第124話 姉妹
もうすぐこの章の終わりが近づいてる早い......
評価、ブックマークありがとうございます。励みになります(*´▽`*)
「ん?あれ?......ここは?」
「目覚めましたか?」
大輝は気が付くと大聖堂へといた。そして、なぜかミリアに膝枕をされている。そこから見える景色は絶景と言ってもいいかもしれない。なぜなら、目に映るは美少女ミリアの優しい笑み。それから、その頬をほんのりと赤く染めている。しかし、その光景の難点を挙げるとすれば、こっちが思わずドキッとすることぐらいか。
「どうしました?顔が赤いですけど」
「それはこっちのセリフであるんだが?」
「それは大輝様をこうしているから当然ですよ?」
「......何があったんだ?」
大輝は思わずミリアに聞いた。それは依然とあまりにもミリアの対応が違うからだ。なんというか固さがなくなった感じだ。笑みも格段に柔らかくなった。これは確実に何かあったと言うべき案件だろう。それに、自分が眠っていた間のことも気になる。
すると、ミリアは大輝の希望を叶えるようにそれまでの経緯を話し始めた。
―――――――数時間前
カオスとグラムが和解するとグラムが作り出したキマイラの魔物からは多くの取り込んだ魂が解放された。そして、その中にはソワナの魂も存在していた。それから、それらの魂は吸い寄せられるように聖霊国へと向かっていった。
ソワナは自我を取り戻すとすぐにミリアを探した。居場所はなんとなくわかる。大聖堂だ。そして、大聖堂の扉をミリア会いたさに思いっきり開けた。
「ミリア!」
「お、お姉ちゃん!?」
「あの方は先代の聖女様じゃ!?」
「まさかソワナ様までこの国に舞い降りて来ていたなんて......」
「死ぬ前にもう一度ソワナ様の姿を拝めるなんて......」
ソワナが突然現れたことと扉が思いっきり開かれたことに二重の意味で驚いたミリアは思わず思考を停止させた。また、ミリアとともにその場にいた多くの民衆もソワナの存在に驚いていた。また、涙を流すものの多数見られた。
ソワナは今もこうしてこんなに慕われていたことに嬉しく感じながらも、ミリアのもとへと向かった。そして、ミリアの寂しさや悲しさを拭うかのようにミリアに思いっきり抱きついた。その抱きつきはミリアを豊満な胸へと沈み込ませた。
「ミリア、ごめんね。あんな姿を見せてしまって。こんなんじゃ死んでるのに死にきれないわ!」
「ふぉ、ふぉふぇふぁん、ふ、ふるふぃい(お、お姉ちゃん、く、苦しい)」
ミリアは思わず言葉通りの苦しさを見せるようにソワナの肩をタップした。だが、ソワナは罪悪感が募ってなのかミリアの行動に気付いていない。なので、仕方なくその肩を殴ることにした。すると、さすがに痛みでソワナは我に返った。
「痛いよ、ミリア」
「痛い前にこっちは苦しかったんです!......いろいろな意味で」
「......そうね。死んでも尚迷惑かける姉でごめんね」
「別にそこまで気にしてませんよ」
ミリアは少し拗ねたように言いつつも、その顔は姉が返ってきたことの喜びに溢れていた。だが、妙な恥ずかしさのせいで思ったことが言えない。本当は「戻って来てくれて嬉しい」とか「寂しかった」とか口に出して言いたい。でも、姉妹という関係と周囲に人がいるという状況がその行動を難しくさせた。
だが、ソワナはそんなことを関係なしとばかりに話しかけてくる。
「やっぱり、ミリアと話してるのが1番楽しいわ。これはだけはどうしようもなくそう思うの」
「私だってそうですよ。だから、こうして今まであったことを話してきたじゃないですか」
「そうね。だからこそ、より思うのね。ミリアに苦労をかけてしまったってね。」
「それは仕方ないじゃないですか!回復魔法でも進行を遅らせることしか出来ない病気なんですから!......だから、私はずっと前からいずれ別れる日が来るんじゃないかと覚悟していました。そして、その覚悟があったおかげでこうしていられるんです」
ミリアはそうは言いつつも唇を噛み締めるように口を絞った。その表情をソワナはまだ伝えられない思いがあるんじゃないかと思った。それは姉としての勘。ずっとそばで観てきたらかこそ分かること。
だから、そっとソワナはミリアの頭を撫で始める。ミリアはその事に驚きつつも、抵抗の意志をあまり見せることは無かった。そして、ソワナはそんなミリアの様子を見てもう少しだと感じた。
「ミリア、私には分かるわ。ミリアが嘘をついてる事ぐらい。だって、ミリアのお姉さんだもの。分からなきゃ、恥ずかしいぐらいだわ」
