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第132話 疑似魔力回路

評価、ブックマークありがとうございます。励みになります(*^-^*)

「「「「「疑似魔力回路?」」」」」


 大輝達がユニゾンで言った言葉は、フランが唐突に言い出した言葉だ。セレネやエミュの反応から見てもどうやら知らないようだ。それに、フランは俺に『疑似魔力回路を作ってもらう』と言っていた。一体、何をさせる気なのだろうか。なんだか嫌な予感がするが......


「疑似魔力回路とは―――――――――」


「簡単に言えば、魔力が使えない人にも魔力が使えるようにするということなの」


「あー!わらわのせっかくのシーンを奪いおって!」


「ドリィ、詳しい説明を頼む」


 大輝は説明したがっているフランの口を手で押さえるとそのままホールドした。すると、フランは最初は大輝の行動に起こっていたが、大輝の膝の上に座る状況に気が付くと満足そうな顔で大人しくしだす。そんなフランの頭に大輝は手を置きながらドリィを見た。一方、ドリィは「選択を誤ったか」と内心で悔しそうにしながら、説明を始める。


「はいなの!まず疑似魔力回路は、先ほど言った通りに生まれつき魔力を持たない人にも魔力を持たせることなの。ただ、本来持つ魔力回路とは違って、その人に注がれた魔力は自動的に回復することはないの」


「それじゃあ、一度魔力を持ったら使い切りってことか?」


「そうなの。そして、もう一つデメリットとして持てる魔力には限界点が存在しないの」


「限界点が存在しないのに、それはデメリットとして扱われるのか?......もしかしなくても、扱える魔力量に問題があるんだよな?」


「香蓮さん達のような本来の魔力回路を持つ人達は、限界に達すると蓄えきれない余分な魔力は空気中に放出されていくの。でも、疑似魔力回路を持つ人は、その人が許容できる魔力量を超えて蓄え続けられてしまうの」


「......それってどうなるんだ?」


「おそらくマスターの想像通りなの。許容量を超えた魔力はやがてその所持者の肉体を内側から破壊していく。けれど、人の体はある程度の柔軟性があるの。だから、すぐに破壊するわけじゃないけど、それでも肉体の限界がやってくるの。そこまで来てしまえば、もうそこでドカ―――――ンなの」


 「ですよねー」と大輝は当然の如く思った。なんかこの手の話はどこかの漫画でも見たことあるし、予想出来ることでもあった。だがそれでも、それしか選択肢しかなかったとしても、そんな危険なことをドヤ顔で言ってきたフランには少し不満があるなー。だから、私怨で頬をつねらせてもらう。


「いふぁい、いふぁいのじゃ、ふぁるじふぁま(痛い、痛いのじゃ、主様)」


「それじゃあ、やろうぜ。もう道は残ってないみたいだし」


「じゃがの、主様。言ってはなんだが、疑似魔力回路はとても辛いのじゃ。それに、主様の許容範囲での魔力じゃすぐに底をついてしまうし、俊哉を溜めるには足らんのじゃ」


「どういうことだ?」


「まず疑似魔力回路は、もともとその人に必ず存在している魔力回路に他人の魔力を流して、その魔力を己が物として扱うことじゃ。じゃが、魔力回路にはその人にあった魔力の型があるのじゃ。いわば、血液のようなものじゃの。そして、他人の合わない型の魔力を流し込めば、当然体が合わないと拒絶反応を起こす。それが原因なのじゃ」


「じゃあ、合う型の魔力を探すことから始めなきゃならないということか?」


「残念ながら、それは無理じゃ。一応、リスクを伴わない方法もある。空気中にある魔素をかき集めて、それを流し込んで魔力に変換させる。しかし、それは途方もない時間と労力がかかる。今の現状としては無理じゃ。それから、探すこともかなわんのじゃ。先ほどたとえで『血液のようなもの』と言ったが、魔力は人によって千差万別。合うことはない」


「それじゃあ、要するに俺は拒絶反応に耐えながら、魔力を体が壊れる寸前まで流し込まれるのを待つということか?」


「そういうことじゃ」


 俺は一つ深呼吸をした。それは、やらなければならないという覚悟を決めるため。とはいえ、現在も尚恐怖は残っている。拒絶反応となれば、激しい痛みを伴うはず。そして、どれほどで終了するかわからないということ。それに体に限界まで魔力が注ぎ込まれ、少しでも量を違えたなら、すぐさまお陀仏になること。どう考えても恐怖だろう。


「大輝、時間はかけさせない。そして、大輝のさじ加減は私が一番分かってる。だから、信じなさい」


「香蓮......」


「いやいや、一番わかってるのは私だよ、大ちゃん。この世界に来た時からの付き合いだもんね」


「......エミュ?」


「何言ってるのよ。時間は問題じゃないわ。一番、バカ大輝のことを考えて動いてきた私に利があるわ」


「おいおい、セレネ?」


「ちょーと待ったーですよ!私のことをお忘れですよ、皆様。大輝様のことを一番に思ってきた私がすべきことです」


「なんでこのタイミングでミリアが!?」


 香蓮、エミュ、セレネが次々に「一番」という言葉を強調してきたかと思うと突如としてミリアが現れた。タイミング的にはバッチリ過ぎて逆に怖いぐらいだ。というより、何故この場所に来たのか......もしかして、このタイミングで神託なのか!?


