絶望の蜂蜜
カブという作物は、全て収穫してしまう訳にはいかない。
カブの根の部分や葉の部分を食用に用いるが、種を収穫しようと思えば花が咲くのを待たねばならない。種蒔きから3~6か月、カブの根っこ部分がスカスカになる頃に花が咲く。春に蒔いた種は早くに、冬に蒔いた種は春を待つので遅くに花が咲く。
カブはアブラナ科で、黄色い花を咲かせる。
花が散って種が実れば種を採取し、次の種蒔きに使う。
対して甜菜は二年生植物で、春に種を撒き翌年の夏に白い花を咲かせる。
収穫だって倍以上、半年近くかけて育てないといけない。
そもそも甜菜はカブのようなアブラナ科ではなく、アカザ科で植物として全く違うはずなのだ。混同するわけがないと思っていた。
しかし、これは現代知識だ。
古代社会から現代社会までの2000年、その間に変化が無かったとは言い切れず、これらの種がどこかで枝分かれした近親種であったのかもしれないし、そうでないのかもしれない。
俺が言える事は、現代知識が全てではないという事。
この甜菜は俺の知らない種という事だ。
一回気が付いてしまえば、俺が気にしていたとある問題の理由にも行き付く。
それは蜂の不在だ。
周辺を探索しても蜂が見つからなかったのだ。
通常、アブラナ科の花は蜜を溜める事で蜂を介し受粉を行う虫媒花。つまり、アブラナ科のカブであれば蜂が近くにいないとおかしかったのだ。
逆に甜菜は風で花粉を飛ばす風媒花だ。蜂を必要とせず、花に蜜を溜める事も無い。
蜂がいなくても花を咲かせるこれはカブではないと、畑で咲いた花が訴えていた。
ヒントはあった。
俺はそれに気が付けなかっただけだ。
道理で蜂の巣を探してもいない訳だ。逆に、いる理由が無かった。このままならきっと今後も見つからないだろう。
余談ではあるが、大豆も虫媒花である。
しかし蜜はほとんどなく、蜂が花粉を運ぶことはあまりない。ごく一部の地域では蜜蜂が花粉を運ぶというが、ごく一部の地域の話。基本的には蜂と関係なかったりする。
さて、こうなると大きな問題が発生する。
それは果樹園計画の受粉だ。
蜂がいないと受粉を人力で行う必要があり、非常に手間なのだ。現実的ではない。
大豆が育つのだから他の虫に期待してもいいのかもしれないが、どうせなら蜜蜂に期待したい。そして蜂蜜を手に入れたい。
生きた蜂の巣の購入。それは現実的な話なのだろうか?




