第112話 なんでここに幽霊が
霊感ゼロの作者です
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大輝はこの屋敷にいる第三の人物の正体を明かすために、その少年と少女の後について行った。香蓮は大輝の腕に抱きついて、その場から動こうとしなかったのは困ったが、何とか説得して引き離す。香蓮曰く、「姿が見えないといざという時に切れない」ということらしい。
「この国にいる全幽霊は安全だよ?」ということは言ってあるし、ソワナにも言われているはずなのだが、あの時は恐怖より心配が上回っていたから動けていただけで、今はそうではないらしい。切れる基準で話を進める具合、香蓮もだいぶこの世界に染まったようだ。
大輝以外の仲間達は一旦、それぞれの場所に移動していった。他になにか変わったところがないか確かめるためだ。そんな仲間達を尻目に、大輝は歩みを進めていく。少年と少女が進んでいった先は二階だ。そして、二階に行くと右へと走っていく。そして、その通路の奥から二番目のドアに入って.......
「俺の部屋じゃん」
大輝はそれが分かった時点で、何やら面倒ごとが起きる気しかしなく思わずため息を吐いた。「全く、なぜ俺の部屋なのか。他にもたくさんあっただろう。女性の部屋なら特に」と思いながらも、やや重たくなった足を動かしながら、部屋に戻る。
「......」
部屋に入ると大輝は思わずある光景を見て、思わず固まった。それは自分のベッドで寝ている一人の女性。その寝姿は色っぽさはなにもない。むしろ男らしさすら感じるレベル。大の字になりながら腹を掻いているなど。
大輝は頭を掻きながら「どうしようか」と考えていると少年と少女はその女性を揺さぶって起こすとその女性は目を擦りながらゆっくりと上体を起こした。
「んん.......かあー!よく寝たな~......って、誰だ?」
「それはこっちのセリフ何だけどな」
「ん?ということは、あんたがこの家の主か?」
「主......まあ、主の一人ではあるかな」
その女性は大きく伸びをすると再び腹を掻きながら、大輝に質問するとその女性は再び寝だした。まるでもう聞きたいことは聞けたかのように。しかし、大輝にとっては何も終わっていないし、始まってすらいない感じもする。なので、ここでまた寝られるのは不味い。というか、ここで寝るな。
「待て待て待て、俺の部屋で寝るな」
「いいじゃねぇか。ここの日当たりの良さが一番気に入ったんだ。で、どうせお前さんの聞きたいことは私が何者かってことだろ?」
「まあ、そうだけど......」
「なら、答えてやろう。あたいの名はカオス。そんでもって、人族じゃない。魔族だ」
「へー」
「かっかっか、魔族と聞いて随分と反応が薄いじゃねぇか。気に入ったぜ、その魂の据わりようはよ」
カオスは再び状態を起こすと今度はパッチリと目を開けながら大輝を見た。なぜか急に気に入られたことに大輝は何とも言えない表情を浮かべながらも「まあ、一先ずは話しやすくなったか」と思い直して、話を続けた。
「あのカオスさん、この国の原因って何かわかります?」
「敬語はやめろ、気持ち悪い。で、原因か.......ダメだな、やはりわからない。これに限っては何度か思い出そうと頑張っているんだが、まともに思い出した試しがない。やっぱ、気がついたらここにいたって感じだな」
「そうか。なら、仕方ない。一から探すしかないのか......それにしても、魔族って他にもいるのか?」
大輝はこのことが気になった。とりあえずこの国で目に映った人々は全て人族であった。とまあ、セレネもそうだが、人族と魔族の違いは外見的特徴には現れないので、まず見ただけでは容易に見分けることは出来ないのだが。
しかし、なぜか召喚された幽霊は総じて魔力を帯びていた。まるで体という器がないのに、魔力という水が浮いている状態だ。魂まで魔力を帯びていることには驚きだが、このことで人族と魔族を見分けることが出来る。なぜなら、人族と魔族の魔力は若干異なっているから。
そして、カオスから魔族特有の魔力を確認したところで、大輝は調べられる範囲で<気配察知>でその魔力に近しい魔力を検索にかけてみたが、それらしき魔力は確認できなかった。故にその質問である。そして、それに対してカオスがいった発言が......
