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好奇心で異世界への魔法陣に飛び込んだら青春を謳歌しました!  作者: 夜月紅輝
第8章 いつも気がつく時には思い足らず
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第113話 黒幕

評価、ブックマークありがとうございます!励みになります!(≧∇≦)

 セレネとカオスの話が終わった所で、大輝は改めて国の探索へと乗り出した。とはいえ、結局のところあまり期待していない。そんな簡単に見つかったら苦労しないというのもあるが、そもそも判断材料すら少ない......というかほぼない状態なのだ。


 その上でこの国の現状を見た所で、「幽霊がいるなー」という感想しか出てこない。しかし、何もしなくてどうしてこうなっているかなどわかるはずもない。というわけで、カオスの「この国を案内してくれ」という提案には助かっている部分もある。とはいえ.......


「なあ、嬢様が明らかにお前にホの字なんだけどよ?一体何して手籠めにしたんだ?ということは、実はもうヤっちゃてたりするのか?どうなんだよ、答えて見せろ」


「ヤってるわけねぇだろ。そんなことしたら俺が殺されちまう。それに惚れてるんて勘違いかも知れないぞ?」


「なんだ?あたいは『ホの字』としか言ってねぇぞ?それでそう答えるとは、はてさて自覚があるということになるが?」


「『ホの字』なんて言ったら普通はそっちに捉えるだろ。というか、どんだけ人の色恋沙汰に興味あるんだよ」


「ついに色恋沙汰については認めたか。良いことだぞ、ちゃんと認めるということは」


「あんたが無理やりそっちに持っていったような気がしなくもないが?」


 大輝はカオスを睨むように見るが、カオスはどこ吹く風とといった様子でしかなく、そのことに大輝はため息を吐いた。そして、「この国を案内している間、ずっとこの調子なのか?」と思うともうその時点で心が疲れてくる。


 だが同時に「随分と気に掛けるものだな」とも思った。カオスがセレネの母親と繋がりがあることは会話をして知ったことであるが、まあ、繋がりがあればそりゃあ気にもかけるか。しかし、だとしたら、まずは自分の家族に関して気にかけるべきではないのか?


「カオスはどうして家族の心配をしないんだ?まあ、この国にはいないとしてもまずはそっちを気にしないか?」


 すると、カオスはあまり晴れない顔色を浮かべていた。もしかして、家族となんらかの問題があったのだろうか?そうだとしたら、今の質問は明らかに自分が悪い。


 そう大輝が思っているとカオスはそっと口を開いた。



「まあ、何と言うかな......あいつは優秀だからな。心配しなくても生きているとは思うだよ。けどなあ、まだ小さかった頃に色々と世話をしすぎて、そのせいででかくなっても偉く懐かれちまってな。なんて言ったっけ.......シスコン?」


「......」


 大輝はその言葉を聞いて思わず黙った。それはある記憶を思い出してのこと。途中で会った姉を探しているフードの男のことだ。その男は酷く焦った様子でうろうろと探し回っていた。そして、姉の所在を聞いてくる割には、姉の特徴を答えようとしなかった。


 ......あれ?そういえば、あの人はなんで特徴を言わなかったんだっけ?いや、言えないような顔をしていたな。ということは、言えない特徴を持った人物だということか?しかし、そう考えると悪に手を染めた人物ということになるが、そんな人物はこの国には降りてきていないはずだ。


 それらを踏まえて他に何か特徴はないだろうか。う~ん.....あ!


「魔族!」


「ん?あたいがどうした?」


 大輝は思わずカオスを見て叫んだ。そうだ、その考えを失念していた。魔族ならいろいろと筋が通る。あの男がフードを被っていたこと、そして特徴を言えなかったことは。それから、カオスの言葉から弟は優秀なシスコンという証言を得た。


 それらから考えるとその弟がこの原因を作り出した可能性も無きにしも非ず。だが、それを決めつける証拠は何もないので、これからはそれを踏まえて探さなければならないだろう。


 すると、おもむろにカオスが話しかけてきた。


「この国もいい国だな。あたいの国に負けちゃいない」


「そうなのか。なんだか見てみたいものだな」


「そうだろ?あたいの国も随分と長いことこの国といざこざがあったが、それでも今はかなり落ち着いた方だ。やはり、自国もこの国も平和が一番だよな」


 「かき乱しそうな名前をしている割にはいい人だな」と思わなくもない大輝。しかし、魔族であるカオスが平和が望んでいるということは、セレネの母親さえ見つかれば魔族との和解も可能かもしれない。ここまで来てセレネと決別するのは嫌だからな。そうなるように自分も頑張らなければならない。


