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両方の後ろ足を使っておりゃっと蹴飛ばした立方体が、カタンと一度、つまずいたようにテーブルの上で跳ねてから、バスケットにぶつかって止まった。わたしの寝床用に親切な誰かが用意してくれたらしいバスケットである。いまは翼ある白い爬虫類に乗っ取られてるけど。
立方体とバスケットがぶつかった際のわずかな衝撃のせいというわけでもないだろうけど、バスケットの中で寝こけていた白ちま竜は覚醒しつつあるようで、もぞもぞ動いている。下敷きになっていたわたしが抜け出しても気づく様子もなく寝入っていたリオニルだけど、ようやく起きてきそうな感じだ。ぴくぴく瞼が動き、薄く目が開いた。
リオニルにはちょっと物申したいというか、飼い主のオーリ君不在なのに暢気に熟睡してたの、どうかと思うんですよねー。まあオーリ君とはそこそこ親しい人だと思われるジルドナート青年がいたし、わたし自身も見知らぬお子様たちに見守られながらぐっすりすやすやおやすみしてたので他人、じゃない、他竜のことは言えないけどさー。
なんとなくファンタジー世界の竜って素材として狩られるとかレア生物として狙われるみたいなイメージあるじゃないですか。ペットにするために攫われるとか。そういうの警戒しなくていいんですか、ってちょっと気になる。んー、でも、白い小さな竜はオーリ君の竜って周知はされているようだから、リオニルが一匹でふらふらしていたりそこらで寝こけたりしていても危険はないのかなあ。そばにジルドナート青年もミケちゃんもいるし、付近には探索者の人が何人も行き交ってるし、人目がありまくってるこんな場所で他人の竜にちょっかいかけるような無謀な人もそうそういないか。
ぱちぱちと数度瞬きをし、くあっと大きな欠伸をしたリオニルは、そのままバスケットの中で立ち上がり、背中を反らせたり足を一本ずつ曲げ伸ばししたりと、なにやらちまちま動いている。起床直後のストレッチ的なやつ? 竜って寝起きにこんなことやるんだ……。
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