表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
107/177

第105話 風呂イベ

また温泉行きたい......


評価、ブックマークありがとうございます。励みになります(*^-^*)

「へぇー、広いわね」


「なんか......というより、普通に旅館よね?」


「そうだね~。この世界にもあるとは思わなかったよ~」


「ねぇ、このベランダからの眺めも最高だよ!」


 四人はまさに旅館といった感じの宿の一室に入るとそれぞれ感想を述べる。というのも、現在は海で泳いでから夕刻が経ち、大海が一望できる宿に来ている。この宿は香蓮が言った通り日本の旅館と非常に酷似しており、温泉もこの旅館にはあるというのだ。


 そして、部屋割りはさすがに別々だ。エミュが大輝のもとへ突撃しようとして、それに香蓮も負けじと便乗しようとしたが、それはさすがにセレネが止めた。宿ぐらいはなんの心配もせずゆっくりと休みたいのだろう。そのことをわかった二人は今回は大人しくしていようと決めた。


 それから、ベランダから手招いているエミュのもとへ行ってみるとそこから見える水平線に目を潤ませた。


 それは青々としていた海が赤く染まり、水平線に太陽が沈んでいく光景であったからだ。その光景はなんとも言えない感動を与えた。こんな粋な計らいをしてくれたミリアには心から感謝しなければならない。これはちゃんとお土産を買っていかなければ。


「それじゃあ、少しゆっくりしてみたら温泉ってのに行ってみない?」


「良いわよ。この世界に来て初めてこんなに遊んで疲れたもの。早く癒したいわ」


 香蓮は大きく伸びをしながらそう答えた。そして、息を吐くと肩がどっと重く感じた。肩も腕も脚もいつもより疲れて感じる。砂浜の上で動いていたせいか普段使わない筋肉とかを使ったのかもしれない。


 そして、しばらく休憩した後に四人は温泉に向かった。それから女湯と書かれたのれんをくぐると再びあの四人と会った。


「あれ?先ほどぶりですね。ここにお泊りなんですか?」


「ふふっ、そうね。この宿は前からお気に入りなのよ。それにしても奇遇ね。こんなところで会うなんて。もしかして、お泊りかしら?」


「うん、そうだよ。ね?ユリスちゃん」


「え?なんでそこで私にふる......!」


 ユリスはその瞬間、キュピーンと電球が発光するようにエミュの言った意味がわかった。そして、それを確かめるようにエミュの顔を見る。すると、エミュは挑発するように笑った。......やはりそうですか。これはエミュさんによる宣戦布告。大輝さんがここにいるということをわざと気づかせて戦いを楽しむつもりのようです。自分が上だからって、すぐに足をすくってやりますよ!


 そんな視線をバチバチとさせているエミュとユリスを見ながら香蓮は思わずどうしたらいいかわからない顔をした。それからまた、セレネはそんな二人を見て疲れたため息を吐いた。一方、クリシュナ達はガッツポーズである。


「「「「「わああああ!!!」」」」」


 浴場に入るとクリシュナ達を除く四人は思わず感嘆の声を上げた。それはテレビでしか見ないような大露天風呂。しかも今は自分達しかいない。そのことにより体は脱力を求め、四人を風呂へと誘った。


「気持ちいい~~~~~」


「生き返るとはよく言ったものね」


「体が溶けていくようだよ~」


「ねぇ、こんなに広かったら泳げるよ」


「エミュさん、ダメですよ。お風呂は疲れを癒す場所であり、泳ぐ場所ではありません。それに他の人達にも迷惑ですよ」


「ふふっ、子供をしつける母親みたいね」


 それからこの場にいる八人はその露天風呂の心地よさにしばらく誰も一言もしゃべらなかった。しかし、その中で一人、何とも言えない顔をしていた。


「......でかい」


 ユリスは周りの七人の胸と自分の胸を見比べながら思わず言葉が漏れた。この八人の中では自分が一番小さい。近くてセレネであろうか。後の六人は......胸がでかい(化け物だ)


 そうなると何がどうして自分はこんなにも小さいのかと思う。香蓮も茉莉の年齢が一つ上なだけで、ほとんど変わらない。エミュも人間年齢に換算すれば同じだし、クリシュナ達だってそれほど年は離れてはい。なのに、この差!これは絶対におかしい!


「どうしたの、ユリスちゃん?」


「失礼します」


「ユリスちゃん!?待って、それは......んん///」


 ユリスはこの中で形も大きさも一番なエミュに狙いを定めて、その胸に両手を突き伸ばした。掴まれたエミュは思わず身をよじらせ、ビクつかせた。しかし、ユリスはその沈み込んで離さないようなエミュの胸に興奮しながらさらに揉みしだいていく。


