望海 ④百味繚乱
次に僕らが訪れたのは、チェンマー島である。この地は、古くから海上交易の要であるため、商船の往来が多く、様々な文化が混交する。港には帆が林立しており、白、紅、黄、黒、藍など様々なカラーリングの帆が存在する。甲板からは、香辛料の袋が投げ降ろされ、樽が転がる。市場では、戦士が金細工を値踏みするが、商人はびた一文たりとも負けない構えだ。西国の商人も絹を持ち寄り、水夫は色鮮やかな果実を齧って目を見張る。
リュカは、まず香辛料店に入ったが、うずたかく積まれているスパイスが彼の鼻孔をくすぐる。「へくちゅ!」とくしゃみをしてしまった。
リュカは、宝石や香辛料、香油、南国果樹の苗木に目を奪われる。クシイナダが、「どれでも好きなのをどうぞ。」というので、手あたり次第お土産を買っていく。「誰にあげるのですか?」と問われたので、「リル、マリー、ヘレナ、そしてリゼ皇女」の名前を挙げたら、クシイナダに嫉妬された。
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クシイナダは、賭け事が得意らしい。お店の人との値切り交渉では、賭け事に誘導する。コイントスや、神経衰弱などで勝負をつけるのだが、どれもこれも勝ってしまう。おかげで路銀を節約することができた。
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お腹が空いたので、市場に入る。市場では、いろんなものが売っており、テイクアウトしたものをイートインスペースに持ち込んで食べることができる。僕らは、青パパイヤの炒め物、香辛料たっぷりの島カニ煮込み、南国香草の炙り魚の3つを頼んだ。
青パパイヤの炒め物は、湯気に甘青い香りが入り交じり、噛むとシャキシャキというみずみずしい音がする。初めて食べるリュカは、「果物と思っていたのに!」と驚いており、その様子をクシイナダがクスクスと笑っていた。
香辛料たっぷりの島カニ煮込みは、ココナッツミルクに、トウガラシや島胡椒、柑橘の皮などをまぜて蟹を煮込んだものである。これは手で食べるのが一般的らしく、濃厚な汁がドロッと指先に絡む。クシイナダが「遠慮しないで」と甲羅を割って、差し出してくれたので、リュカは思いっきりガブつく。蟹の身や卵、そしてエキスはうま味抜群で、リュカは政治を忘れることができた。
南国香草の炙り魚は、焼き目がパチパチという音をしており、柑橘のしずくは陽光に照らされる。炭火でじっくり焼き上げたその味は、抜群にうまい。なるほど、普段帝都では食べられない、新鮮な魚を使っているからだろう。




