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「きゅいぃ~、くるるるる……」
小さな鳴き声を上げながら、わたしをじっと見つめ小首を傾げるリオニル。なんとなくつられてしまい、わたしも首を傾ける。
これ、向かい合ってお互いを見つめながら同じ方向に首を傾げる仔猫と幼竜って、傍から見たら変な場面かもしれない。
リオニルの首の傾き具合がより深くなる。十数度から三十度くらい、そこからさらに四十五度、六十度。なんかねー、向かい合って目を合わせてたら、相手に合わせて自分も傾かなきゃって気分になっちゃうというか。なのでリオニルにつき合ってわたしもぐぐーっと首を横に倒そうと頑張っていたら、バランスを崩してぱたんとテーブルの上に横倒しになってしまった。おのれリオニル。わたしにこんな無様な倒れ方をさせるとは。
ただ首を横に倒すというだけの単純な動きで倒れ込んでしまった鈍臭い猫がそんなに物珍しかったのか、バスケットから出てきたリオニルは鼻先でわたしをつついてきた。うわー、なんだか小馬鹿にされてるみたいで腹立つー。
ていうか考えてみれば猫と竜じゃそもそもの構造が異なるんだから、わたしとリオニルでは首の可動域だって当然に違うはずなんだよ。リオニルとまったく同じようになんてやろうとしたことが間違いだった。
ふと、バスケットのそばに転がっている金属枠つき立方体にリオニルの視線が向く。猫の玩具としては微妙だったけど、竜の玩具にも向いてないと思うよ、それ。昨晩リオニルが転がしまくっていた魔石を包んだ謎の物体と違って、四角くて全然転がらないもん。やはり転がして遊ぶには球体が一番である。
そんなことを考えているわたしの目の前で、リオニルは立方体の上に片方の前足を置いた。小さいながらに立派な爪が、かちゃ、と小さく音を立てる。
次の瞬間、立方体はなんの前触れもなしに発光し始めた。
ミケちゃんが実演したときの明るさが小さな蝋燭に勝てるかどうかくらいだったのに対して、今回は一般的なデスクライト程度の明るさはあるんじゃないだろうか。
この差ってあれですか、やはり魔力の量の違いってことですか。ミケちゃんが立方体を光らせるまでに数十秒かけてたのに対して、リオニルは瞬時だったのも、そのせいですか。
なんかさー、竜ってズルくない?
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