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好奇心で異世界への魔法陣に飛び込んだら青春を謳歌しました!  作者: 夜月紅輝
第8章 いつも気がつく時には思い足らず
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第122話 生み出されし怪物

「いせ春」あと何話続くんでしょうかね......(書いてると意外と話数伸びてわからなくなってくる)


評価、ブックマークありがとうございます。励みになります(≧▽≦)

「ガア"ア"ア"ア"ア"ア"!」


「うるさい!」


 エミュはカオスとグラムのもとからキマイラを引き離すと叫び声にイラ立ちながら横っ腹を思いっきり切り裂いた。だが、キマイラの胴体には竜の力を持ったとしても傷一つつけることが出来なかった。そのことにエミュは思わず目を見開く。すると、キマイラの尻尾の蛇の頭がエミュの腕に噛みついた。


「うぅ!」


「エミュを放しなさい!」


「無視してると痛い目合うぜ!」


 香蓮と俊哉がそのキマイラへ向かって行くと一気に斬撃を放った。すると、その斬撃はそれぞれキマイラの前足を切り裂いていくが、やはり傷一つつけることも出来ない。その瞬間、キマイラは前足を上げると地面へと叩きつけた。その影響で、香蓮と俊哉は一時的に行動を抑制される。


「ガア"ア"!」


「かはっ!」


「うふぉ!」


 すると、キマイラは背中にある巨大な翼を香蓮と俊哉に向かって大きくはためかせるとそれで作り出した風の質量弾というべきものを放った。その風の質量弾は二人を簡単に吹き飛ばすと近くの木へと叩きつけた。その衝撃で二人は強制的に肺の空気を外へと出された。


「そんだけの図体じゃ、影も大きいわよね......闇の捕食者(ダークサクリファイス)!」


「レオちゃん、行くよ......破魔の矢(イビルブレイク)!」


「ガウッ!」


 セレネは羽を出して大きく上空へと飛び出すとキマイラの陰から巨大な影の生物の顎を作り出した。そして、そのまま横っ腹をかみ砕くように閉じようとするが、閉じきる前にその顎はキマイラの固い皮膚によって止められてしまう。


 セレネのこの魔法は刺殺能力としてはこのメンバーの中で一番の攻撃力を誇る。しかし、その攻撃が効かないとなると他にどこを狙えばいいというのか。するとその時、茉莉が放った魔力の矢がキマイラの胴体に向かわず、その尻尾の方へと向かった。また、レオ(大)の斬撃もそうである。そして、その矢と斬撃は尻尾の中間部へと直撃した。


「ガア"ア"ア"ア"ア"!」


 その時、初めてキマイラが痛がるような声を上げた。そして、その尻尾の先にある蛇の頭もキマイラ本体と共鳴するようにシャアアアアという声を上げた。それから、エミュの腕に噛みついてからずっと放さなかった口を開いた。


「お返し!」


 エミュは腕から離れた蛇の頭を掴むと今度はこちらから蛇の頭を掴み、尻尾へと噛みついた。それによって、キマイラは痛みに暴れ出す。そしてすぐに、エミュの方へと姿勢を向けた。それから、大きな口を開くと思いっきり衝撃波を放った。


「がはっ!」


 その衝撃波を避けようとエミュは動き出すが、想像以上にその衝撃波の有効範囲は広く、エミュはその範囲内で衝撃波に直撃した。それはエミュを内部から揺さぶる......いや、殴るような感じで攻撃を与えていった。その影響かエミュは思わず吐血する。


 その光景を苦虫を噛み潰したような顔で見ていた香蓮と俊哉は痛みを堪えながら立ち上がると二人して同時に言葉を投げかけた。


「話があるんだけど.....」


「話があるんだが......」


「内容は?」


「ちょっくら合わせ技的なものを試してみたくてな」


「奇遇ね。あの魔物の皮膚に関してずっと考えていたけど、おそらく全体的に攻撃を与えるような攻撃は効き目が薄い......というより、もはや効かないと言った方が早いわね」


「なら、ある個所に一点集中攻撃はどうなるかってことだな?あの皮膚だって絶対に壊せないはずじゃないはずだ。一点を集中的に狙いさえすれば、必ず倒す方法が見つかるはずだ」


「だとすると、まずは尻尾で試してみるしかないわね。初めから狙い過ぎれば、こちらの行動もあの魔物にバレてしまうし」


「だな。それにあの尻尾は厄介そうだ。早めに切り落としていくに限る。で、その次は翼で、それを繰り返して確実に相手の体力を削っていく」


「そうすると、刹那の抜刀かしら」


「俺は砲撃といった感じだな」


 香蓮と俊哉はそれぞれ刀と剣を構えた。香蓮は刀を一度しまい、抜刀できるように足を大きく開き、俊哉は剣先をキマイラに向けるように上段に構えた。そして、互いに魔力を高め、意識を集中させていく。


 それから、二人は同時に動いた。


「刹那の型......雷麟氷絶!」


「焼き尽くせ......太陽波動(サンライズ)!」


 香蓮は一歩踏み乱すと早すぎて逆に残像が出来るような抜刀をして雷を纏わせた氷の麒麟を作り出し、俊哉はその剣先から周囲一帯を照らし熱を帯びた光の収束を、前に突き出すとともに一気に放出した。そして、その二つ技は途中で融合し、周囲を照らしその光で草原を焼きながらも雷を纏わせた氷の麒麟が、キマイラの尻尾へと俊足で駆け抜けていった。


