第99話 砂漠のゴースト
砂漠の食べ物での名物って何でしょうかね?
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「セレネ、行くぞ。準備は良いか?」
大輝はセレネにそう聞いて、頷くのを確認するとゴーストへと<超加速>で急接近していく。だが、その前には宝石でできた魔物が。大輝はその魔物に切りかかるが、ゴーストのように実体がないためかあまり意味がない。
「くっ!」
しかし、大輝には攻撃が通る。その魔物は宝石を散りばめた拳を大輝に向かって一気に叩きつけた。大輝は剣でガードするが、その振り下ろした勢いで飛んできた宝石が体を打ち付ける。するとセレネの黒い手がその魔物を払った。
大輝はそれでは意味がないと思ったが、なぜかセレネの攻撃はその魔物の実体を捕らえ、吹き飛ばした。大輝はその光景を見て思わず目を見開く。だが、それを深く考えることは後だ。大輝はその吹き飛ばされた魔物に蜘蛛糸を飛ばして、動けなくすると再び本体へと向かっていく。
「大輝、こいつの相手は俺達がする!」
「いつも通りにぶっ飛ばしてきなさい!」
「大ちゃん、頑張って!」
だが、当然の如く大輝の前に魔物達が現れる。そのことに大輝には思わず表情を険しくする。しかし、その魔物達を相手にするように復活した俊哉、香蓮、エミュの三人は大輝の前に出た。そして、大輝の向かう道を確保するように三人がこじ開ける。
大輝はそのことに感謝しながらゴーストに向かうとそのゴーストは財宝を纏わせた黄金の手を複数本出すと一斉に殴ってきた。その攻撃を冷静に見極めようとするとセレネが再び言葉を告げた。
「本体だけ狙って」
すると大輝の有無関係なくセレネは黒い手で黄金の手を受け止めた。そして、そこにできた決定的な隙に大輝は神聖属性を付与した聖剣で薙ぎ払う。
『グガガガガ!』
やはりちゃんとダメージが通っているようだ。それに切ってわかったことがあるが、この感じは闇魔法に似ている。そして、セレネの黒い手も闇魔法。もしかしたら、同属性魔法だから実体を捉えられたのかもしれない。
大輝はその思考の中、あることに気が付いた。それはもし仮にこれが同属性によるものだとすれば、このゴーストは闇魔法によって作り出されているということになる。ということは、このゴーストも......いや、それはまだ可能性の範囲だ。決めつけるのは早い。とにかく今は倒すことに集中すべきだ。
「!」
すると突如として黄金の手から別の手が生えてきて、その手を針へと変形させると大輝に方に突き出した。それは大輝に死のビジョンを与えた。なので、大輝は咄嗟に上体を逸らす。
その行動をした途端、セレネは大輝の頭を叩いた。突然動いたことに驚いたのかもしれない。そう思ってチラッと見るとどちらかと言うと「どうして信じてくれないの?」といった目であった。先ほどセレネが言った言葉を大輝が守ってくれてないと思ったのかもしれない。
大輝はセレネに苦笑い気味に「ごめん」と言うと咄嗟に笑うと再び死のビジョンを見た。それは突如として、自分の体に剣が突き刺さるというもの。大輝は一瞬に脳内に広がる光景に思わず目を見開く。だが、一応その軌道上に被らないように体逸らした。
だが、その剣の実体は見えない。大輝はそれを「まさか」と思って<精霊の瞳>で見ると今度は剣に実体を捉えた。要するに今度飛んできている剣は幻想で姿を隠されている。そのため軌道を予測して弾くことも、避けることも俺以外はできない。
「全員に告げる!捉えられない剣が飛んでくる。特に背後からの奇襲に注意しろ!」
そう言って大輝もゴーストから距離を取る。そして、ほんの少しだけ思考した。このゴーストが宙に剣を動かして投擲しているのはわかっている。そして、それを隠していることも。なら、あのゴーストの動きを捉えられれば、その動きを封じることが出来るかもしれない。
「セレネ、一つ聞きたいことがある。セレネの魔法はもとからそのように動かせるものなのか?それとも魔法を無理やり動かしているのか?」
「......魔法は元は動くもの。動くように考えているの」
「要するにイメージってことか......セレネ、少し時間稼ぎを頼む」
「うん!」
大輝はセレネの言葉を聞くと剣を一度しまい、目をつぶてイメージし始めた。想像するは実体を捉え、縛り上げるための鎖。イメージは出来た。それを軽く前に突き出した手で魔力を形作っていく。だが、やはり付け焼刃。イメージ通りに魔力が動かない。
大輝は額に汗をかき、眉間にしわ寄せながら魔力を手へと収束させる。しかし、その魔力は一定まで収束するとそのまま固まって形作るまでに至らない。
「大輝、不味い!茉莉とレオがやられた!傷は浅いが、しばらく回復要員がいない!」
「それにこっちもこのままではジリ貧よ!はやく決着をつけないと!」
大輝は俊哉と香蓮の声を聞いて増々苦悶の表情を浮かべた。そして、その言葉を聞いた焦りのせいか収束させた魔力までもが霧散し始める。そのことに大輝はさらに焦る。続いていく負のスパイラル。大輝がその抜け出せるかもわからない闇へと一歩踏み出した時、一人の少女がその手を引いて止めた。
「大輝、私がいる。だから、もっと頼って」
