21話「新メンバー」
ダンジョンを出た一行は、イノリ達が泊まっている宿屋へと帰還した。
ドアを開けるとガラーンとした店内に、二人の影が。
「あんたら無事だったのかい!? ダンジョンで異変があったって話じゃないか。あんたらが戻ってこないから心配してたんだよ……!」
「よかったよぉ……二人もルーくんも無事で……」
宿屋の女将と亭主が、二人の姿を見るなり食堂の椅子から慌ただしく立ち上がった。二人とも寝不足なのか、目は充血し顔は少し青白くなっている。
もしかしなくても、自分たちを心配してくれたのだと姉妹は胸を痛めた。
謝罪とお礼の一言くらい伝えなくてはと思った最中、
「無事なら連絡しな! 今までどこに行ってたんだいっ」
「え、え、え……女将さん!?」
ズカズカと大股で歩み寄ってくる女将に怯えたヒノリは姉の後ろに隠れ、亭主は鬼の形相をしている妻を諌めようとするが右往左往するばかりで効果はなかった。
(ひのちゃーーーんっ。隠れるのはずるぃぃぃぃ。お姉ちゃんも隠れたいよぉぉぉぉ)
ダラダラと冷たい汗を背中にかいたイノリは、口を窄めながら答えた。
「えーっと……あはは、今までダンジョンで迷っててー……」
流石のイノリも、今の今までダンジョンボスと戦闘してましたなんて言えなかった。人差し指同士の先を突き合わせて、目を泳がせた。
「あ"あ"ん? 迷ってたぁだぁー?」
「「「 ぴぇっ 」」」
ダンジョンボスよりもおっかない怒気が女将から溢れる。
イノリもヒノリも、初対面のリアも、その口からヒヨコのような悲鳴を溢して慄いた。
「まぁ……まぁ……。帰ってきたばかりで疲れているだろうし、無事に戻ってきてくれたんだ……」
とりなそうとしてくる己が主人に対しても容赦しないらしい女将は、鬼のように尖った目を小太りの男へと向けるとギンッと睨みつける。
「あんたは黙ってな!! 料理でもあっためてきたらどうだい!?」
「……うぅ……わかったよ……」
しょぼしょぼと亭主は退散していく。
向かった先は厨房なので、女将に怒鳴りつけられた通り料理を温めに行ったんだろう。
「………はぁ………全く……」
イノリとヒノリからすれば、唯一の味方が光の速さで退場してしまったことになる。もうちょっと頑張れと思わなくないが、今は目の前の女将のため息すら恐ろしくて、とてもじゃないが口にできなかった
大袈裟にため息を溢した女将は、その両手をおもむろに挙げた。
「「……っ!?」」
体を強張らせた二人だったが。
ふと、頭部に人の体温を感じて恐る恐ると目を開けた。
「……本当に……こちとら心配して眠れなかったんだ……本当に二人とも、あとルーくんも無事なんだね?」
「……はい……私もひのちゃんも、ルーくんも……無事、です……」
「なんだい、その目は……。五体満足で帰ってきた冒険者に拳を振り上げるとでも思ってたんかい?」
「……え、えっとー……まさか頭を撫でられるとは思わなくて……」
そう、二人は女将に頭を撫でられていた。
温かく優しい手が、二人を愛しむように頭を包み込みながら髪を滑る。
「あたしが頭を撫でてやる冒険者なんてあんたらくらいだよ。光栄に思いな!」
戸惑うイノリたちに、女将はカラカラと笑った。
「それじゃあ、まずは着替えと入浴を済ましてくるんだ。そしたら食堂にきな。今日は特別に無料で料理を出してあげるよ……って、なんだい客を連れてきたなら早く言いな」
「す、すまない。あたしはこの宿に泊まるつもりはなくて……うひゃあっ」
しどろもどろなリアの腕に抱きついたイノリが、片目を瞑ってピースサインを作ってみせた。
「リアはダンジョンで私たちを助けてくれた恩人なんですよ!!」
「あ……あたしはただ一緒に居合わせただけで……」
耳まで真っ赤にしたリアが、アワアワと目を回す。「えー……」と抗議したい姉の気持ちを組んでか、いや組まずともヒノリは口を挟んだ。
「そんなことありません……!!」
魔法まで教わったヒノリは、自己評価の低いリアの言葉を力強く否定する。
「リアさんがいなかったら、私はきっとお姉ちゃんにも会えないままでした……!!