「......私のことをそんなに知っていられてもこまるんですが」
「そんな拗ねたような顔をしないの。可愛い顔がさらに可愛くなっちゃうわよ」
「もー!」
ミリアはこんな状況になっても笑顔を絶やさないソワナに、ミリアは段々と心のタカが外れ、感情表現がよりはっきり顔に現れるようになった。そのことにソワナは嬉しさを滲ませた笑みを見せた。
そして、ここでミリアの弱った心を破壊するように、ミリアを再びそっと抱きしめた。
「ミリア、我慢はいけないわ。それは、聖女としてあなたがよく言っていることのはずよ。それをあなたが出来なくてどうするの?さあ、遠慮しなくていいわ。できる限りの思いを伝えて」
「お姉ちゃん......」
「私の可愛い妹のミリア、どうかその心の内の思いを私に聞かせて」
ソワナがそう言うとミリアはそっと肩を震わせた。そして、顔を隠すようにソワナの肩に額を押し付け、耐えるように服を掴んだ。それから、ポツリポツリと言葉を伝えていく。
「私はお姉ちゃんがいなくなった時はずっとお姉ちゃんを恨んでました。私と一緒にこの国を良くしていこうという都合のいい希望を言っておきながら、私に託してそばからいなくなってしまうことに」
「......そうなのね」
「そして、この時ばかりは女神様を憎みました。どうして、お姉ちゃんが病気にならないといけないのか。その事がたまらなく憎かったんです」
「......ありがとう」
「でも、結局はいつまでもそうしてはいけないと思いました。私はお姉ちゃんが言った言葉を叶えるために、天国で見ているだろうお姉ちゃんに見せつけるために、どんな苦労も耐え抜きました。そうして、出来た覚悟でもあるのです。なのに、なのに......」
ミリアはその時初めて顔を上げた。その顔は涙で溢れていた。どうしようもなく、止められようもなく、湧き出てくる。悲しさが、苦しさが、心を締めつけ、喜びが、愛おしさが、涙の量を増幅させる。
「私はどうしてこんなに辛いんでしょうか!」
「ありがとう、ミリア。こんなにも私のことを思ってくれて。私はきっと世界一の幸せ者だわ。だって、こんなにも妹から愛されているんですもの」
「お"姉"ち"ゃん"!」
「ミリア」
ミリアはそこから子供のように泣きじゃくった。仕方ないのだ。こんなにも溢れてくる思いは、自分でも止められようはない。
ソワナがいなかった寂しさや悲しさ、苦しさはもちろんある。だが、ソワナに再び会えたことでそんな気持ちは吹き飛んだ。結局のところ、嬉しいのだ。どうしようもないほど、温かい気持ちが膨らんでいくのだ。
だから、こそミリアの流した涙は温かかった。その涙はミリアの頬を伝って、肩へと落ちていく。その箇所からミリアの切実な思いが心に響いていくようだった。
すると、段々とソワナも涙が溢れてきた。気持ちが共鳴していくように涙を流す。もうそばにいることが出来ないという寂しさが、ミリアを1人にしてしまうという悲しさが、ずっとソワナの中で存在していた。
だが、ふとしたきっかけで、もとの場所に戻ってきて、こうしまたミリアと再会することが出来た。そのきっかけが悪いことだったとはいえ、今はただミリアに会えたことを喜んでいる。
その再会の嬉しさが、ミリアの涙によって爆発した。もう今は、今だけはこの気持ちで満たしてもいいかもしれない。もう二度と怒りえないことなのだから。
そんな、2人の聖女の姿を周りの人達も同情するかのように涙を流した。そして、中には拝む人の姿もあった。それだけ2人の存在は、人々にとって幸せであり、安寧であり、この国の象徴だったのだ。
そして、2人はしばらく泣きあった後、ソワナは優しい笑みでミリアを見た。
「ミリア、そろそろ時間みたい。あの時は魔法によってこの地に縛りつけられていたけど、もうないみたい。ここまで入れたのは、女神様が与えたロスタイムかもね」
「そうかもしれないですね。もう他に姿は見えませんから」
ミリアはそう言って当たりを見回す。実はこの場には民衆のほかに避難してきた幽霊達の姿もあったのだが、今はソワナだけを残して見られなくなった。なので、おそらくはそうなのだろうとミリア自身も理解していた。
そして、それがソワナにも来るということを。
ソワナの体は段々と透けていく。そして、足元から粒子状の光が天へと登っていく。
「ミリア、今までありがとう。そして、これからもこの国をよろしくね」
「任せてください!......だから、安らかな眠りを......お姉ちゃん」
そして、ソワナは姿を消して、ミリアは祈るように手を合わせた。
良かったら評価、ブックマークお願いします(≧▽≦)




