第100話 砂漠の賑わい
第6章も山場を越えました。早いものです。(>_<)
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「昨日の今日で、凄い賑わいだな」
「全くだ。まあ、このために頑張ってきたんだけどな」
大輝が城のバルコニーから見える活気のある城下町を見ながら、そう呟いたのを俊哉が答えた。そして、その二人の顔は優しい笑みを浮かべていた。
大輝達が見る城下町の様子は劇的に変わっていた。9割まで子供に埋め尽くされていたこの街は3,4割まで減り、その分大人の数が増えた。そして、しばらく前から子供になっていた大人は特に目立った後遺症はないらしく、ほとんどの者が無事に過ごせているらしい。
「そういえば、大輝。あの話しかけてきた少女を覚えているか?」
「ん?あの子だろ?覚えてるぞ」
それは大輝がこの国に訪れた時に、最初に大輝達にこの国の情報を与えてくれたことだ。そして、討伐出発日に珍しい花をくれた子でもある。それが何だというのか。......まさか、とんでもない老婆とかだったりするのか!?
大輝は勝手にそう思っていたが、俊哉はなにやら疲れたようなため息を吐きながら告げる。
「それがな、踊り子みたいなんだよ。それもすげー可愛い」
「?」
大輝は俊哉の回答に思わず怪訝な表情を浮かべる。なぜなら自分と同じく王様に対して「ベリーダンスの衣装を着た子は大好きです!」と答えるぐらい思考回路が似通っているのだ。ならば、そんな表情をしながらそんなことは言わないはず。
しかし、俊哉はそれだけ答えるとそれ以上、それに関して言うことはなかった。ただ、疲れたため息を吐くだけ。
「なんだろうな、この際お前を羨ましいなんて思わない。リアルのギャルゲってきっとあんな感じなんだろうなって思うと俺の性分には合わないな。俺はマルチストーリー派じゃないし」
「???」
「まあ、とにかく会場付近まで行ってこい。そして、どうかあいつらを止めて来てくれ」
そう言って大輝は俊哉に押されるままバルコニーから追い出される。そして、訳も分からないまま大輝は会場に向かった。
「さてと......これで少し楽になれる」
俊哉は大輝の姿が見えなくなると大きく伸びをした。そして、自身の右手首の包帯を解いた。それからその右手首を見ると顔を暗くする。
「はあ......やっぱり広がってやがる」
俊哉が見た右手首.....いや、右ひじ近くまで伸びているアザを見た。前に見た時はまだ手首の位置だったのに数日でここまで伸びている。そのことに俊哉はどうしようもないため息を吐いた。
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大輝は会場に辿り着くと目の前に繰り広げられている女のバトルに思わず口をポカーンとしていた。
「ははは、これで勇者様もイチコロですね」
「ふふふっ、この子は何を言っているのかな?」
「大輝は確かにスケベな部分もあるけど、そこまで女ったらしじゃないわよ」
「なるほど、大輝様というのですね。......あ、噂をすれば大輝様!」
「え?.....あああああ!?」
「「わあああああ!?」」
するとベリーダンスの衣装を着たその女性はたわわなメロンを揺らしながら大輝のもとへ走ってくる。もしかして、この子が俊哉の言っていた子なのだろうか。だとすると、確かに可愛い。年は同じぐらいだろうか。そして、ベリーダンスの衣装による目を引き付ける柔肌。それから、際立った主張する胸。うむ、俊哉は何が問題だったのだろうか。もしかして、さっきの香蓮達のやり取りのことだろうか。
そんなことを考えながらも見続けている視線はただ一点。その交互に上、下と動いているメロンを目で追っている。否、追わせている。俺とて男なのだ。見るのは当然の摂理。
すると、その女性は大輝にピョーンと飛んできて、そのままのしかかり押し倒した。大輝は予想もしていなかった行動に思わず声をながらも、その主張するメロンの感触を感じていた。......なるほど、メロンはマシュマロでできていたのか。
そんな女性の突拍子もない行動にエミュと香蓮は驚きを隠せなかった。そして、すぐさま引き剥がしにかかる。
「ははは、大輝様だ。私のこと覚えてる?」
「それを聞くのは、その体勢じゃなくてもいいよね!?」
「そうよ。それにその体では初対面でしょ!早く離れなさい!」
「え―――――――――」
その女性はエミュと香蓮に両腕を引っ張られながら、大輝から強制的に離れさせられる。だが、その女性は不満そうに声を出しながら頬を膨らませるばかり。しかし、大輝には正直その行動は助かった。さすがにいくら可愛いとはいえ、パーソナルスペースというのは存在する。それを犯されれれば、警戒はするというもの。これに至っては別の意味だけど。
大輝は一度、深呼吸するとその女性に話しかける。
「ああ、覚えてるよ。この花をくれた子だろう?」
「!......その花を持ってくれていたんですね」
大輝が覚えていることを証明するように<空間宝物庫>からもたった一つの花を取り出す。その花は<空間宝物庫>の時間を止めて保存するという特性によって、萎むこともなく凛とした美しい花を咲かせていた。
それを大輝から受け取った女性は瞳を潤ませながら、そっと呟く。そして、その目をやがて熱い瞳に変えると大輝を見た。
「!?」
「大輝様......」
すると、その女性は大輝の顔は両手でガシッと押さえると大輝に視線を合わせた。大輝はその視線に熱っぽさを感じていた。そして、この目には覚えがあった。エミュが竜化できた時も、香蓮と花火を見た時も、この女性と同じような瞳をしていたことを。これは......もしや......
