155
「珍しく集中しようとしてる子の邪魔するのはやめような」
ジルドナート青年にそんな注意をされた。
わたしの目にはだらけてる小学生男子スタイルに見えるミケちゃん、これでも一応集中してるんだ……じゃなくて、集中しようと、だからつまりいまはまだ集中できてない……?
テーブルの上にぺたーっと腹這いになって、ミケちゃんが見つめている立方体をミケちゃんの反対側から観察する。
見てみたところで、ぶっちゃけとても透明度が高い物体ですねーってくらいのことしかわからないんだけど。向こう側がばっちり透けて見えている。これガラスかな、水晶かな。
ただひたすらじーっとなんの変化もない立方体と身動きしないミケちゃんを眺めるのにはすぐに飽きてしまったので、ふたたびわたしは行動する。
ミケちゃんの右腕と左腕の間になる位置に移動してそこでごろんと寝転がり、ぱたぱた動かす尻尾の先でミケちゃんの手をくすぐる。視界のど真ん中に猫、ささやかながらくすぐり攻撃つき。ミケちゃんがいまなにやってるのか知らないけど、これではおちおち集中もできまい。
……なんてことをやってたら、ふたたびジルドナート青年の手が伸びてきてわたしは撤去されてしまった。
「にゃあ!」
「はいはい、いい子にしてような」
ジルドナート青年の膝の上に移動させられ、頭を撫でられながら諭すような声で言われる。
「にゃあ!!」
いい子でしょわたしは。ちょーっと邪魔になるかもしれない場所に陣取ってみただけで。本で爪研いだりかじったりの破壊活動はちゃんと自重できるお利口さんですよわたし。
「…………飽きた」
ジルドナート青年の手を前足でばしばしやりながらにゃあにゃあ鳴いてたら、テーブルの向こうでミケちゃんがぼそっと言った。
「つまんねーし、疲れるし。猫うるさいし」
は? わたし? わたしうるさいってほど騒いでないですけどー? なにかがうまくいかないからって猫のせいにするのやめてもらえますー???
……って、意図的にちょっと邪魔したことはまあ事実ではあるんだけども、それは認めるけど、でもほんの一瞬だし! なんせすぐジルドナート青年に回収されてしまったので!
※書いている人間は絵文字、とりわけ黄色のフェイスマーク全般があまり好きではないため、リアクション機能の使用は控えていただけると助かります。




