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足掻く
イリオスとカルスが別れてから数日。
今日もアルモニアの日常は続いている。
朝起きて、ニバンボシで朝食を摂る。
冒険者ギルドに向かい、依頼を取り、ダンジョンへ向かう。
夕食の後は一日の総括を行い、帳簿を閉じて、眠りにつく。
シプレの街は今日もいつも通りであった。
街にとっては。
夕食前の時間。
ディーンは部屋で一人、頭を掻く。
そこに響くノックの音。
「どうぞ」
入ってきたのはコミティスだった。浮かない表情だが、それでも一応聞く。
「どうだった?」
「ダメ」
そう言ってコミティスは横線だらけのリストをディーンに渡す。
「どこも似たような反応だね。私が入ると、みんな目をそらすの」
ふうと息を吐いて、コミティスが首を振る。
「そうだな……こっちもだ」
ディーンとコミティスは、二人揃って難しい顔をする。しかしすぐに首を振ると、ディーンは提案をする。
「明日は違う地区に行ってみよう」
「うん」
一人ではない。
それだけで、まだ頑張れる気がした。




