第十話
ラービングへ
久しぶりの君からの鳩に驚いたが、まさかまた彼等に振り回されているとは思わなかった。思わず笑ってしまったよ。
昔からだが、君には本当に苦労をかける。それもとびきりの苦労をね。だけど彼等が今も冒険者として旅ができているのはまぎれもなく君のおかげだ。僕からもお礼を言わせて欲しい。
さて、孤児院の件だけど、僕も含めて全員賛成だ。その孤児院を放っておくわけにはいかないからね。ただ、フォンドの名前が出たことでゴリアテが相当不機嫌になっているらしい。彼女にはフォンドとしての誇りもあるんだろう。
今後、孤児院への支援はドレイク、バジル、BDの三人の資産から行われる。そして孤児院の管理は正式に君に頼みたい。了承してくれると嬉しい。君なら安心して任せられる。
ただし全てを抱え込む必要はない。君が苦しい時には必ず僕達は駆け付ける。これだけは忘れないでいて欲しい。
書きたいことが山ほどあるが鳩の負担を増やすわけにもいかないから、このくらいにしておくよ。久しぶりに君と過ごしたあの頃を思い出せた。青春を共に過ごした相手に手紙を書くというのは、とても気分が良くなるものだね。
クリス・ロジャース
クリスさんへ
皆さんの署名、確かに受け取りました。この手紙を書き終えたら、孤児院に挨拶に伺おうと思っています。
彼等は変わりませんね。当時のまま私を振り回してくれました。ただ彼等も不変というわけではないようで、結局赤ん坊を連れてこの街を出発しました。彼等は孤児院で赤子の世話の仕方を学んだようです。あの人達が、ですよ?
BDさんもいますから健康面は心配ないとは思いますが、オールドークで良い里親を探しておいて頂けると助かります。
孤児院の管理、しかと承りました。また皆さんと仕事ができて幸せです。お体ご自愛下さい。
ラービング
「ふう……」
ラービングは両手を上げて背伸びをした。書きたいことが多過ぎて、何度も書き直したので疲れてしまった。彼等がモントンを出発して数日、そろそろグレーリーホール王国領に入っているだろうか。
ドレイク達がフォンド邸を襲撃したと聞いた時は血の気が引いた。
ただでさえ領主の屋敷な上、フォンド家はチュワモント王国と隣国のシスバーガリ王国では絶大な権力を持っている。いくら彼等が英雄だからと言っても、喧嘩を売ってただで済む相手ではない。
それに彼等は現役の冒険者、管轄はギルドになる。フォンド家とギルドの問題に発展しても何ら不思議ではなかった。ラービングはギルドから追放されることも覚悟していた。追放で済むのなら軽いほうかもしれないとさえ思っていた。
『上手くいったなら良かったじゃないか』
笑いながら言うバジルの顔を思い出し、自分も笑った。
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