こうしてダンジョンから戻って来れたのはリアさんのおかげですっ。それに魔法まで教えてもらってますし、居合わせただけなんて言わないでくださいっ」
「ぐぅ……ヒノリが留めを刺しに来るとは……っ」
「えぇ……っっ。今のがトドメでしたかっ!?」
しわくちゃにした顔で胸を抑えるリアを見つめ「トドメってなんのこと?」 キョトーーンと首を傾げるイノリとは反対に、分かっていながらも、ここまで褒められることに耐性がないとは思わなかったヒノリは、申し訳なさそうな顔で手を上下にバタつかせた。
「ご、ごごごごめんなさいリアさん。でも、どうしても否定したかったんです」
「いや……大丈夫だ……。感謝されたりするのは……どうにも慣れていなくてな……」
三人の様子を見つめていた女将は肩をすくめた。どうやらいい出会いも会ったようだと微笑ましそうに口元を緩めたが、誰もそれに気がつく事はなかった。
「よし、あんた……名前はリアっていったかい?」
「うひゃいっ。嗚呼……あたしの名前はリア。この通り騎士だ」
弾むような女将の声に、リアは返答するも、やや緊張しているのか上擦った声になっていた。
「そう硬くなることないよ、まぁ初対面で悪かったね。お詫びとその子達を助けてくれたお礼も兼ねて、あんたも今日は無料でうちの料理をたらふく食べたいっておくれ……!!」
その言葉に、イノリの双眸が子供のように輝いた。
「さっすが女将さん……!! 太っ腹だぁ」
「あんた、本物の太っ腹をしてる人に向かってなんて失礼なこと言うんだい」
「いひゃい、いひゃい……ち、違……褒め言葉で……」
「そんなもん知っとるわ!!」
女将に頬を引っ張られて叱られている姉の姿に、ヒノリは思った。
(……嗚呼、うちのお姉ちゃん……不憫すぎる……)
「大丈夫か? なんだか遠い目をしてるぞヒノリ」
「くっ……でもお姉ちゃんのそういうところも私は凄くいいと思うんです!!」
「あ、う、うーん……そうだな」
ヒノリの歳上の兄姉に対する敬愛の雰囲気に、既視感を頭に過らせながら、リアは曖昧に頷いた。
「ひのちゃん、リアー」
数秒のお説教から解放されたイノリが、悪びれもせず、いつもの調子で振り向いた。
ヒノリから見れば、割と真面目に女将は怒っていたようだったが、姉が落ち込んでないという事は、そこまで深刻に叱られたわけではないのだろうか。
当の本人である女将は、食堂の掃除を始めたようだ。
(女将さん、ちょっと笑ってる……ような?)