「ちょ、ちょっと待った!?」
「ごめんなさい、待てません。ん――――――――」
「「そうはさせるかああ!!!」」
その女性は目を閉じると大輝の顔に増々自身の顔を近づけた。そして、軽く唇を突き出す。大輝はその女性に頭を固定されているために逃げることは不可。こんな可愛い子とキス出来るなら本望......と思っていたのは、この世界に来るまでの話。今は色々と拗らせてるから!?
そんな思考も虚しく、女性の顔は増々近づいて来る。するとその女性の行動を止めたのは、焦り顔マックスのエミュと香蓮であった。その二人は女性の顔を掴むと強制的に真上へと向けさせる。
「なひすふんふぇすふぁ(何するんですか)」
「それはこっちのセリフだよ!」
「さすがにやって良いことと悪いことがあるでしょ!......私だってしてないのに......」
エミュと香蓮はその女性の言い分に思わず声を張り上げた。ただ、香蓮に至っては後半は小声でつぶやいていたが。
大輝は一瞬、時間が止まった気がしてならなかった。そして、跳ね上げている心臓の鼓動を落ち着かせながら、この空気をどうにかしようとエミュと香蓮に話題を振った。
「......で、ずっと聞きたかったんだが、どうして二人はそんな恰好なんだ?」
大輝がそう思って目力を強めながら言ったことはエミュと香蓮の恰好に関してである。その二人はベリーダンスの衣装を着ている女性と同じような恰好をしているのだ。エミュに至ってはまだわかるが、香蓮がそんな恰好を自主的にするとは到底思えない。なので、あまりの珍しさと妖艶な姿に思わず魅入っている。
「どうしてってそれは......」
「まあ、着てみたかったという感じね。うん、そんな感じ。やっぱ『郷に入っては郷に従え』って言うじゃない?」
二人の言葉はなんともはぐらかすような言い方だった。もしかして、この姿を見られるのが恥ずかしかったのか?いや、それだと今更恥ずかしがっているのはおかしい。会った時にはそんな反応をしてもいいはずだ。
大輝は疑いの目で二人を見る。すると二人は急に仲直りしたかのように女性に声をかけた。
「さ、さあ、あっちでやりましょ!」
「う、うん、そうだね。ここでも良いといえば良いんだけど、やっぱり目立っちゃうからね」
「はあ......私はもう少し大輝様と話したかったんだけどな......」
その女性はうなだれるように顔を残念そうに顔を俯かせた。そんな女性に二人は悪いと思いながらも背中を押して、歩かせていく。そして、大輝にそれ以上、追及されないように素早く離れていった。
「?」
「そんなところで座って何してんのよ」
「ん?......ああ、セレネか。体調はどうだ?」
「問題ないわよ」
大輝がセレネに気を遣って聞くとセレネは「なにかあったかしら」とでも言うようにサラッと答える。そして、地面で尻もちをついている大輝の横にしゃがんだ。大輝はその時、心なしかセレネの顔が赤く見え、距離感も近いように感じた。
「で、またあの扇情的な衣装を見ていたの?あんたも好きね」
「うっさい。男には魅力的なんだよ」
「ふーん、そうなんだ」
大輝の言葉にセレネは興味無さそうに答えるが、大輝はその顔がなにか考えているように見えた。するとセレネが鋭い目つきで睨んできた。
「何ジロジロと見てんのよ」
「いや、なんというか......よくしゃべるようになったなと」
「ああ、あの時のことね。あの時、私は人見知りだったのよ。それにしゃべらなくても有能なメイドがいたから、無口だったしね」
「その割には上機嫌に人の頭を太鼓のように叩いてくれたよな」
「うっ......それに関しては悪かったわよ。なんせその時の私は.......」
セレネはそこまで言いかけて顔を赤くしながら口を閉じた。その様子が気になった大輝が下から顔を覗き込もうとするとセレネはその顔をビンタした。
「見ようとすんじゃないわよ、バカ大輝!」
「だって、そりゃあ気になるからって......ん?大輝?」
「あ......」
大輝はセレネの言葉で自分がいつの間にか「勇者」から名前呼びになっていることに気付いた。そのことを指摘するとセレネは思わず口に出していたようで、顔をさらに真っ赤にさせていた。そして、慌てて言う。
「そ、そりゃあね、いつまでも私だけ名前で呼ばないのはおかしいかなッと思ってね!」
「だけど、随分と今更だな」
「うっさいわね!」
そう言うとセレネは立ち上がった。そして、「ちょっとついてきなさい」というとズカズカと歩き出していく。大輝は怪訝な顔を深めながらその後についていく。
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