 しかし、カオスの顔はその言葉を浮かべてから段々と浮かない顔をし始めた。


「だがな、その平和をぶっ壊そうとする奴らがいるんだ。そいつらは死をなんとも思っちゃいない。たとえ仲間の死であってもな。しかも、自分の命すらもだ」


「自分の命もなんとも思ってない......」


「そうさ、あいつらは絶望の竜を復活させようとしている。そのためなら、自分であろうと他人であろうと関係ない。ただ生贄を作り出すだけの人形だ。だから、それを止める必要があった」


「それじゃあ、死んだ本当の理由って.......」


 大輝はその話でほとんどの流れを察した。本当はもう聞く必要も無いことだ。だが、その言葉が思わず漏れてしまった。すると、カオスは大輝の言葉を肯定するような顔をしながら言った。


「そうさ。あたいが死んだのはそいつらを止めようとしたせいだ。もちろん、同族だった故に言葉で止めようともしたさ。だが、あいつらは狂気に染まっていた。もう会話の余地すら残って無かった。だから、戦ったが.......この様さ」


 カオスは暗い顔でそう言った。そして、自分の無力感を確かめるように手をグッと握りしめ、悔しそうに口元を歪ませる。その表情だけで大輝はその辛さが伝わってくるようだった。


「それにさ、お前さんにも迷惑かけちまってるよだしよ」


「どういうことですか?」


「お前さん、勇者なんだろ?」


「!」


 大輝はその言葉に思わず驚いた。なぜなら、それまでにカオスに勇者でることは話していない。加えて、それに至るようなヒントを与えた覚えすらない。ということは、本当は知っていてあの家に、それも俺の部屋にいたということか?


 すると、カオスがそのことに関して言葉を続けた。


「そりゃあ、知ってるさ。この国で突然目覚めて何もしないはずがないだろう?当然、情報を集めに回るさ。それでいろんなところを回って、いろんなことを知った。もちろん、お前さんのこともな」


「.......」


「お前さんの部屋にいたのは、お前さんに手っ取り早く会うためさ。そして、こんな辛い目に合わせていることに謝りたくてな」


「謝る?」


 大輝はカオスの言葉に思わず疑問を浮かべた。なぜなら、正直そこまで言われる必要はないはずだ。まあ、おそらくはその竜と俺達が戦うことに関しての謝罪だろうが。だが、それだけなら今更だ。災悪と戦う延長線上でしかない。


 しかし、カオスが発言したものは大輝が思っていた以上のことだった。


「あたいが謝りたいことは、お前さんが今行っていること自体だ。つまりは災悪討伐の件。これはあたいが止められなかった同族が起こしたことなんだ。あんな化け物は通常では発生し得ない。ごく稀に何千年単位で目覚めた魔物が現れることがあるぐらいだ」


「え.......そうなのか?いや、そもそもどうしてそんなことを!」


 大輝はその言葉を聞いて思わず混乱した。これまでの災悪が全て魔族によって発生させられたもの?災悪は普通では発生しない?そんな、そんなことがあっていいのか!?それじゃあ、その災悪で傷ついた人、死んだ人は!


「落ち着いてくれ、お前さん。今から全てを話す.......お前さんも知っている通り、私は幽霊であるが魔力を帯びている。そして、その魔力のおかげか他人の魔力に干渉することが出来てな。そのおかげで、お前さんがやっていることを知れた。まあ、主には聖女さんから記憶を拝借させてもらったんだがな」


「そう......なのか.......」


「きっと謝るだけではすまないことはわかっている。お前さんが魔族との仲を取り持とうとしていることも、嬢様から知った。けど、だからこそ言わなければならないと思った......でも、さすがに嬢様にはビビッて言えなかったけどな」


「だから、俺に案内するように言ったんだな。そのことをせめて俺にだけは伝えるために」


「そういうことだ......すまない」


 大輝は悔しそうに歯を噛みしめた。そして、その手を強く握りしめた。この場にいる誰のせいでもない。しかし、魔族のせいではある。そのことに大輝は憎しみが拭えなかった。その魔族によって生み出された災悪によって多くの人が傷つき、死んだ。その事実は変わらない。


 このどうしようもない感情を自分は背負わなければならない。なぜなら、俺が勇者であるから。勇気を持ってこの感情、この事実に立ち向かっていかなければならない。だが、この気持ちはまだもう少し整理し終わるまで時間がかかりそうだ。


 大輝はふと上を向くと鼻をすすった。

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