王都への旅路②
旅立ちの日。
空は快晴だった。
大きな馬車へ荷物を積み込む。
焼き菓子用の材料。
調理器具。
試作品。
葵にとっては大切な仕事道具ばかりだ。
「忘れ物ない?」
「だいじょうぶ!」
理央は元気よく答える。
首には近所の子供達から貰ったお守りが下がっていた。
馬車が走り出す。
窓の外で町の人々が手を振っていた。
「いってらっしゃーい!」
「頑張れー!」
理央も身を乗り出して手を振る。
「いってきまーす!」
その声を聞きながら。
葵は少しだけ胸が熱くなった。
この世界へ来たばかりの頃は何もなかった。
けれど今は帰る場所がある。
待ってくれる人がいる。
それが嬉しかった。
◇◇◇
旅は思ったより快適だった。
商会が用意した馬車は揺れも少ない。
道も整備されている。
昼頃。
休憩場所へ到着した。
「おなかすいたー!」
理央は元気だった。
葵は朝早く起きて弁当を作ってきている。
「今日は果実サンドです」
「やった!」
柔らかなパン。
甘酸っぱいルーナの実。
ミルカ乳のクリーム。
そして香ばしく焼いた木の実。
簡単だが食べ応えがある。
「美味しいな」
珍しくレオンが感想を口にした。
「本当ですか?」
「ああ」
葵は少し嬉しくなる。
レオンは滅多に褒めない。
だからこそ価値がある。
「れおんさん、もっとたべる?」
理央が自分の分を差し出す。
「お前が食べろ」
「いっぱいある!」
「なら貰おう」
そんなやり取りに葵は笑った。
まるで本当の家族みたいだった。




