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調和と大地の迷宮  作者: 旅燕
シプレ編

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46/60

危うい信頼

 夕食の後、男子部屋にて。

 コミティスとアルタリアは、待機組にルシオンの探索での働きを伝える。

 罠で困ることはなかったこと。

 戦闘に介入したのは一回だけだったこと。

 解体や採集を手伝ったこと。

 そして冒険者ギルドでの査定結果。

 全部を聞いて、ディーンは頷く。どうやら彼の中では結論が出た様子だ。


「みんなは、どう思う?」


 しかしそれを口に出すことはなく、ディーンはまず他のメンバーの意見を求める。


「私は、冒険者としての彼を判断するには経験が不足しておりますので、皆さんにお任せします」


 月船はすぐにそう言って一歩引いた。


「とりあえず、罠への対応という点では問題なかったんですよね」


 そう確認するのはリラだ。

 アルモニアが特に求めているのは罠への対応なので、ここで問題がなかったというのは大きな加点だ。


「戦闘については……一回しか参加しなかったとは言いますけど、わたしも状況によってはお仕事がないので」


 情報を整理したリラは小さく頷く。


「わたしも、実際に探索に出たみなさんの意見に任せます」


 リラもそう言って、権利をみんなに委ねる。


「おれは、別に良いと思うよ」


 そう言うのはシグだ。


「戦闘で困らなかったから、それで十分」


 簡単に結論を言って、それ以上の理由は語らない。


「俺は、正直もっと頑張れるんじゃないかとも思ったけど」


 一方でイリオスは少し悩んだ様子を見せる。


「けど……ルシオンの話も聞かないうちから決めつけるのは、失礼だよな。……うん。罠とか採集とかでは大丈夫だったし、俺も良いと思う」


 コミティスとアルタリアは……ディーンと目が合うと、黙って頷く。


「決まりだな」


 その場にいる全員が、もう一度頷いた。



 翌朝、待ち合わせ場所である冒険者ギルドの前に向かうと……


「やあ」


 ルシオンは大きな荷物を脇に置いて立っていた。


「話は決まったかな?」


 ニコリと笑うルシオン。

 それを見て……一行は思わず苦笑い。でももったいぶらずに結論を伝える。


「ああ。採用だ」


 ディーンがそう言うと、ルシオンは「やった!」とガッツポーズを取る。


「いやー。良かった! 今まで泊まってたとこ、撤収しちゃったから。これでもし断られたら、どうしようかと思ってたよ!」


 そう言ってルシオンは荷物を背負う。


「で、キミたちはどこの宿に泊まってるの?」

「宿屋ニバンボシだよ」

「ああ。良い宿屋って評判だよね。キミたちについてくことにして正解だったよ」


 ディーンは余っている一本の鍵を、ルシオンに差し出す。それを見たルシオンは、素に戻った様子で……きょとんと首をかしげる。


「これ、なに?」

「オレたちが使ってる部屋の鍵だよ。ベッドが一つ、余ってるから。もちろん、ルシオンが個室のほうが良いって言うなら無理強いはしないけど」


 その言葉にルシオンは目をぱちぱちとさせて……思わず呆れ笑いを浮かべる。


「……キミ、さあ。ボクが悪人だったらどうするの。明日には部屋が空っぽになってるよ」

「あっ」


 しかしルシオンはディーンが手を引っ込めるよりも早く……その鍵を奪い取る。


「せっかくだから使わせてもらうよ。個室なんて取ったら、お金がもったいないしね」


 そう言って、宿屋ニバンボシがある方向に足を向ける。


「ほら、行くよ!」


 ルシオンはニコニコと笑いながらそう言った。

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