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第131話 そばにいた見えない仲間

評価、ブックマークありがとうございます。励みになります(*^-^*)

 大輝の精神的復活により、大輝達が住む家は明るさが戻ってきた。それは大輝の復活によって、香蓮達女性陣の精神的回復がなされたためである。しかし、茉莉は大輝から聞かされた俊哉の伝言によって、内心煮えくり返るような怒りを抱えている。そしyて、そのことを知っている大輝は内心ビビっている。


「茉莉、どうかした?」


「んん~、何も~。それよりも、話を始めようか~」


 「あ、これ俊哉死んだな」と大輝は思わず思った。まあ、それはそれとして、俊哉に関して話を始めなければならないのは事実。だからこそ、今自分達は机を囲っている。それは俊哉救出に対する方針を話し合うためだ。だが、ほとんど情報がないというのが痛いところ......


「まあ、まずは簡単に俺と俊哉に起こった経緯を話すことから始めるか......と思うんだけどどう?」


「そうね。私達はその時のやり取りをちゃんと知っているわけじゃない。あくまで憶測で考えていただけだものね」


「それで、どこから話すの?あんたが刺された時から?」


「まあ、そうなるな。詳しく話すとなるとそこからになる。でも、実際は前から様子がおかしくなっていた時はあったんだ。あいつと一緒に温泉に入った時、なぜかあいつは右腕に包帯を巻いたままだったんだ。そのことを疑問に思っていたんだがな。だが、気にして欲しくなさそうにしていたから、聞かなかったんだ。それが間違いだったってのは、今更なんだろうけどな」


「そんなことを言ったら私もよ。鷹岡君がキマイラの攻撃を防ごうとした時、なぜか鷹岡君は体を硬直させたのよ。鷹岡君は恐怖で怯えていた感じじゃなかったし、今考えるとそれが呪いの兆候だったのかもしれないわね」


「今更そんなことを言ってもしょうがないでしょ」


「うん、そうだね。もう助けに行くと決めた以上は、受け止めて前を向かないと」


「......だな。すまん、気分を暗くしちまった。それじゃあ、今から話すぞ」


 そう言って、俺はその時あった俊哉とのやり取りを話し始めた。軽口の内容も全て、覚えている限りのことを。そのことで、一番堪えていたのは、やはり茉莉だった。俺はそのことが気になったが、一先ずそのことは置いといた。


「なるほどね。そう考えると呪いという線はあながち外れてもいないようね。ただ、その解呪方法がわからない」


「大ちゃんを刺した短剣にあった邪気も未だ解析結果がでていなししね。敵側がそれを想定していたということもあるかもしれない」


「でもそう考えると~、大ちゃんに呪いが移ってないのはおかしいんじゃない~?だって~、俊哉君を使ってまで月島君を殺したかったのはさ~、つまりは勇者を確実に殺したかったってことでしょ~?」


「そうね。そうであるならば、短剣で心臓を狙って一突きというのは不確定要素がまだ存在しているわね。私達の世界ではそれで十分だけど、この世界には魔法がある。だとすると、その短剣に存在していた呪いも流し込めば、万が一生きられても確実に殺せるかもしれないし」


 大輝は「すげー物騒なことを言い合ってるなー」と思いながら、その時の状況を振り返った。今思い出すだけでも左胸の傷が痛む。この世界が魔法あるきの世界じゃなかったら、確実に死んでいただろう。まあ、魔力がない今の自分はもう後がないけど........ってあれ?何か引っかかるぞ?


「なあ、その短剣は本当に効果がなかったのか?」


「え、だって大輝は実際にいきているわけだし......あ、効果はあったわ!」


「あ、バカ大輝の魔力がなくなってるわね!」


「でも、だとしたら不謹慎な話になるけど、大ちゃんはどうして生きてるんだろうね?」


「ん?どういうこと?」


「月島君の治療は私が担当したんだけど~、私が使う回復魔法はね~、あくまで魔法なんだよ~。何が言いたいかと言うとね~、そもそも魔法で干渉できるのは相手に宿る魔力のみでね~、魔法を収束させて物体を作り出したり~、魔法で操った物体でしか剣とかの物体で干渉できないんだよね~」


「それじゃあ、俺が茉莉の回復魔法で動けるまで回復しているのはおかしいってことか?」


「そうなるんだよ~」


 俺達は茉莉の言葉に全員にはてなマークが浮かんだ。それは仕方ない。なぜなら、明らかな矛盾が生じているからだ。大輝を刺した短剣には、刺した相手の魔力を無くすという効果が含まれていた。そして、その効果は確かに発動していて、現在も魔力は使えない。


