スポンジが微妙
手に要れたスポンジの量はあまり多くない。
一つ一つは手のひらサイズであまり大きくない。
ぶっちゃけ、使いにくい。
これを一つにまとめるような魔法でも使えれば良かったのだが、生憎そんな魔法を俺は知らない。
スポンジの大きさは元になった海洋生物のサイズに比例すると考えれば、その生き物を探し出し、大きく育てればいいという事も出来る。
が、そんな生き物の情報を俺は持っていないので、選択肢は探して育成に挑戦してみるか、それとも諦めるかである。
スポンジの主な利用法は風呂の体を洗う荒い目のタオルの代用品か、化粧などの洗い落としか、それとも最初に見つけた奴の様に洗い物の汚れ落としとなる。
他にもあるだろうけど、ぱっと思いつくのはそれぐらいである。
クッションはどうしたと言われそうだが、クッションは天然モノではなく合成樹脂を使った合成スポンジである。
それに量が足りないのが致命的。椅子に使えば3脚も作ってしまえば尽きてしまう。
まずは食器洗い用として適当に分けて確保しておく。
で、残りが売れるかどうかをヨカワヤに聞いてみよう。正直、村で使うよりも売ってしまった方が良さそうな気がする。
「んー。まぁ、需要が無いわけではないですねー。
でも、そんなにいいお金にはなりませんよー? お小遣い稼ぎになら、なると思いますけどー」
「化粧落としとか、使い方は――」
「そもそも、化粧品の方が無ければ化粧落としも要りませんしー。
普通に顔を洗えば済むのに、スポンジを使う意味は無いですねー」
ヨカワヤの喰いつきは悪かった。
スポンジが売れるとは思っていないようだ。
吸水性や水の保持力を説明すると面白そうにしていたが、逆に言えばそれ以外にはあまり興味が無さそうだ。
人の肌をこするのに使うなら軽石の方が使い勝手がいいとまで言い切っている。あれは肌に優しくないぞ?
どちらかといえば農地に混ぜて、水を多く含む畑を作るのに使えそうだと微妙なことを言っていた。
それをするには量が圧倒的に足りないけどな。量があるなら面白い話だと思うけど。
スポンジをヨカワヤに売る線は無しでいいな。
スポンジの量が欲しいと言っても、安易に海に行くことは無い。
海の底にいるだろうスポンジ持ちの生物を探すとなると、大きな問題がいくつもあるからだ。
そもそも元になる生き物がどんなものかを知らない俺では何を探せばいいのか分からない。
それをどう加工すればいいのかは……ヘチマと同じでいいだろ。スポンジが水に溶けないのだから、適当なところで海水に浸けっぱなしにして肉を腐らせ落せばスポンジが残るだろ。製法は問題ないか。
あとは問題の生き物の大きさだな。大きい分には嬉しいが、小さいと労力に対する利益も小さくなるのだが、大きいと運ぶのが大変だ。チマチマ持って帰ってくれば解決する事だが、時間効率が悪い。
何より、そこまでで労力を割くべき案件かどうかという話である。
そこまでする必要は、正直、無い。
たくさん、大きなものが欲しいとは思う。だが、簡単に手に入れば嬉しいという話であり、頑張って手に入れたいものではないのだ。
その辺はただの我儘や思い付きレベルの欲求だったりする。
ただ、もしも海の底に行くことがあれば、その時はついでに探してみよう。
おそらく機会はすぐに来るだろうし。




