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18/19

18:終わりは必ず来る

もう秋だと言うのに、少しだけあったかい日。

今日は、晴れだしあったかいしお出かけにピッタリな日だ。

しかし、外には出れない。

つまらなくて、モラノを見る。

しかし、私の方を見てくれるわけも無く、テレビを見ている。


「ねーねー」


「……んだよ?」


「暇ー暇ー」


「……そりゃな、俺だってお守りなんてしたくねーよ」


モラノはあくびをして、暇だということを態度で伝える。

ピンポーン


「ん?」


「え?」


インターホンがなったので、二人で顔を見合わせたが、とりあえずモラノは玄関に向かった。

すると、玄関からぎゃあぎゃあと何かの声が聞こえる。

気になって、影から少しだけ覗くと、そこには茂名縞さんが居た。


「おぉ!椎華さんモナ!

やっぱり、僕の予想通りモナね!」


「ちょ…お前…一回黙れ!」


モラノは、そう言うと首の後ろに手を回してグイッと後ろに引っ張ってから百八十度回転させて引きずりながら部屋に入った。


「で、こいつ何なの?」


「えーっと…」


「僕は、椎華さんのお見合い相手の茂名縞紘(もなじまひろ)だモナ。

みんなには、モナーと呼ばれてるモナ」


ニコニコと優しそうな笑みを浮かべる茂名縞さん。

白い毛色に下に垂れている目が余計に優しそうな顔を印象づける。


「このご時世でも、見合いって…。

あぁ、そっかお前お嬢様だもんな」


「ほっといて!」


プイッとモラノから顔をそむける。

すると、茂名縞さんが私の右手を取りニコリと笑った。


「怪我とか無いモナ?

探し出すのに、時間かかってすまなかったモナ」


「え?あ…はい?」


あ!そうか…私誘拐されてたのか(自分からだけど)。


「よくわかんねぇけどさ。

俺、お前の性格嫌いだわ」


「……僕の事を殺す気モナか?」


「お望みなら?」


「ただ、殺せないモナよ」


茂名縞さんは、立ち上がるとモラノの後ろのドアを見つめた。

モラノと私は茂名縞さんの視線の先を見つめた。

ドアを見つめて数秒した後、ドアが開いた。

そこからは、スーツを着た四人の姿が見えた。

その中にはアヒャさんもいた。


「警察だ。

茂倮野賢一、お前を誘拐犯として現行逮捕する」


灰色の毛色の人は、他の三人より一歩前を出て言った。

モラノは、立ったまま固まっているように見えた。

緑色の毛色の人がモラノに近づくと両手に手錠をかけた。


「ヒャ…。

大丈夫ですか?」


「あ……」


アヒャが他人行儀な笑顔で私に近づく。

これは、何かのドッキリだろうか。

きっとそうだ。

アヒャの顔にはどこか余裕がなさそうに見えた。

茂名縞さんが後ろから私を抱きしめる。

放心状態で、私は反応を示す事が出来なかった。

しかし、私の目からはポタリと涙が流れた。


「……あぁ。刑事さんよ。

ほんの数十秒だけ時間くんねぇか?」


「……いいだろう。

しかし、そばにいるからな」


「やれやれ。

厳重だな」


モラノは、肩をすくめて口の端をあげた。

そして、緑色の毛色の人と一緒に私の目の前に来た。

身長差から、少し見上げる形になった。


「……な…に?」


声が震えないように一生懸命気をつけたのだが、ほんの少しだけ震えてしまった。

モラノは、歪んだ笑顔になると笑いを抑えるような声で言った。


「俺さぁ。

本当の事言うと、お前の事

大っ嫌いなんだよね」


「ーーーえ?」


「もっかい言おうか?

お前が世界で一番に嫌いなんだよ」


私はモラノの言葉を理解出来なかったが、二回目に言われた言葉でようやく理解が出来た。

そうだよね、一方的なね…私の気持ちなんだから…。

嫌われるのも…わかるけど…。

でも…あの日の…あれは?