リアと話している間にどんな話をしていたのだろう。ヒノリは内心で首を傾げた。
「こっほん。それじゃあ、まずはリアも一緒なお風呂入ろうよー。おっふろー、おっふろー!! あ、洋服は私のを貸してあげる。じゃあ、行こ行こう」
「お姉ちゃん、そんな勝手に……」
「ぐふ……っ」
「リアさーーーーん!?」
急に手を引かれたリアは、足をもつれさせてその場にすっ転ぶ。
「わーーーーっ!! ごめんリア、急に手を引いたりしたから……。怪我してない!?」
「……いたたた……だ、大丈夫だ。よくある事だから……」
「よくあるんだ……!?」
「感心じゃなくて反省してよお姉ちゃん……」
「……全く何してんだい。戯れあってないで、あんたら、とっとと着替えてきな……!!」
宿屋の入り口で、いつまでもわちゃわちゃとしている(原因はイノリなのだが)三人の少女に、女将はテーブルを布で拭きながら声を荒げた。
((……なんか、お母さんとかおばあちゃんみたい……))
イノリとヒノリは同じ事を思い、アイコンタクトを取って頷き合う。
やっぱり同じことを互いに考えていたのだと目だけで確認し合った姉妹は、「「はーーーいっ」」と、小さな子供のように口を揃えて返事をする。
「行こっリア」
「あ、ああ……うん……」
姉妹はリアを伴って、借りている部屋へと向かった。
▼△
お風呂から出た三人は、楽な格好に着替えて食堂のある一階へと降りる。
イノリとヒノリは色違いの膝下丈ワンピースだ。
イノリは落ち着いた若草色、ヒノリはカスタードクリーム色。
首の後ろで結ばれた紐には、それぞれ太陽と月のチャームが揺れていた。イノリの紐の太陽のチャーム、そしてヒノリの紐の月のチャームは、動くたびにチャリッと音を立てる。
そして、姉妹の後ろにいるリアは、イノリの所持していた青色のオフショルワンピースと、白いズボンを借りていた。
姉妹よりも背が高く足の長いリアは、ワンピースの丈が若干心許なく、「これじゃあ、あたしは外に出れなぁぃィィィッッッッ」と泣き喚くので、白いボトムスが急遽追加された。
「うぅ……やっぱり落ち着かないな。今からでも髪を縛って……」
「えー。せっかく綺麗になったのに、髪に癖がついちゃうよ? それにそのカチュームもよく似合ってるし、可愛いのに勿体無いよ」
「そ、そうか……?」
解いた銀色の長髪を指に絡めるリアは、イノリに褒められても、未だどこか不安そうだ。けれど、部屋に戻って今からポニーテールに結い直すのは諦めたらしく、不承不承といった感じで階段を降りる。
一段、また一段、下に行く事に星型のカチュームを装着した美しい銀色の長髪が揺れる。
普段の彼女の格好を知らなければ、どこかの令嬢とも見間違いそうなリアの姿に、先に一階の床にたどり着いた姉妹は感嘆を溢してしまう。
その矢先————、
「……ほわ……?」
リアが一段踏み外して宙に浮く。
「「 わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああっ!? 」」
ギョッと目を見開いた姉妹が、落下してくるリアへ慌てて手を伸ばした。
『あるじたち、何やってるんだヨ……』
「——— うぅ、面目無い……ありがとうなルーくん……」
姉妹とリアの間に割り込んだルーくんが、その柔らかな銀色の毛並みを纏った体の側面で階段から落ちたリアをもっふり受け止めた。
「せ……せーふ……」
「ほんと、びっくりした……」
姉妹は、糸が切れたように床にへたり込んだ。
「あんたらは本当、落ち着かないねぇ……二人だって賑やかだったのに、三人になってより騒がしくなったみたいだ」
両手に皿を乗せて料理を運んでいた女将は呆れ笑顔だ。「あはは……っ」誤魔化すような笑い方をしたイノリは、女将の動きを目で追いかけて気が付いた。
「……美味しそう……」
「そうだろう。まぁ、あんたらを待っている間に亭主が作りすぎちまったんだよ」
煙が立つ温かい煮込み料理に、噛めばじゅわぁっと油を堪能できそうなお肉料理、優しい匂いの野菜スープ、新鮮な野菜を使ったサラダ、様々な具材を使ったサンドウィッチ、黄金色のパン粉が乗ったチーズたっぷりのドリア。
生クリームと苺をふんだんに使用したワンホールケーキに、どっしりとしたチョコを使ったガーターショコラ。
女将の言葉通り、到底三人では食べきれなそうな量がテーブルに乗っていた。
「……あの……残すのは勿体ないので、他の方を呼んでもいいですか……? ダンジョンでお世話になったので……」
「……今日は大目に見てあげようかね。呼びたきゃ勝手に呼びな。こっちも料理が残るよりはいいってもんだ」
流石に女将もこの量を三人の少女が平らげるのは無茶が過ぎると分かっていたのか、ヒノリの提案をすんなり了承してくれる。
ヒノリがヤギ鳥便で某二名を呼び出している間、料理に手を付けずに待っていなくちゃいけない気持ちはあった。
けれど鼻腔をくすぐる美味しそうな匂いに負けてしまった三人は、女将の「新しい奴が来たら個別に出してやるから、あったかいうちに食べな!!」という言葉に後押しされたのもあって、幾つかの料理を綺麗に小皿に取り分けて食べることにした。
舌鼓を打ちながら会話に花を咲かせていく。
「なるほど、二人はこの街の出身じゃなかったんだな。自分の故郷から離れた場所で頑張っているなんて偉いな二人とも」
「そんな事ないよーふふふー」
「嬉しそうだな。それで、ソノブエル大陸のどの国の出身なんだ……?」
「……ソノブエル、大陸?」
ナニソレ美味しいの?
