開店初日と団長の焦り②
店を開ける時間になった。
看板を出す。
扉を開く。
すると。
「開いた!」
「本当に今日だ!」
「一番乗りだ!」
葵は目を丸くした。
店の前に人が並んでいたのだ。
十人。
二十人。
いや、それ以上。
「えっ」
「すごい……」
理央も驚いている。
昨日の噂だけで、ここまで集まるとは思っていなかった。
「アオイ」
後ろから声がした。
振り返ればレオンがいる。
いつもの無表情。
だがどこか誇らしげだった。
「言っただろう」
「え?」
「成功する、と」
葵は少し照れた。
◇◇◇
入口から見える場所には大きなショーケースが置かれ、その中にクリームケーキやタルトが綺麗に並んでいる。
壁際の棚には焼き菓子が並び、甘い香りを漂わせていた。
「どれにしようかしら」
「昨日食べたケーキが忘れられなくてな」
「私は焼き菓子を全部一つずつ!」
住民達が楽しそうに品物を選んでいく。
葵は次々と注文を受けた。
「こちらがルーナの実のタルトです」
「ありがとうね、アオイ君」
顔なじみの女性が笑う。
「昨日の祝いで食べてから、うちの子がまた食べたいって大騒ぎなのよ」
「それは嬉しいです」
葵が答えると、女性は嬉しそうに頷いた。
理央も頑張っていた。
「いらっしゃいませ!」
小さな声で挨拶する。
それだけで客達は顔を緩める。
「看板息子だ!」
「今日も可愛いな!」
理央は照れながらも嬉しそうだった。




