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「……竜ってズルい」
わたしが心の中で考えたのとまるっきり同じことを声に出したのはミケちゃんである。
やっぱそれ思うよねー、生来のスペックに恵まれたスペシャルな生き物ってちょっとズルいよねー。といってもわたしはこの世界の竜がどの程度先天的な能力を盛られて誕生してくるのかは知らないんだけど、リオニルを見ているととりあえず魔法の才能は備わってそうだ。
「こっちは苦労してんのにさー、なんだよコイツ、腹立つ」
立方体を光らせているリオニルをじとーっと睨みながら、ミケちゃんはぶつぶつ文句を言う。その気持ちはわかるんだけどねえ。そういうことは思っていても声に出しては言わないほうがいいやつですよ、ミケちゃん。
リオニルが前足で押さえつけている立方体が放つ白い光は、強くなったりほぼ認識できないレベルまで弱くなったりと、なにやらずっと変化している。これ、リオニルがやってる? 立方体に流す魔力の量の多寡で光の強弱が変化するってことかな。
……めっちゃ使いこなしてるな、この爬虫類。
どうやっても爪の先ほどの変化すら金属枠つき透明立方体に与えられなかったわたしとしては、ちょっと嫉妬心を抱いてしまいそうですよ。ぶっちゃけミケちゃんにはすっごく共感です。竜ってズルい。わたしも魔法の才能欲しいとまでは言わないけど、立方体光らせるくらいのことはしてみたい。
「魔力の扱いで竜と自分を比べてどうするよ。竜としてはあり得ないほどにとんでもなく魔法が不得意な個体ですら、人間の魔法士と比較すれば中の上から上の下程度の能力はあって当たり前って話だぞ。根本的に魔法向きにできてる生き物なんだよ、竜は」
ジルドナート青年がぶすーっとしたミケちゃんを宥める。
はー、竜ってそういう種族なわけね。魔法特化な生き物ですよ、と。
「だってさー! 俺はすっごい頑張ったのに! 何日もかかったのに! こいつはすぐにできるようになるの、理不尽だろ。納得いかねー」
「納得って、お前な……。こいつらはそういうもんなの。つーか、竜じゃなくても、天賦の才能持って生まれてきたような連中は世の中にいくらでもいて、そいつらはこういう基礎的な訓練は一瞬で終わらせてさっさと先に進んでくもんなの。そういう奴らと自分を比べてもどうにもならねえんだよ。時間の無駄にしかならないから、考えるだけ損ってやつな」
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