セレネは大輝に頬のそっと触れると耳元でそう呟く。そして、大輝の全身を闇の魔力で覆い始めた。すると大輝の収束した魔力は安定した。まるでセレネの魔力を自分の一部にしたかのように。いや、セレネが一部にさせたのだ。
大輝はニヤッと笑った。
「ありがとう、セレネ......交差した光と闇の鎖」
大輝はその収束させた魔力にセレネの魔力を合わせて一気に形作った。そして、一つの鎖を作り出すと自身の陰へと落とす。するとゴースト周りにある財宝の陰から何本もの鎖が一斉に跳び出した。
『ギッ!?』
そのあまりの奇襲にゴーストは驚きながらも、すぐに透過させようとする。しかし、それは叶わない。なんせ大輝の鎖はゴーストを捕らえる神聖属性とセレネの闇魔法を合わせたものなのだから。そして、捕らえたゴーストに向かって大輝は突貫した。
『ギギギギ!』
「止まると思うかああああ!」
ゴーストは近づけさせまいと幻想を纏わせた剣やら宝石を一斉に射出した。だが、それは大輝には通用しない。大輝は<精霊の瞳>の効果で右目を赤く光らせる。そして、剣でそれらを弾いていく。
だが、それら全てを弾けるわけではない。当然、当たるものはある。なので、動けなくなるような致命傷にあたるものだけ弾き、あとは無視していく。それに、それらはセレネが弾いてくれる。
そして、ゴーストに接近すると剣を構えた。すると、その両剣にセレネが黒い手を纏わせる。
「能力増幅!神聖属性付与!魔力全解放!」
「「わかったのじゃ/了解なの」」
大輝がそう宣言すると聖剣と魔剣は神々しく輝き始める。だが、すぐにセレネの纏った闇の魔力と反発して、今にも暴発しそうになる。
しかし、大輝はそれに目もくれず一気に切りかかる。
「聖魔爆閃刃」
『ギギャアアアアアアアアア!!!』
大輝は両剣を横なぎにしてゴーストを切り裂いた。そして、その勢いのままゴーストを通り抜ける。すると大輝に後方にいるゴーストは断末魔の叫びを上げながら、爆散した。
大輝がゴーストを倒したことにより俊哉達が戦っていた。魔物達も姿を消して、その場に財宝だけが残った。
「ふぅー.......わあああ!?」
「「あいた!?」」
大輝が疲れたような、安堵したようなため息を吐くと突然、背中が重くなったような気がした。いや、重くなってそのまま床に叩きつけられた。すると同時に聞き覚えのある声が聞こえた。
大輝は顔だけ横に向けて、目の端で何とか見るとそこには元の姿に戻ったセレネが居た。しかも、子供服をピッチリと着た。この子供服はなぜかエミュが持っていたもので、アリジゴクに入る前にセレネに着替えさせていたものなのだが......
「マニアック」
「見んじゃないわよ!」
「あがっ!」
大輝の言葉に顔を真っ赤にさせたセレネは背中に思いっきりグーパン。大輝は思わずうめき声を上げる。
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「ありがとう、勇者殿。これで我が国は元通りになる。それにこんなものまでくれるとは......」
王の間にて大輝達は再び、王様に謁見していた。そして、王様は感謝の言葉を送るとその場にある財宝の山を見た。それは大輝が帰る際に回収してきたものだ。この国の資金になればと思って持ってきたのだが、王様が出迎えてくれた当初にこのことを言ったら号泣しながら感謝されたことは記憶に新しい。
「それで時に感謝の宴を催したいのだが、是非参加してくれぬか?」
「それは.......」
大輝は思わず口ごもる。それはこの国の現状を知っている故に。確かに労いの宴は是非とも参加したいところ。しかし、この国はもともと食糧難で危機的状況になっていたのだ。これを知ってて「宴に参加したい」とは言えない。
だが、大輝のその考えを変えさせるかのように王様は告げた。
「これは言っていなかったことだが、なにもこの国でなにもかもを背負っていたわけではない。隣国からも条件付きで支援はしてもらっていたのだ。だが、それは微々たるものであまりかわらなかったがな。だが、この財宝があれば全てを解決できる。故に期限が近い食料を早めに使っておきたいのだ」
「なるほど。そういうことだったんですか」
それならば、無下に断るのは逆に失礼というものだろう。すると王様はなにやらニヤついた笑みで聞いてきた。
「時に、勇者殿。ここの国には伝統的なダンスがあってな。それは実に魅了的で、魅惑的な衣装を着たダンスなのだよ」
「......ほう」
その言葉を聞いた大輝は思わず目の色が変わった。それはいかほどなのかと。後方からエミュ、香蓮、セレネの三人のから何やら痛々しい視線を浴びている気がするがなんのその。
すると、王様はその衣装を着た女性を呼び出した。その衣装とはよく知るベリーダンスの衣装であった。しかも、露出度高めの。大輝は思わずまじまじと魅入る。そのせいかさらに視線が強くなっているが。
「で、どう思う?」
大輝はチラッと俊哉を見る。俊哉は無言で頷いた。そして......
「「大好きです!」」
二人は高らかに言い切った。
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