「「「「で、誰にするの?」」」」


「......全員でやったらいいのでは?」


「「「「へたれ」」」」


 大輝が一人突然のミリアの登場について考えているといきなり四人から「一番」答えずらい質問がやって来た。そして、当然のヘタレ大輝は今も四人に対して真剣にお悩み中なので、曖昧にしか答えることが出来ない。そして、答えた言葉に痛烈な返し。もうここは我慢するしかないのだ。


「それじゃあ、準備するかじゃ。ドリィよ、手順は覚えておるか?」


「もちろんなの。むしろ、これ系は専門分野なの」


 そう二人で確認し合うとせこせこと準備を始めた。そして、ドリィが円をチョークで描いて、その円の中に五芒星をさらに描いていく。。そして、五芒星の端々に魔石を一つずつ置いていく。そして、ドリィが大輝の指先を掴むとその先を少し傷つけて、魔法陣に血を垂らしていく。


「おい、ドリィ。必要なら行ってくれよ。突然何をしだすかと思ったぞ」


「これは必要なことだから仕方ないの。それにこれは罰でもあるの」


「?」


 大輝はドリィが何を言っているかわからなかったが、促されるままに上着を脱がされ、その魔法陣の上へと四つん這いにされる。そして、その背中に香蓮達が恥ずかしそうになしがらも触れていく。


「始めるのじゃ」


「行くわよ、大輝」


「ぐっ!ああああああああ!」


 香蓮達から魔力が流された瞬間、大輝は生きたまま皮膚を剥がされるような激痛に襲われた。そのあまりの痛みに大輝は叫ぶ。その声は香蓮達にとっても想像以上だったのか、全員が魔力を流すことを止めてしまった。すると、大輝は思わず床に息を絶え絶えにしながら、倒れ込む。


「何をしておるのじゃ、止めるでない」


「けど、今の大輝の叫びはあまりに異常よ!このままじゃ、大輝の心が壊れかねない」


「私達が何も考えずに提案したと思っているの?どれほどの痛みかはちゃんと知ってるの。なぜなら、先ほど置いた魔石にはフランの魔力が、マスターが流した血にはドリィの魔力が込めてあるの。そして、それは主様の痛みがそれらの媒体を通じて、私達にも痛みが伝わってくるの。そして、私達はこれでも主様の痛みを軽減させてるの」


「「「「!!!」」」」


「わらわ達は人ではない。じゃから、痛みというものを感じてもどうとでもないのじゃ。だから、反応がない。けど、主様は違う。もし、わらわ達が関与しなかったら秒で持たないぞ」


「「「「......」」」」


「主様よ、続けるか?」


「はあはあはあ......もちろん!俺は......はあはあ......俊哉を助けると決めたからな」


「......さすがマスターなの。それでも心配なら、茉莉さんの精神魔法をかけたらいいと思うの」


「やろうよ、大ちゃんがそう言ってる」


「わかったわ。信じてるわよ、大輝」


「根性みせなさい」


「頑張ってください」


「任せろ!」


 そして、再び香蓮達は魔力を流し込む。その瞬間、再び大輝は怨嗟のような声を上げ始めた。香蓮達は苦しそうな顔をしながらも魔力を流し続け、茉莉は大輝へと精神魔法をかけていく。


「あああああああ!」


 大輝は痛みに額から汗が噴き出てきた。それも、すぐさま滴るほどに。大輝は拳を強く握り、その痛みに堪えていく。どんどん強く強く、拳を握っていく。それによって魔法陣に大輝の拳から流れた血が広がり始め、次第に魔法陣を隠すように覆い始めた。


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!」


「主様の許容限界に達したようじゃな」


「マスターこれからなの!頑張ってなの!」


 大輝の叫びはさらに酷いものになっていった。それは先ほどまでなんとか動かずに堪えれていたことが出来なくなるぐらい。思わず暴れようとする大輝を止めるように全員が大輝の動きを封じた。だが、大輝は悶え苦しむように暴れる。


「来た、そろそろじゃ!」


 フランの言葉を全員が理解した。それは大輝の体に赤いラインが走り始めたことだ。フランが言うには多すぎる魔力が内側から透けて見えるものらしい。そして、そのラインは手から現れると次第に腕、肩、首とまでやって来て、ついに顎下から顔までに到達した。


「カウントダウンなの。残り5,4――――――――」


「大輝、頑張れ!」


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!」


「大ちゃん、あと少しだから!」


「3、2――――――――」


「バカ大輝、耐えなさい!」


「大輝様、信じてます!」


「1、切って!」


 ドリィの言葉に全員が同時に反応した。すると大輝は、脱力するように前のめりに倒れた。その顔には赤いラインが走っていた。

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