「何か勘違いさせるような事したモナ?」


茂名縞さんが、物凄い剣幕で私の前に立つ。


「キスした」


「は?」


「だから、そのまんまだよ。

寝たふりしてる時にしたんだよ」


「っざけんな!よくも、手を出したモナ!?」


茂名縞さんが、モラノに掴みかかると刑事さんが茂名縞さんを押さえた。

茂名縞さんとは対象的に、モラノは笑っていた。


「そいつはお前のものにすらなってねぇのによく言えるな」


「それ以上挑発すると打つぞ?」


「はいはい」


アヒャと茂名縞さんと私を残して四人はこちらを振り向く事なく、家を出た。

私の目からは涙がボロボロとこぼれて、自分ではもう制御できなかった。


「茂名縞さん。

神島さんと話さなくてはいけないことあるので…いいですか?」


「あ、はい。

じゃあ、椎華さんまた後日」


名残りおしそうに、茂名縞さんは部屋を出て行く。

私の目からはとめどなく涙が流れる。

先ほどの営業スマイルのような顔からいつものにやけ顔にアヒャは戻ったが、その顔もどこか辛そうだ。


「……悪いな」


「……アヒャが…っ…謝ることじゃ無い……だっ…て、いつかはこうなること……私もモラノだって……分かってたよ」


途切れ途切れの言葉でも、ちゃんと聞いてくれる。

アヒャは、私にそれ以上言葉をかけなかったし、それ以上何もしなかった。

ただ、私が泣き止むまでずっと飽きることなくそばに居てくれた。






「で、何のために誘拐したんだよ」


「はぁー…何回言えばわかるんだよ。

だから、あれはほんのゲームなんだってば。

暇だから、うろうろしてた奴捕まえたらたまたまお嬢様だったわけであってな」


警察は、この言葉を全くと言って良いほど信用してくれない。

神島家に個人的に恨みがあるとか、そういう風に捉えられている。


「だからなー。ゲームで誘拐する奴はそうとうココがおかしいぞ」


そう言って、目の前にいる男は自分のこめかみ部分を指す。

こいつじゃ話にならないと思って後ろを振り返り後ろにいる男に目を向ける。


「おい。つり目さん」


「フーンさんと話してろよ。

俺は会話はしねぇぞ」


「やれやれ」


どうやら、目の前にいる男はフーンと言うらしい。


「フーンさんとやら、俺はな自分で言うけど手遅れなんだよ」


「はぁ?」


「連続殺人事件あっただろ?

最近パッタリと無くなったろ?」


「ん?

そうだな…二週間前から…」


ガキを家に入れてから、なるべくその手の事は避けてきた。

教育に悪いからな。

俺は無機質な冷たい机の上で手錠をされている両手を組んだ。


「あれの犯人。

俺だから」


「ーーは?」


フーンは、細い目を丸くした。

その反応が面白く、笑いそうになったがここで笑うと嘘見たくなるのでこらえた。


「嘘だと思うなら、今ここでお前を殺そうか?」


「……手錠をしてるから、無理にきまって」


言葉の途中で両手を机につき、机を飛び越えるとフーンの後ろから手錠の鎖部分を首につけて、引っ張ると首を閉まる形になった。

つり目さんは、銃を俺に向けた。


「そんな物騒な物向けんなって。

殺しはしねぇよ」


両手をパッと上にあげて、フーンの頭上でヒラヒラと揺らす。

つり目さんが、銃を下ろすのを確認すると俺は椅子に座った。


「……」


「ま、そう言うわけ」


「今のが、何の証明になったのか知らんがお前が危険人物だとは理解した」


「なんだそりゃ」


フーンは、呆れたように俺に言った。


「ま、お前がそう言ってんだからそうなんだろうな」


そう言うと、フーンはため息をついた。

無駄に体力を消耗したので俺は、机に顔をのせた。

きっと、俺は死刑なんだろうな。

さんざんいろんな事してきたから、まともに死ねるはずないと考えていたが、死刑ならまだ気が楽だな。

死刑にならなくとも、相当辛い何かがあるんだろうな。


「……なぁ」


「人の質問無視してなんだよ」


何かフーンが言っていたんだろうか。

耳に入ってこなかった。


「俺は死刑なんだろうか」


「ふん…いまさら、怖気付いたか?」


「……いや、さんざんいろんな事してきたからな、それくらいは覚悟済みだけど…」


「?」


死刑なんかじゃ、軽すぎるんだよ。

流石にそんな事は言えず俺は流れに任せる事にして、顔をあげた。


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