表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/33

光の玉と騎士②


 風が吹いていた。


 草原だった。


 見たこともない大地。


 二つの月。


 遠くに広がる深い森。


「……ここ、どこ?」


 理央が不安そうに服を掴む。


「あおくん……」


「大丈夫」


 そう言いながらも、葵自身も混乱していた。


 知らない場所。


 知らない空。


 どう考えても日本ではない。


 葵は理央の手をしっかり握り、周囲を見回した。


 このまま草原にいても仕方がない。


 人がいる場所を探そう。


 そう考えた二人は歩き始めた。


 だが、どれだけ進んでも見えるのは草原と森ばかりだった。


 道らしい道もなく、異世界へ来てしまったという現実だけが重くのしかかる。


「大丈夫だからね」


 葵は何度も理央に声をかけた。


 しかし、自分自身も不安でいっぱいだった。


 もし人が見つからなかったら。


 食べ物は。


 寝る場所は。


 考えれば考えるほど胸が苦しくなる。


 それでも理央を守らなければならない。


 二人は必死に歩き続けた。


 やがて理央の足取りがふらつき始める。


「あおくん………もうあるけない」


 小さな声に、葵は慌ててしゃがみ込んだ。


「ごめんね、理央。疲れたよね」


 抱き上げると、理央は安心したように葵の肩へ顔を埋める。


「おうち、かえりたい……」


「うん。帰ろう。だからまずは人を探そう」


 そう励ましながらも、葵の声は少し震えていた。


 その時。


 地面が震えた。


 馬の蹄の音。


 金属が鳴る音。


 振り返れば、武装した騎士達がこちらへ向かってくる。



◇◇◇



「子供連れだと?」


「はい、団長」


 先頭にいた男が馬から降りた。


 銀灰色の髪。


 鋭い蒼の瞳。


 長身で、立っているだけで周囲の空気が引き締まる。


「私はレオン・ヴァルグラン」


 低く落ち着いた声だった。


「君たちは何者だ?」


 葵は事情を説明した。


 もちろん信じてもらえるとは思わなかった。


 だがレオンは最後まで黙って聞いていた。


「……転移者か」


「信じるんですか?」


「過去にも例がある」


 あっさりと言われて目を見開く。


「今は保護しよう。子供もいる」


「ありがとうございます……!」


 理央も安心したように葵へしがみついた。


 その姿を見たレオンの表情がほんの少しだけ和らいだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