第111話 ゴーストカントリー?
ここから第8章です(`・ω・´)
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大輝と香蓮がそれぞれ複雑な気持ちを抱えながら、聖霊国に戻ってくると全員がその外観を見て固まった。それは......
『ほう、ここが今の聖王国が俺がいなくなってから随分と豊かな国になったもんだ』
『アレン、アレンはいるの!?どこに、どこに!?』
『ん?儂は確か昨日死んだような......気のせいじゃったかの?』
宙を自由に漂う半透明な人姿。しかも、総じて足がない。つまりは幽霊ということ。先ほど挙げたのは三人であったが、数はその数十倍以上。心なしか聖霊国の周囲一帯は厚い雲でドンよりとした雰囲気を醸し出している。
大輝達はすぐさま聖霊国に入った。街中を見てみてもいたるところに幽霊がいる。しかも、ほとんどの人が見えているような反応をしている。ミリアは「災悪が現れるまでかなりのスパンがある」と言っていた。しかし、その「かなりのスパン」という言葉を聞いただけで、それがどのくらいの範囲かはわからない。
あの海の国までのことだったかもしれない。なぜなら、女神の予知能力はまだ回復したばかりなのだから。となれば、これが災悪の仕業であるという可能性もなくはない。ただ、全く実害が見受けられないというのが不思議ではあるが。
そして、大輝達がまず向かった先は城。その中にいるミリアのもとへ。たまたま見た中で被害を受けている人を見なかっただけで、どこかには被害を受けている人がいるかもしれない。なんせここにいる幽霊が全て善人とは限らないからだ。
当然、悪意を持っている幽霊もいる。その幽霊がなんらかの方法で実害を与えないとは限らない。そして、それを考えると逆恨みでミリアを襲おうとする幽霊もいないとは限らない。その可能性を排除する意味でもミリアのところに向かわなければならない。
大輝達は城に入った。すると、その中でも兵士の恰好をした幽霊が数多く浮遊している。しかし、害を与えているような幽霊は見られない。そのことに大輝は疑心感を募らせる。そして、ミリアがいそうな大聖堂を向かってみると思わず固まった。
『ふふふっ、随分と様になってるわね。ミリア』
「もう!そんな言い方はやめてよ!私はもう子供じゃないんだよ?」
『私から見れば、まだ子供で、自慢の妹よ。あら?どうやら愛しの彼が来たようよ?』
「ななな、何を言っているんですか!?」
「「「「「......どういう状況?」」」」」
大輝達は思わず困惑した。なぜならミリアはさも当たり前のように、気を許しながらミリアの隣に座る半透明の女性と話している。その女性はどことなくミリアに似てる。服装もミリアの聖女服に似ているし、それに「自慢の妹」と言っていたし......もしかして、ミリアの姉であろうか。
すると、その女性は大人っぽい雰囲気を醸し出しながら、大輝達に声をかける。
『初めまして。私はミリアの姉、ソワナと言います。それでいろいろと話したいことがあるのですが.......まあ、それは後でいいでしょう。今はこの状況がしりたいのではないですか?』
「はい.......そうです」
大輝の言葉を聞いたソワナは一度咳ばらいをするとにこやかな笑みを浮かべて答える。
『実は何もわかってないんですよ。私も気が付いたらここにいて、私以外にもこうして町中を彷徨っていたんです。なので、どうせならミリアに会いに行こうかと』
「なんにもわからないんですか?なら、なぜそんな分かっているみたいな口調を?」
『ふふふっ、そう言った時の反応を見てみたくて。だけど、これまで災悪と戦ってきたせいかしら?反応が乏しいわね。ミリアなんて素っ頓狂の声を上げながら、尻もちをついたのよ?それで――――――――』
「あああああ!やめてくださいよ!言わないでください!」
ミリアは慌ててソワナの口を塞ごうとする。しかし、実体がないのか通り抜けてしまう。そのことにミリアは増々顔を赤らめるとふさぎ込んでしまった。そんなミリアを「からかい過ぎたわね」と言いながらミリアの頭を撫でる。どうやら茶目っ気のある女性のようだ。
大輝はそんな光景を見ているとあることに気付いた。それはソワナが撫でている手は実体となっているからだ。それが分かるのは、ミリアの髪が動いているから。となると、これは問題かもしれない。それは幽霊の意思一つで実体にも非実体にもなれるということ。それ即ち、一方的に攻撃できるということ。
その時、大輝はふと砂漠の災悪を思い出した。あの災悪は悪意しか持っていなかったが、同じ実体にしたり、非実体にしたりできる能力は同じだ。ということは、あの災悪は実は生きていて、この国を襲ったのか?だが、それだと子供にされた大人達が元に戻った説明がつかない。
すると、ソワナが大輝達に告げる。
『そういえば、分かってないと言いましたが、一つだけ確かなこともあるんですよ。それはこの国に降りてきた人達は皆、善人なのよ。皆、清い魂を持っているの。だから、そう警戒しなくてもいいわ』
「それは、同じだからわかるんですか?」
『そうね、そういうことになるわね。でも、あなた達も思っていると思うけど、こんなことをした張本人はどうしてこんなことをしたんでしょうね』
ソワナは顎に手を当てながら頭を傾げる。大輝はそんな様子を見て、これからのことにため息を吐いた。ソワナは「気づいた時にはここにいた」と言っていたことから、おそらくこの事件の犯人を知らないのだろう。
そして、またそれに関する情報が一切ない。わかったことはこの国にいる幽霊が無害だってことぐらいか。はあ......ゼロから手探りで行かなければならないとは。これは実は初めてではなかろか。だがまあ、原因が災悪でなくて良かったか。
大輝達は一旦、家に戻ろうと歩き始めた。すると、途中で何かを探している男を見つけた。しかし、その恰好はフードで全身を隠していて随分と怪しいが。だが、この国には時折こうしてお忍びで来る高貴な人達がいるという。なので、一応注意しながら通り過ぎようとすると......
