。


「ところで、そちらのお嬢さんは? 娘さん? 闘技大会のパーティにもいたよね? こんにちは!」

 俺の前に座っているアユミに声をかける。

「アユミと申します、フミオ様のあいじ、」「ああ! 俺の娘みたいなものだ。」

「そうでしたか! 僕は帝国の勇者ユウキ、よろしく!」

「は、はい、よろしくお願いします。」


 …これ、アユミ、、見えないところで俺の太ももをつねるの、痛いからやめなさい、、




--

アユミちゃんは複雑なお年頃なのです。

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よろしければこちらもどうぞ。 え? 職業ですか? ガテン系ですけど、、
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