「ガア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!」


 キマイラはその眩い光量を放つ麒麟の存在に気付くとその攻撃を避けようと動いた。だが、それをエミュとセレネがさせなかった。エミュは地面を這いつくばるようにしながらも、その片手でキマイラの蛇の首根っこを掴み、セレネはキマイラの影を大きく活用しながら巨大な六本の腕を作り出した。その腕のうち四本はそれぞれの足に絡みつき関節を固定して、残りの日本は翼へと絡みついた。


 そのせいで、キマイラは動くことも、跳ぶことも叶わない。そして、香蓮と俊哉の融合技がキマイラの尻尾を容赦なく切り裂いた。また、切られた尻尾は麒麟の放つ光の熱で焼けるとすぐに麒麟の胴体で冷やされたため再生できないほど崩れ落ちた。


 その痛みはキマイラを激しく吠えさせた。その痛みでキマイラは悶え苦しむ。そしてしばらくすると、キマイラは怒ったように地面をバンバンと叩き始めた。その力はセレネの影の拘束を突き破るほど。


「ガア"ア"ア"ア"ア"!」


「不味い!全員避難――――――――――――」


 キマイラは口を開くと大きく息を吸い込んで、大空へと飛び出した。そして、地上にいる香蓮達に火炎を放射した。俊哉はその危険にいち早く気づくと周囲に声を呼び掛けながら、自身は周囲に結界を張ろうと魔力を集中させた。


 その時、俊哉の体に激しい痛みを伴った痺れが全身を駆け巡った。そのせいで、手に力が入らず剣を落とす。近くにいた香蓮はそんな俊哉の異常性に気付いたが、その時にはもう全身が灼熱に襲われ始めていた。


 「このままでは全員が死ぬ」と香蓮がそう思った時、エミュがセレネ、茉莉、レオ(大)を抱え込んで、香蓮達と一緒くたにすると仲間達を護るように丸くなった。そして、そのエミュの体に火炎が包み込んだ。その時間は数にして十秒ほど、されど十秒。エミュの美しかった白色は火炎によって黒く焼き焦げていく。


 その際、エミュは不安を与えないように必死に笑みを香蓮達に浮かべていた。その実際の状況は香蓮達にはわからない。それでも、エミュが作っている笑みが嘘であることぐらいはわかる。だからこそ、香蓮達も辛そうな表情を見せなかった。エミュが自分達のために必死に笑みを浮かべているのに、ここで不安そうな顔を浮かべたらエミュに失礼だ。


 そして、エミュが火炎の攻撃が終わったことを教えるように胴体をどかすと香蓮達は一気にその場から飛び出した。それから、まず動き出したのはセレネと茉莉、レオ(大)だ。その二人と一匹は空中にいるキマイラを地上へと引きずり落とすために動いた。


 セレネは影で極大な二本の腕を作り出すとキマイラの前足をそれぞれで掴んだ。そして、そのまま叩きつけるように引き戻す。だが、当然キマイラはそうはさせないと大きく翼を動かして堪える。そこに茉莉が攻撃を仕掛けた。


 茉莉はレオ(大)の機動力を活かして、キマイラの横へと移動してもらうと補助魔法で自身の魔法攻撃を強化させた。そして、自身の魔力を極限まで収束させると弦を思いっきり引いた。


流転の壊矢(ドリルバニッシュ)!」


「ガア"ア"ア"ア"ア"!」


 茉莉は弓につがえた矢を放つとその矢は回転しながらまっすぐキマイラの翼へと飛んでいき、その翼をまさにドリルのように抉りながら貫通した。それも二つの翼ごと。そのせいでキマイラはセレネの引っ張りに堪えることが出来ず、地面へと叩きつけられる。


 そこにエミュがお返しとばかりにキマイラに向かって<竜の吐息(ドラゴブレス)>を放ってキマイラを焼いていく。いくら皮膚が固くてもその攻撃は皮膚を焼いていくので、キマイラは痛みに悶えた。そこに香蓮と俊哉が突撃する。


「鷹岡君、もう一回いける?」


「ああ、大丈夫だ。さっきみたいな心配をかけるヘマはしねぇ」


「わかったわ.......いくわよ!」


 香蓮と俊哉は再び構えの姿勢に入る。そして、阿吽の呼吸で攻撃を仕掛けた。それによって作り出すは先ほどの麒麟。その麒麟はエミュのブレスに負けることなく突き進んでいくとキマイラの開いた口の中へと突入していった。それから数秒後.......


「ガアアァァァァァ......」


 キマイラの胴体辺りから何かが弾けるように激しい音が鳴り、その胴体が一瞬膨らむとキマイラの口からは煙が漏れ始めた。そして、キマイラは弱弱しく一回だけ声を上げるとそのまま動かなくなった。


 それを確認すると香蓮達はすぐさまエミュのもとへと戻り、茉莉は人型に戻ったエミュの背中を治療し始めた。


「エミュ、大丈夫!?」


「うん、大丈夫だよ。倒せて良かったね。これで、後は大ちゃん達に任せよう」


「そうね、見た所もう少しで決着がつきそうだし」


 そう言って香蓮達は大輝達の方向を見た。

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