 しかし、茉莉の回復魔法によって、大輝の傷が塞がったということは、少なくとも大輝の体に魔力が存在していたという証明になる。となれば、一体その魔力はどこからやって来たのか。少なくとも外部からでしかないが、大輝の傍には誰もいなかったはずだ。


「お主達よ、一つ勘違いしてることがあるぞ。あの場にはまだ人が.....いや、人ではないが、ちゃんと仲間がいた。まあ、見えないのだから仕方ないとは思うんじゃがの」


「ここで、クイズなの。俊哉さんは一体何者なのかをよく考えて欲しいの。そして、どんな力を使えていたかを考えてなの」


「俊哉が何者?」


 大輝はその言葉に頭をひねる。俊哉は俊哉だ。分類学上で言えば、ヒト科.....って、さすがにこれは違うよな。だとしたら、一体何だと言うのか。どんな力を使えていたか......俊哉は精霊魔法と光魔法が使えて、自分よりも勇者らしい魔法を有していて......あ!


 そして、大輝が気づいたことを言おうとした瞬間、先に答えたのは茉莉であった。


「精霊~!」


「正解なのじゃ」


「正解なの」


「精霊はわらわ達と同じように魔力のパスをつなぐことで存在している。そうしなければ、わらわ達とは違って現世におられんからの」


「おそらくは俊哉さんが呪いに染まった時に、魔力のパスが強制的に切られて、不安定な状態になったの。そして、一時的な依り代として、マスターに魔力パスを通した」


「それが、俺が回復できた理由になるのか?」


「それは理由にならないのじゃ。まあ、これは別の可能性を作り出したから、ファインプレーとはいえるじゃがの。まあ、それは今は置いておいて、主様も魔力を失った時、その精霊は自らを現世に残すために、魔力に姿を変えたのじゃ」


「魔力に?」


 大輝達は思わずフランの言葉に反応した。大輝、香蓮、茉莉の転移組が知らないのは当然であるが、エミュとセレネが知らないのもまた当然であった。それは、種族的観点から。精霊というのは、人族とエルフにしか懐かない。それとは別だが、魔族と人族は長年敵対関係だ。その相手に出来る限り情報は漏らさない。故に、まあ族であるセレネは精霊に関してほとんど無知。


 また、竜人族は基本的にどの種族ともかかわらない。ほとんど全てをその種族の中で済ませる。物好きしか他の種族とかかわらず、もとより箱入り娘だったエミュはそのことを知る由もない。故に知らないのは当然。


 そして、その疑問にドリィが答えた。


「精霊はそもそも非実体の魔力の集合体なの。それで、現世にいる時は魔力の状態でないといられないの。そして、その体を維持するにも魔力が必要。だから、自身の魔力と適合者の魔力をコネクトする必要があるの。でも、それが出来ない場合は魔力となって消えていく」


「......なあ、それってまさか、俺の体に魔力となって消えたわけじゃないよな?」


 大輝はどことなく冷汗をかいた。それは精霊という魔力体を取り込んだことはつまり、間接的にも殺してしまったことにならないかということ。そうだとしたら、故意でも無くても心にダメージはくる。


「まあ、結論から言えばそうなるのじゃ」


「そうか.....」


「そう深く考えなさるな、主様。確かに魔力となった精霊は、主様の体に取り込まれた。じゃがな、そもそも精霊に死という概念は存在しない。この世界に魔法という形で霧散した魔力の一部は、精霊の世界によって精霊として再構築される。じゃから、死んではおらん。姿形を変えただけじゃ」


「そっか」


「話を戻すとな、主様に取り込まれた聖霊は魔力となって、主様の体に存在し、茉莉の回復魔法回復魔法によって、その魔力は消費されたのじゃ。逆に言えば、精霊がそうなってくれなければ、主様はこの場にはおらぬ。じゃから、主様は悲観するよりも感謝するべきじゃ」


「そうだな」


 大輝はフランのいうことが最もだと感じた。そして、今からでも命の恩人である聖霊を空想して感謝した。すると、フランは言葉を続けた。


「そしてじゃな、その精霊は主様に一時的にでも魔力をコネクトした形跡がある。それは主様の現状を打破できる可能性を秘めている。これはもしかしたら、俊哉にコネクトしていた精霊のねがいじゃったかもな」


「現状を打破?それって、魔法が使えるようになると言うのか?」


「そうじゃ。主様には『疑似魔力回路』を作ってもらう」

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