103. ヒョウ獣人のレパーラ
若い女盗賊との斬りあいが始まった。
ヒュバッ!
ヒュルルルルン!ヒュルン!
女盗賊は俺の斬撃を避け、両手に持った刃渡り30cmほどの三日月型のナイフを器用に回しながら斬りかかってくる。
上手いな、そして刀同士でまともに打ち合おうとしない。弟子どもが、手こずるわけだ。
ヒュッ、パン!
よし、隙をみて片方のナイフの刃を切りとばす。
「ちぃ! やるニャ!」
な、何だ? ネコ語? いや確かにネコ科の獣人っぽいが、、
女盗賊は折れたナイフの柄を俺に投げつけ、背中から新しいナイフを素早く出して構える。まさか背中の変な形の鎧みたいなの、全部ナイフか? 10本ぐらい持っているぞ、こいつ。
「うーーニャニャニャニャニャアー!」
回転の速度を上げて、上に下に斬りかかってくる!
「やるニャ!、おミャー!」
……三河弁? ネコ語? さっきまで普通の話し方だったのに、真剣な戦いになって地が出て来たか?
ヒュルン!
うおっ、回転しているうちの一本がいつの間にか女盗賊の手を離れて、俺の顔目掛けて飛んで来た!
すでに新たなナイフを抜き、それも回転させながら女盗賊が飛び込んでくる!
合計3本の回転する刃が正面、左右から襲いかかってくる!
スゥ、、、カカカッ!
『空間掌握』を発動していた俺は、高速回転するナイフの刃を感じ取り、それらを全て斬り落とした。
「うー! 何ニャ! そにょ白っちい刀は!!」
「し、白っちい?」
「そうニャ! 白っちくてヒョロそうなにょに、ニャンであたいのナイフがスパスパ切られるニャ!!」
パシッ!
え? フィオナが放電した? 怒ってる?
試しにスゥッと刃先を女盗賊に向けてみると、、
バシン!!
小さな雷が女盗賊を打った!
「あぢっ! ニャにするニャ! このクソ白っちいカタニャ! フーーッ!!」
女盗賊が毛を逆立てて威嚇する。
『……いい度胸じゃ、ニャーニャーうるさいドラ猫が、、』
「!! 喋ったニャ! このカタニャ!」
「これこれ、君たち喧嘩は、、」
バリバリバリ!!
あのーフィオナさん落ち着いて、、
「ふん! なまいきな剣だ!」
女盗賊が足で地面をひっかき、フィオナに土をかけた!
『この小娘!!!』
フィ、フィオナさん?!
バヂバヂバヂバヂイィィ!!!
フィオナが激怒する!! うわあぁ、こんな放電見たことないぞ、
あ、、俺の手からどんどん魔力を吸い上げてる、どんだけ吸う気だ?!
---振れ! あるじどの!
「へ?」
---振らんかぁ!!!
バヂッ!
あいたっ、八つ当たりされた!
もうしらん、
女盗賊に向かってフィオナを振る!
ズガァァァアアアアァァァァンンンン!!!
特大の稲妻が女盗賊を襲う!!
あ、やばいかも、、、
「ふんぎにゃぁぁあああああああああああああああああ!!」
おーーい生きているか? あ、息はしてる。
フィオナを納刀し、ヒールをかけてやる。
---ふん! そんなやつ、ほっとけばいいのじゃ。
しっかしこれは、、パンチパーマのヒョウ柄獣人の出来上がりだ、、
ヒョウ柄のパンチパーマ、時代の最先端だね、ナウいね。
盗賊を撃退し、北への旅を続ける。
「あにょー、、」
『盤面把握』で索敵したアユミが言うには、あと2kmほどで森を抜けるそうだ。
「ちょっとー、聞いてますかニャ?」
森を抜ければ山を登り、峠をこえれば帝国領だ。
「おっさーん、もしもしー」
フリード殿下に会うのも久しぶりだ。先ほど弟子として預かった親衛隊の1人が怪我をしてしまったが、傷口はヒールで無事くっついた。今は大事をとって馬車に乗せている。
「ちょっと! 聞くニャ!!」
「うるさい! 黙ってろ! この泥棒猫!」
「泥棒猫じゃニャイニャ!! ヒョウ獣人のレパーラにゃ!!」
「……で、何の用だ? レパーラ?」
「そろそろ下ろして欲しいニャ、頭に血がのぼるのニャー。」
「だ、め、だ」
今、レパーラは馬車の側面に逆さ大の字で頭を下にして縛られている。ほどくと、何をしでかすかわからない。
「そんニャー、お許しくださいニャー、ダンニャー、ヘッヘ。」
「だーれーが、ダンナだ」
「ヘッヘ、そこの凛々しいおじさま以外に誰がいらっしゃるんで?」
「……もう半日そうしてろ。」
「うニャー! そんニャー!」
この戦闘力、何かの役に立つかと思ったが、、さてどうしよう、、
考えのまとまらぬまま、逆さまに張り付けたレパーラを連れて北へと向かうのだった。




