表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好奇心で異世界への魔法陣に飛び込んだら青春を謳歌しました!  作者: 夜月紅輝
第8章 いつも気がつく時には思い足らず
PR
117/177

第115話 姉としての気持ち

評価、ブックマークありがとうございます。励みになりますヾ(@⌒ー⌒@)ノ

「俺はどうにも気持ちが定まっていないだ。それに加えて、様々な気持ちがのしかかってきて......幸い、仲間達にはバレてないけど、もう少しきついんだよな」


「それは、それだけ相手の気持ちを真剣に捉えようとしているからですよ。勇者様はやはり勇者様のようですね。心がお優しいです」


「優しくないさ。ちゃんとスケベしてる」


「ふふっ、こんな時にそんな冗談を呟かなくてもいいんですよ」


 大輝はドヤ顔しながら、自分でもおかしなことを言ったのだが、そのことはソワナによって軽くスルーされた。まあ、この状況でそんなことを言ったとしても、そりゃあ冗談としか思われないよな。


 大輝はそう思うと一つ咳払いをして、話を進めた。


「俺の記憶を見たのなら、俺がどんな状況になってるかは説明しなくてもいいよな?」


「そうですね。世の男性からしてみれば、実により取り見取りで羨ましいでしょうね。そして、それらの男性から怨念で呪い殺されそうですね」


「なんか急激にゾワッと来る発言をしたな。しかも、それが妙に説得力があって怖い」


「ふふっ、だって元聖女ですもの。世の男性達の嘆きは聞いていますのよ」


 その言葉に大輝は思わず乾いた笑いを浮かべた。その当時の男達はそれほどまでに飢えて、倒れていっていたのか。そう考えるともとの世界にいた時に「モテたい」とか軽く言っていたのが、それがどうにも申し訳なく感じる。


 そして、自分の今の状況も申し訳なく感じる。だが、仕方ないではないか。こうなってしまったのだから。これは不可抗力......では、おそらくないのだろうけど、関りが深かったからこうなることもありえるのではないか?って、すげー自惚れな発言をしてると思う。


「それで、俺はどうすればいいですかね。ミリアの気持ちもわかってしまった今、もうこれ以上抱え込むのは出来そうもないし、早めにケリをつけた方がいいのか?」


 「まあ、ユリスのことは失敗したけど」とは思いつつも、大輝はそのことをソワナに聞いた。それをソワナは目を閉じながら、しっかりと聞き入れると大輝に目線を合わせて答える。


「私はそうは思いません。まだ全てが終わったわけじゃないというのが大きい理由です。精神が強い人なんていませんよ。それは、勇者様が一番ご存知かと思います。それに、その答えを言ってその言われた方々はどう思うでしょうか。簡単には心を入れ替えられない人がほとんどです。それだけ、思いが強いんですから」


「なら、今はまだ早いと.......それで小さな理由は?」


「小さな理由は、勇者様自身の問題です。今はいろいろなことを抱え込み過ぎてグラグラな足場に立っています。そして、それは様々な要因によって崩壊しかねません。そうなれば、それを考えている余裕もなくなるでしょう。ですが、逆にそうなって見える景色もありますので、一概に悪いとはいえませんが.......やはり、悪いことは起きないことが一番です」


 ソワナはまるで遠くない未来を見ているかのように目を遠くさせた。そして、その表情は優しく笑っていたが、言葉には変え難いいろいろな感情が混ざっているような気さえした。そんなソワナの顔が大輝にとって印象的に映るのは必然とも言えた。


「ただ、姉として言うのであれば、ミリアに気持ちを送って欲しいところですね?どうなんですか、実際は?」


「知ってるはずだろ?俺的にはミリアがあんな風な気持ちを抱いていることに驚いていたよ。そんな気持ちを感じる素振りも見せなかったから」


「ミリアも女の子なんですよ。好きな人に気持ちを送るのは誰だって憶病になるものなのです。それに、ミリアは自分自身の立場をわかっておられるのです。そして、それを自分で壊せずにいる。ですから、それを勇者様が壊すか壊す手助けをしてくださるのが一番なんですが.......」


「そんな感じですか......」


「さらにもっと言えば、ミリアに気持ちを伝えてくれると尚良いと思いますよ」


「うぅ......」


 ソワナはニコやかな笑みを浮かべながら大輝の顔を覗き込む。その顔は無言の威圧を放っていた。先ほども思っていたが、ちょくちょくミリアのことを押してくる。まあ、妹の幸せを願うとしてはその行動であっているのだが、少し圧が強いのだが。


 すると、ソワナは正面に体の向きを変えるとそのまま女神の像を見た。そして、「昔と変わらないな」と呟くと大輝に話しかけた。


「私は、正直な話、どちらでもいいんですよ。こんな言い方をするとあれなんですが、ミリアの気持ちが届こうと届かなかろうと。ただ私は、その間もその先も幸せな気持ちを抱いて前に進んでいけるのであれば、それでいいのです」


「それは姉としての気持ちという感じか?」


「そうですね......その通りだと思います。ミリアには私がいなくなって、辛い思いをさせています。それも、まだ姉離れが出来ていない時期ですから。ですから、あんなにも頑固になってしまったのでしょうね。自分が姉の分まで頑張らないととでも思って」


