砂漠の戦争(上)
義兄に頭を下げて人の手配を頼んでみれば、満面の笑顔で応じてくれた。
あちらの都合もあり、夏の終わりがけに200人が一度にやってくることになった。意外と早く集まるようである。
「うん。その事もあり、義弟にはお願いしたい事があります」
「お願い、ですか?」
「はい。来月ごろに、戦争の手伝いをお願いしたいです」
ただし、対価の一つとして他国の戦争に参加することが決まった。
当たり前であるが、爺さんらを通し王国側に正式なお願いとして話が持っていってあるので断りようも無かった。
なお、爺さんらにちょっと確認をしてみたのだが、今年の冬には王国も戦争をするという予定らしい。
思うんだが、王国や隣国は南の方だけ滅多に雪が降らないんだけど、それが理由で冬でも戦争をするというか、冬に戦争をしたがるんだよな。
雪降る地方の領主で良かったよ、俺。
戦場はエジプトっぽい砂漠の国の都市である。
王国では珍しい侵略戦争なので、無傷で都市を制圧する俺の助力が目的となる。
王国への報酬だが、食糧と奴隷の一部をこちらに回してもらうという事で話が付いている。
俺への報酬は現金一括であったが。……南の奴隷を北に連れて行くと体調を崩すという事で、奴隷は貰えないのである。手配したばかりなので今は要らないけど。他にも作物関係で欲しい物があれば回してもらえる話になっている。腐らせる気も無いので、俺が持ち運べる量、手荷物に出来る分だけだが。
この手の出張要請だが、普段は滅多な事が無いと行われない。
と言うのも、普通の兵士では移動に時間がかかりすぎるからである。俺のように数日で援軍に向かえる人材などいないのが当たり前だ。その間の食糧支給などはとんでもない出費になるので、それなら無理をしてでも自国の兵士で賄った方が安くつく。
普通の魔法使いを派遣するにしても移動と護衛で大所帯になるし。現実的じゃないのだ。
それが俺だと単騎で高速移動が可能と言う事で、出費が最低限で抑えられる。
俺の拘束時間を少なくするために、行軍は何かあるかもしれない事を前提に予定が組まれる事になる。相手が野戦を仕掛けてくることまで考えて都市制圧をいつごろにするか決めるわけだ。
俺なら戦場まで片道3日。
スタート地点がずいぶん違うのに、隣国の、歩きの兵士は1ヶ月近い移動を強いられる。王国側から兵士を出すなら3ヶ月以上、歩く必要があるんだ。
彼らにをフォローする手段が無いわけじゃないが、是非自力で頑張ってもらいたい。
地図で確認してみたが、船を使っての侵攻は難しそうだ。
エルサレムのような場所ではなく、目標が内地のオアシスだったため、途中まで船でショートカット、そこからは歩きとなる。
だというのに船着き場を作ってあるのかと言うとそうではなく、船をつけられそうな場所を見つけただけという事で、そこで水の補給が出来ないというわりと酷い話。
汗で水分を消費しやすい夏場に攻撃するのはアリなのかとも思ったが、そっちはちゃんと対策してあるという話なので信用することにした。最悪、俺が頑張る事になるけど。その場合は割増料金かな。
戦争は先の話だけど、俺の出番は限定されるけど、少しは準備や情報収集をした方が良さそうであった。