花咲かせていた会話の雲行きが怪しくなっていく。
「んぅ? あんまり地理は詳しくないのか?
ソノブエル大陸は、北と南、西と東、そして中央の5つの国で成り立っているだろう」
「今いる大陸に名前があるってことは……その他にも大陸があるってことよね?」
「……なんだか、急に二人が心配になってきたな……。口頭だけで伝わるかも心配だが……。
えっと、ヒューマン、獣族、エルフ、精霊が住むソノブエル大陸。
魔族が暮らして未開拓領域があるシングリア大陸。
天族が暮らす浮遊島レーテ。
それにドラーグ族が暮らす浮遊島ガルデアスが、世界にある大陸と島の名前だ……常識だろう? 大丈夫か?」
「「あ、あははは……あんまり地理は得意じゃなくて」」
痛いところをつかれた姉妹は、互いに銀髪の少女から目を逸らすしかなかった。
片眉を不思議そうに釣り上げリアに気がついたイノリが話を逸らすように慌てて尋ねる。
「そ、それよりも! リアはどこから?」
「あたしか?……あたしはちょうど東の国からこの中央国に旅をしに来たんだ!
黒髪の多い東の国じゃ、あたしの銀髪はどうも浮いちゃってさ。まぁでも……船に乗って旅に出たら鳥のモンスターに啄まれて運ばれて……山の中にある池に落ちたり……ははは……」
「「……う、うわぁ……」」
乾いた目と声をしたリアの災難話に、つい悲嘆せずにはいられなくなったイノリとヒノリは慌てて口を手で覆った。
「……やっぱりか……いいんだ。あたしは昔からこういうのには慣れているからな。どうしてだか昔から人より少しついてないんだ……」
((絶対ちょっとじゃない……))
「そ、そうだ……そういえばダンジョンで何を話そうとしてたの?」
「んぐぅ!?」
話題を変えようとしたイノリからの問いかけに、リアは喉を詰まらせた。胸を懸命に叩いては、果実水を飲み込んでぜーはーっと肩を上下させる。
「けほっ……げほ……っ。……イノリ、覚えてたのか……」
頬を引き攣らせたリアは、コップを持つ手をもじもじと遊ばせる。
どうにも言い出しにくいらしい。
そう踏んだイノリは無邪気に微笑む。彼女の後押し(完全に真逆の応援なことに本人は全く気がついていなかった)をしているつもりで、果実水を空になったリアのコップに注いでいく。
「当たり前だよー。ダンジョンから帰って来るまでに忘れたりしないよ」
「……っく……、てっきり雰囲気に流されてくれる単純な人かと思っていたのに……!」
「全部聞こえてるんだけど、でもなんで残念そうなの?」
「う……ぐ……うぐ……」
喉を締めるような声で言葉を詰まらせるリアへ助け舟を出したのはヒノリだった。
「……その、リアさん……。話したくないなら無理にとは言わないです。お姉ちゃんも急かさないの」
「だって気になってしかたないし……ひのちゃんの言ってることも分かるけどさ。ひのちゃんも気にならないの?」
「……気になるけど……あふ……あふぅ」
尻窄みになる声音を誤魔化すように、ヒノリはチーズたっぷりのドリアを乗せたスプーンを口に運んだ。あつあつトロトロのチーズとクリーミーなホワイトソースがよく絡んだあつあつマカロニを、ほふほふと冷ましながら咀嚼していく。
「うーーーん、でもそっかぁ。ご飯効果でも話し難いとなると……余程重い話なのかも……? そしたらひのちゃんの言う通り……」