 ソワナは女神の像から床の方へと視線を移すと悲しそうな表情を浮かべた。それは、ミリアの記憶を読み取ってどれほど無理させきたかを知っているから。本来ならまだやる必要のないことまで、その当時の聖女だったソワナがいなかったせいで。


 すると、ソワナは服を掴み、悔しそうに唇を噛む。自分がこうでなければ、きっと無理はさせなかっただろうし、あんな悲しそうな言葉を吐かせることもなかった。全ては後先考えなしに動いた自分の責任。罰せられるならバッしてくれた方がまだいい。しかし、それがないということは、もしかしたら、これこそが罰なのか。


「!」


 大輝はソワナにかける言葉が見つからず、ただ見つめることしかできずにいると突然、ソワナの霊体から負の感情ともいえる黒い靄が発生した。そして、その靄はだんだんとソワナを包み始めている。そのことにソワナは気づいていない様子だ。明らかに視界に入る位置にあるというのに。


「ソワナ!」


「は、はい!?」


 大輝は思わずソワナの肩をガっと掴んだ。ソワナは実体化していたようで、無理にも気づかせることが出来た。そして、ソワナを包み込もうとしていた靄は、ソワナが我に返ったことで急速にその靄を霧散させていく。


 大輝はこのことをスルーせずにはいられなかった。この降霊現象が誰かの意図で行われたはずなら、必ず何かの目的が存在するはずだ。しかも、あまり良くない方の。これだけの降霊をするのだ。もし、誰かに会うために行ったのであれば、その会いたい人物だけで済むはずだから。


 そして、ソワナに現れたあの黒い靄はその核心に近いなにかを表しているような気がする。これはこれまで戦ってきた経験がそう告げている。だとすると、ソワナをこのままにしておいていいだろうか。だが、そう思うとなるとどうすればいいのだろうか。一先ずミリアに見張っていてもらうのがいいのか?


 大輝がそんなことを思いながらふとソワナを見るとソワナは大輝から顔を逸らしながら頬を赤らめている。大輝はその反応がわからなかった。どうして頬を赤らめているのか.......まさか、もう先ほどの黒い靄に影響でも受けているのだろうか!?


「ソワナ、大丈夫か!」


「はへ!?ぜ、全然大丈夫でないでございまする!?」


「言葉遣いが変になってる。不味い......少し我慢してくれ」


「へ?何を......ひゃわ!?」


 大輝はソワナを反対向きにさせるとその背中に手を当てた。そして、異常を確かめるように上から下へと滑らせていく。その感触が酷くくすぐったかったのかソワナは思わず声が漏れ出てしまった。だが、大輝はその声に反応することなく真剣な眼差しで確かめていく。


 右肩、左肩、肩甲骨、背骨に沿って腰辺りまで。その全ての行動が真剣であるからこそ、ソワナにとって質が悪かった。ソワナはただ漏れ出そうな声を押し殺して我慢するだけ。ただそのくすぐったさには思わず体を震わせてしまう。


 しかも、大輝は魔力を当てて確かめているのか温かいものが中に入り込んでくるようで、実に言葉にはしがたい。段々とソワナの息は上がり、霊体にもかかわらず熱を帯び始めたような感覚さえある。


「もうこれ以上はダメです!」


「おわ!?通り抜けちまった」


 ソワナは耐えかねて実体化を解除した。大輝が自分のことを思って行動してくれていることはわかっている。だが、だとしてもこれはもう無理。


 ソワナに触れられなくなったことに大輝は驚きつつも、やや不満げな顔をした。さながら、その顔はまだ何もわかっていないといった感じだ。それを見たソワナは「人の気も知らないで」と思わず睨んでしまう。しかし、普段そんなことをしたことないのか全く睨んだような目には見えていない。そのためか大輝にも全く伝わった様子はない。


 すると、その時復活したミリアが戻ってきた。


「大丈夫ですか?何があったんです.......か」


 ミリアは大聖堂に来ると思わずある光景を見て固まった。それは大輝がソワナに向かって腕を伸ばしていて、ソワナは自身を抱えるようにしながら身を縮こま背ていること。端的に言えば、大輝がソワナを襲っているような構図だ。


 それを見たミリアは急速に瞳の温度が冷めていく。さらに、その瞳を大輝に向けて、光のハイライトもないままニコッと笑みを浮かべる。その笑みに大輝は恐怖した。「あ、これは不味ったかも」と。だが、時すでに遅し。


「大輝様、私がいない間にお姉ちゃんに何をしていたんですか?」


「そ、それは、もちろんやましいことではない。ただ。たし―――――――」


「突然、背中から襲われました」


「ちょ、ソワナ!?」


「ソワナ?どうして、お姉ちゃんまで名前呼びなんですか?少しお話しましょうか。大丈夫です、すぐに済みますから」


「待て待て待て、わあああああ!」


 大輝はミリアに正座させられるとそのままミリアの気が済むまで怒られた。そんな大輝の光景をソワナはしてやったりとした感じで笑って見ていた。

良かったら評価、ブックマークお願いします(*´▽`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