「知らん」
そのただ一言。それだけで、会話は終了。そして、「お前、この国のことを教えてくれよ。案内しながらさ」という始末。どれほど自由奔放なのか。もう少し気にしてもいいことではなかろうか。しかし、知らないならこれ以上は何を質問しても無駄であろう。それに、自分の目でもこの国の現状を知らなければならないし。
そう思うと大輝はカオスの提案に乗ることにした。そして、とりあえず荷物を下ろして部屋に出ようとするとカオスが突然、腕を首に絡めにきた。そのことに大輝は思わず驚く。
「なんだ?女に対して、そんな免疫がないのか?揉んでみるか?ほれ」
「違うわ。突然、肩を組みに来たから驚いただけだ。それに、そんな進められ方は男は燃え上がらん」
「なんだ、そうなのか?まあ、案外男の方がシチュエーションにこだわったりするもんな。だが、揉めるもんは揉んどかなきゃ損だぞ?それともなんだ揉んだことがあるのか?」
「残念ながらないな。仮に不可抗力で揉んだとしても殺される自身がある」
「なんだぁ、ケチ臭い女どもだな」
「気配でもわかるのか?」
「霊体だからな。気配そのものとでも言っていい。それ故にある程度の範囲に入った気配なら数ぐらいはわかる」
大輝は話していて思ったことがある。カオスは女ではない。いや、性別上は女なのだが、言動全てが男子高校生のようだ。もとの世界の俺達に近しいかそれ以上に男子高校生感がとても強い。故に話しやすいのではあるが、逆に「幽霊であっても女としてそれでいいのか?」ととても思う。この人が生きている時は周りの人は余程振り回されただろうな。
大輝は部屋を出ると一階へと向かった。その時、カオスから話しかけられる。
「そういえば、この家ってお前の、いや、お前達の家だよな?」
「まあな」
「なら、この家になんで、あたいと同種がいるんだ?」
大輝はその質問に対して「やはり来るか」と思っていた。大雑把な性格ということはなんとなくわかっていたが、さすがにそこをスルーするほどではないか。というか、カオスはおそらくソワナと同じで突然この国に降ろされた一人だ。だから、自分にこの国を案内するように言ってきたのだろう。
そうなると、いろいろ話す必要がある。カオスがどれくらい前に亡くなったかはわからないが。セレネが生まれる前の時代だとしたら、今のこの世界の現状はしっかりと話さなければならないと思う。
そして、一階に降りるまでに簡単にセレネがいる経緯を話した。最も詳しく聞くならセレネ本人に聞いた方が早いのだが、カオスはそこまでではないらしい。
「へぇ~、そんなことになってるんだな。てかまあ、あの子がそんな大きくなっているとはね」
「セレネのことを知っているんですか?」
「知っているも何も、嬢様の母親から付き合いだからな。まあ、その後にへまして死んじまったから、嬢様はまだその時は物心つく前だから知らないだろうけど」
カオスはその時初めて、物憂げな表情をした。大輝はその顔を横目に見て、聞こうとした時、前方から声がかけられた。
「大輝、その人.......」
「ん?ああ、この人はカオスという人だ。で、目の前にいるのがセレネだ」
「ほ~ん、王妃様に似て随分と美人になったもんじゃないか」
声をかけてきたのはセレネであった。セレネはなにやらカオスの顔に見覚えのあるような表情をしていた。しかし、カオス自身はセレネは自分の存在は知らないはずだと言っていた。なら、セレネはなぜそんな顔をしているのか。あ、もしかして、セレネも気配でわかったのか?
そう思っているとセレネは大輝の手を引きながらそのまま家の外に連れ出した。もちろん、カオスも一緒だ。そして、その手を離すと大輝に問い質した。
「大輝、なんでカオスさんがいるの?」
「なんだ、知っていたのか。まあ、なんでと言われてもなんでだろうな?」
「さあ、あたいも目覚めた時にはこの国にいたからな。そんでいい別荘があると思って住み着いていたら、お前さん達が返ってきたってわけ」
「私が知っているのは、母様が持っていた肖像画にその人そっくりの絵を思い出したから。その絵を母様がすごく大切そうにしていたことが印象的だったから覚えていたの」
「へぇ~、王妃様があたいとの肖像画をね~」
「こんなところで繋がりがある人物に出会うとは随分と世間は狭いものだな」と大輝は思った。いや、これはさすがに間違っているか。こうした異常事態が無ければ、出会えなかったわけだし。そんなことを考えているといつの間にか二人が思い出話、いや、主にカオスの思い出話に花を咲かせていた。
そして、それはしばらく続いた。少なくとも大輝が「一体いつ終わるんだ?」と思うぐらいには。そして、その二人の話が終わったのはそれから2時間後のことであった。
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