妹が舌を火傷しながらドリアを頬張っている隣で、イノリはブツブツ呟いていた。話しやすい環境を作れたらと思っていたのだが、リアにとってはそんな事ないらしい。ショックを僅かに覚えたものの、イノリは背筋を伸ばして改まった口調で言った。
「なら、私の話を二人に聞いてもらおうかな」
「お姉ちゃんの話?」
「イノリの話か……わかった、なんでも話してくれ」
神妙な表情でリアやヒノリも背筋を伸ばし、食事の手を一度止める。
注目を一身に浴びたイノリは一つ咳払いをして、それらしい空気を出してからリアに手を差し伸べて口を開いた。
「——— あのね、リア。私たちとパーティを組んでくれないかな?」
「………………………………… あたし、を……?」
大きく目を見開いて絶句するリアに、イノリは「そうだよ!!」と可笑しそうに笑った。
「恥ずかしい話、ダンジョンの中で前衛がいてくれる素晴らしさを知っちゃったっていうか。大袈裟に言うとリアなしに冒険に行けないって思っちゃったというか……。
あ!! もちろんエインやオフィーリアと既にパーティを組んでるんだったら、そっちを抜けて欲しいとかって訳じゃなくてね。だったら断ってくれていいし……」
イノリは微笑んだまま首を傾げる。
「どうかな……?」
ヒノリも姉の意見に異論はないので、リアの返答を待つようにジッと銀髪の少女を見つめた。
「ぁ………ぅ……えっと……」
ぶわわっと赤面したリアは俯き、肩を窄めた。姉妹からは見えないが、肩の関節の形から手を腿の辺りに置いているのが推測できた。
唇をもごつかせた後、ようやっと銀髪の少女は顔を上げた。
「……あたしは……エイン達とはパーティを組んでいる訳ではないんだ。居候をさせてもらっていて……。
それとは別に……イノリ。あたしは、周囲よりも不幸体質なんだ。それをわかって誘ってるのか? 」
「うん。それはさっき聞いたし、見たし、リアが思ってるより結構ドジだと思う」
「ど…………じ………」
あっけらかーーーんっとしたイノリの言い方に、リアの目が点になってしまった。
(流石のリアさんも怒り出すんじゃ……)
見守るヒノリの心拍数が密かに上昇していた。
「……ぷは……ふふ、あははははっ」
「リアさんが壊れたっっ!?」
「あはははっ……はー……大丈夫だヒノリ。一人で悩んでいたのが可笑しくなってしまったんだ」
目元の涙を拭うリアが、もう片方の手でイノリの手を掴んだ。
「こんな前衛で良ければ、二人に着いていこう」
姉妹の顔がパァッと輝きを放つ。
「ほんとう!? / 本当ですか!?」
「ああ。……その、なるべく迷惑をかけないようにするが……」
「迷惑なんかじゃないよ! / 迷惑じゃありません!」
やはり自分の体質を気にしているリアの言葉を、姉妹は同時に否定した。テーブルに手をついて、体は前のめりになっている。リアの方が思わず背中側へ退けぞいてしまった。
意表を突かれたらしいリアは数秒ほど目を瞬かせていたが、姉妹からの言葉にその口に穏やかな微笑みを浮かべる。
「……ありがとう二人とも、これからよろしく頼む」
「うん!! 私の方こそよろしくねリア」
「よろしくお願いしますリアさん」
三人は互いに顔を見合わせる。皆、改まった空気にちょっと恥ずかしさを覚えているのだとなんとなく伝わってきて……。
「ふふ……っ」
耐えきれなかったらしい笑い声が三人から溢れた。
次は二章になります。
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