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調和と大地の迷宮  作者: 旅燕
リムフォード編

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6/60

 昼過ぎの宿屋。

 イリオス達の部屋で三人は集まり、話し込んでいる。

 冒険者ギルドで仲間の募集については既に聞いてきた。

 あとはテーブルに置かれている用紙に必要事項を書いて、ギルドに提出するだけだ。


「どんな人が良いだろうか」


 まずはディーンが問題提起をする。それに対して声を上げるのはイリオスだ。


「はい! 強い人が良い!」

「後衛はもう一人欲しいよね」


 しかしすかさずコミティスが割り込み、イリオスの発言を流す。


「そうだな。じゃあ一人は後衛で確定、と」

「あれー?」


 首をかしげるイリオスを無視して、ディーンはさらさらとメモを書き込む。

 冒険者のパーティとして一般的な人数は五人程度。つまりはもう一人くらいは募集することも確定している。


「オレが魔法剣士で、イリオスが剣士で、コミティスが弓使いだから……と、なると……」

「あと一人は前衛かな。その方がディーンも、動きやすいよね?」


 コミティスの発言にディーンは頷く。


「じゃあ、前衛一、後衛一だな。性別とかも指定できるみたいだけど」

「そこは別に、無しで良いんじゃない? できる限り早く来てくれたほうが助かるし」

「そうだな」


 自分の主張をスルーされたイリオスは、話にも割り込めずに聞き役に徹するしかない。


「良い人が来てくれると良いね」

「そうだな」


 しかし二人のこの発言には満面の笑みで頷くのであった。



 冒険者ギルドに募集を出した翌日。

 三人は並んでギルドへと向かう。

 当然というか、イリオスはご機嫌である。


「すっごい剣士とか来てるといいな」


 ――おまえみたいな剣士がそう何人もいてたまるか。


 あの後も、先輩冒険者から受ける空気は変わらず冷たい。

 ただ、本人が気付いていないし気にも留めていないようなので、ディーンも特には気にしないようにしていた。



 冒険者ギルドに着いた三人は、いつもの禿頭の受付に話を聞きに行く。


「ああ、少し待ってろよ」


 用件を聞いた禿頭の受付は、カウンターの奥に向かう。

 やがて戻ってきた禿頭の受付。


「まだ、応募は来ていないな」


 その言葉にイリオスがガクッと頭を垂れる。


「そんなー」

「ま、昨日今日ですぐに応募がある方が珍しいさ」


 禿頭の受付はイリオスの肩をぽんぽんと叩く。


「そういうもんか」

「そういうもんさ」


 ディーンとコミティスにもがっかりする気持ちがないわけではない。

 しかし先にイリオスに落ち込まれて、自然と口元を緩めるのであった。

 冒険者ギルドの受付を離れた三人は、いつも通りに今日の仕事を受けるため、依頼掲示板へと向かう。


「今日は、何にしようかな……そろそろ奥にも行ってみたいけど」

「もう。焦らないの。ダンジョンは逃げないんだから」


 先に行きたい気持ちを出すイリオスを、コミティスが押さえつける。

 ディーンがそんな二人の様子を眺めている時であった。


「あのチーム、募集始めたんだな」


 ふとそんな声が聞こえて、ディーンはそちらを向く。

 そこにはこちらに体を向けて話す冒険者達がいた。


「まあ人数的にもな」


 自分達のことだろうか。ディーンは思わず聞き耳を立てる。


「剣士は、強いよな」

「ああ、あれは成功するんじゃないか?」


 聞こえてきたのは称賛の言葉。その言葉に、ディーンは少し誇らしげな気持ちになる。しかし次の瞬間だった。


「問題は……だよな」

「ああ。ちょっと中途半端だもんな、今の構成」


 ――中途半端?


 ディーンはそれがどういう意味か考え……そして。


「……あ」


 イリオスは違う。褒められていた。

 コミティスも違う。彼女は後衛で、中途半端という言葉は当てはまりにくい。

 となると残るは……


「……? どうした? ディーン」


 ふいにかけられた言葉にディーンはビクッと揺れる。

 そちらを向くと、イリオスが不思議そうな顔でこちらを見ていた。


「ああ、いや。何でもない」


 ディーンはとっさに取り繕う。


 ――……違う。きっとオレたちのことじゃない。


 イリオスが取ってきた依頼書を見ながら、ディーンは自分に言い聞かせる。



 今日の依頼は薬草採取である。

 もうこの仕事も慣れたもので、四回目だ。

 見つけて、掘り起こして、傷付けないよう鞄にしまう。


「…………」


 禿頭の受付が薬草をじっと見つめる間の空気感も、幾分か和らいでいる。


「うん、悪くない。依頼達成だな」


 そして今回も問題無く依頼達成となった。

 禿頭の受付は金を数え、支払いをする。


「ほらよ。……採取の腕を上げたな」


 何気無く漏れた言葉にディーンは顔を輝かせる。


「あ、ありがとうございます!」


 そして財布に金をしまっている時であった。


「あの……」

「ん、どうした?」


 禿頭の受付のところに別のギルド職員がやってきて何かを告げる。

 それを聞くと……禿頭の受付はニッと三人に笑いかける。


「ちょうど良いな。募集の件、進展があったと」

「ほ、ホントに!?」


 イリオスがガタンとカウンターに手を付いた。



 そうしてイリオス、ディーン、コミティスの三人はギルドの応接室に通される。


「お待たせしました。こちらアルモニアの皆様です」


 応接室に先にいたのは、金の髪の美人と、白く裾の長いジャケットを羽織った少女だ。


「アルタリアだ」

「り、リラです」


 アルタリアはその背に盾を背負い、白いジャケットの少女リラは……見た目通りならヒーラーなのだろう。年齢はそれぞれ二十歳と十五歳だった。


 ――盾使いにヒーラー。バランスの良い構成だな。


 ディーンはそう考える。


「俺はイリオス」

「ディーンだ」

「コミティスです。よろしく」


 それぞれ握手を交わすと、椅子に座った。

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