「こ、これは何という柔らかさなんですか!?女問わず虜にさせるおっぱい!まさに魔乳!」


「ゆ、ユリス!?落ち着いて!クリスさんも止めてくださいよ!」


「ふふふっ、楽しそうだからいいじゃない。それにこれも温泉の醍醐味よ。なら、私も楽しもうかしら」


「え、え!?待って、やだ......///」


「.......はあ」


「そんな落ち込むことないと思うよ、セレネちゃん」


「落ち込んでないわよ!」


「いいねーいいねー盛り上がってるねー」


「ろけるー(溶けるー)」


 女が三人寄れば姦しいというが、八人もそろえばその域は軽く超えて騒がしい。そんな声が夜空に響いていった。


**********************************************

「大輝、聞こえたか?」


「ああ、聞こえた。エロかった」


 大輝と俊哉は隣から聞こえる和気あいあいとした声に思わず悶々とさせた。この露天風呂の男女を仕切る壁に穴など見つけられない。それはもちろん入念に探した結果だ。故に声を聞いて脳内で想像するしかないのだが......時折聞こえる艶めかしい声のせいで想像が膨らみ過ぎて困っている。


「大輝、これはやばくないか?」


「ああ、やばい。興奮して体温上昇が止まらねぇ」


 大輝と俊哉は浴槽に浸かりながら腕を組みなんとか興奮を抑えているが、隣から聞こえる声はより激しさを増しているような気がしてならない。俺達は男なのだ。こんな声を聞かされて想像しない方が不健全だ。


「大輝、別の話をしないか?」


「なんだ?」


「お前は結局どうするつもりだ?」


「どうするって何が......ああ、そういうことか」


 大輝は俊哉の言いたいことがわかった。それはエミュと香蓮のことだろう。そして、「どうするつもり」という意味ももちろん分かっている。しかし、未だどうにも判断できない。どちらか一方を決めようとすればするほど、それぞれの魅力が溢れてきて選ぶにはあまりにも差がない。


 そして、その上でさらに問題は増えた。それはユリスのことだ。ユリスが厄介ということではないのだが.......俺はユリスの告白を一度断った。しかし、別れ際のあの行動から察するに諦めてはいないだろう。それは今日の海での反応からも確信した。


 そして、エミュ達と交わってよりこじれた。これはもう自分一人で解決できるレベルなのだろうか。......いや、そういう話ではないか。自分が決めなくてはならない問題なのだ。それを踏まえて考えてみてもまだ決められそうにない。


 それからさらに問題はある。それはセレネの変化だ。あの砂漠の件を乗り切って以降、積極的に話しかけてくるのだ。今まで微塵もそんな素振りを見せたことはなかったのに。それに顔を見ようとするたびに若干目を逸らされているのにも気づいた。


 しかし、目を逸らす割には話しかけてくるので、嫌われているわけではなさそうだ。なら、なんであのような態度をするのかと思う。これには深い意味があるのか。それとも自分が勘違いしているだけなのか。


「正直言ってわからん。日に日に混乱してくる。だから、こういう日は楽でいいんだ。何も考えなくて」


「だがよ、大輝......」


「わかってる。わかってるが、混乱したままじゃ、良い判断もできないだろ?それにこの状態で無理やり答えをつけたってそれはあいつらにも失礼だ」


「はあ......お前もほどほどにしとけよ?」


「悪い。それに関してはもう少し時間がかかるかもしれない」


「お前の『少し』って長いんだよなー」


 俊哉はそうは言いつつもあまり気にして無さそうに笑った。そのことに大輝は安堵した。迷惑をかけているのはなにもエミュや香蓮だけではない。俊哉や藍野にも迷惑をかけているのだ。自分がいつまでも優柔不断でるから、日に日に騒がしくなっていき、別の問題も増えてしまった。


 災悪も少しずつ強くなってきているというのにこのままでは致命的な問題を起こしかねない。それだけは避けたい、避けたいのだが......それが定まらない。きっとそれを選ぶための基準すら存在していないからだろう。


「はあ......ところで、その右腕は大丈夫なのか?というか、いつそんな怪我したんだ?」


 大輝は一旦そこで考えを止めるとふと少し前から気になっていることを聞いた。それは俊哉の右腕の状態。俊哉は今も右腕に包帯を巻きながら浴槽につかっている。痛みを感じている様子はないが、さすがに肘まで包帯を巻かれていればさすがに気になるというものだ。


 すると、俊哉はさもあらんといった感じで言った。


「ああこれな。大輝が気にすることでもねぇよ。マジックのインクが指についてなかなか取れない感じと一緒。それが恥ずかしくて隠しているだけ。あ、無理に取ろうとするなよ。さすがに怒るからな」


「しねぇよ。というか、お前はどこでそんなものをつけてきたんだよ」


「植物の花がそんな感じだったんだ。あれには参ったぜ」


 俊哉はなんでもないように明るく笑った。大輝は俊哉が気にしてないようならそれでもいいと思ったが、ふと疑問に思うこともあった。それは砂漠の国からこの国へ来る最中にそれほど森という場所は通っていないはずなのだ。だがまあ、途中で止まった街では単独行動とかあったりしたから、その間につけたりしたのだろう。


 そして、大輝は気にしないことにした。本人がその調子なら無理にこちらが言う必要も無い。


 それから二人はしばらく無言で温まった後に浴場を後にした。その時、俊哉が腕を押さえていたのを大輝は気づくことはなかった。

良かったら評価、ブックマークお願いします(>_<)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