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「遮蔽物が多い場所での戦いなんかあまり経験したことなかったんだよなあ、考えてみれば」
なんでも、ジルドナート青年は、銅版迷宮内の建物の中で物陰に潜んでいた魔物からの奇襲を受けたのだそうな。本当ならまともに一撃食らってえらいことになっていたかもしれないところを、そばにいた、ジルドナート青年が応急処置を施していた最中の負傷者の人が寸前で気づいてジルドナート青年を引き倒したことで、片腕だけの怪我ですんだのだとか。
「あれは我ながら迂闊にすぎた」とはジルドナート青年本人の弁。ミケちゃんに「ダっセぇの」と言われて苦笑いしている。いやミケちゃんや、顔見知り相手ゆえの気安さがあるからだとしても、負傷者相手にそういう言い方はないんじゃないのー? 本人ははっきり自分のミスだと考えてるっぽいし、実際周囲の確認を怠ったためとかそういう評価が下されるのかもしれないけどさー。
そういえばあの銅版の中の世界、石畳の道を挟んで建物が並んでいたっけ。もしかしなくても探索者の皆さん、他の銅版探しのためにずらり並んだ建物の中を虱潰しにしているのか。だよね、転移した先のあの空間の中に他の銅版が隠されています、となれば、そりゃ明らかに隠し場所としてもってこいの建築物内を調べずにいられるわけないもんね。あれ全部で何棟、何部屋になるんだろう。わー、大変そう。
しかもジルドナート青年の負傷の経緯からすると、けっこうな攻撃力を持つ魔物が隠れてるかもしれない屋内を探査するわけでしょ。神経ごりごりすり減りそうだ。
ちなみに、またまた休憩中のジルドナート青年だけど、実は怪我の有無とは関係なく、そもそも治癒魔法要員はかなりこまめに休息を取るよう指示されているものらしい。「休みすぎとか言われねえの?」というミケちゃん相手にジルドナート青年がそう説明していた。つまりなにもなければただの休憩時間のはずが、ジルドナート青年の場合は自身の負った傷の治癒待ち時間に化けているということだ。
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