「あのすいません。ここらへんで僕の姉を見つけませんでしたか?」
「姉ですか......特徴は?」
「特徴は......いえ、すいません。やっぱりいいです」
そう言って、その男は立ち去った。大輝はそのことに注意度を高めた。何かを隠している様子。しかし、本当に言えない事情がる可能性もなくはない。そう思って大輝は一先ずそのことを置いておくことにした。
そして、家に入るとその家の様子が変であった。
『ふふふふっ』
『アハハハハハ』
家の中から子供声が聞こえる。しかも、姿がない。シンプルに怖いやつだ。そのことに香蓮は事情が分かっていても怖がっている様子で、大輝の裾を掴んでいる。そのことに大輝は懐かしい気持ちを覚えた。そういえば、香蓮はこういうの苦手だったよな
しかし、先ほどから怖がらそうとしているのか子供の幽霊は姿を現さない。だが、声は聞こえる。そして次第に、ポルターガイストのように置いてあるものがガタガタと音を立てて揺れる。そのことに香蓮が大輝の服をよりしっかりと握った。
「きゃあ!?なに!?」
「どうしたの?」
「誰かに服を引っ張られたのよ。まあ、誰は予想つくけど」
「誰だ?俺の剣を盗もうとしている奴は?」
そのイタズラも次第にエスカレートし始め、大輝達の仲間に見えないことをいいことにある意味害を与え始めた。そして、香蓮は大輝の腕を抱えるように抱きつき始めた。そんな香蓮の行動に大輝だけ他の五人とは全く違う気持ちを抱いていた。
しかし、このままという訳にはいかないだろう。目には目を歯には歯を、イタズラにはイタズラを。大輝は<精霊の瞳>を発動させて周囲を見た。すると、自分達の近くに双子であろう少年と少女がいる。少年は俊哉の剣をなんとかして盗もうとしていて、少女はセレネの服が気に入ったのかいろんなところを触りながら確かめている。
すると、少女はおもむろに大輝の所に来た。イタズラでもしようということなのだろう。なので、大輝はその少女が見えているかのように視線を向けた。すると、その少女は大輝の視線に気づいたのか。思わず目を合わせる。
少女は「バレたのか?」と思ったのか大輝に確かめるように手を振る。しかし、大輝は目線を動かすもなければ、体すら微動だにしていない。「ただぼんやりと床を見つめているのか」と思った少女は大輝にイタズラを仕掛けようと背後に回ろうとすると頭上から笑い声が聞こえた。
『笑った?』
少女は咄嗟に大輝の方を見る。しかし、大輝は先ほどと変わりない......変わりないよな?なんか少し口角が上がっているような。まあ、気のせいかもしれない。なぜなら今は見えないようにしている。見えるはずがない。
そして、再び動こうとするとまた笑い声が聞こえた。そのことにもう逃さんとばかりに顔を向けると大輝と目が合った。しかも、笑いながら。
『ギャアアアアアアアア!』
「きゃああああああああ!」
少女が叫んだ瞬間、後に続くように香蓮も叫んだ。そして、少年、セレネ、エミュ、俊哉とその恐怖と驚きが波紋のように広がっていく。茉莉は相変わらずこういうのには疎いようだ。それから、少年と少女は姿を現しながら逃げるように離れていった。
『早く、姉御に伝えないと』
『怖い、あの男の人、怖いよー!』
大輝はそんな二人を見て「やり過ぎたな」と思いながら頭を掻いた。
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