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調和と大地の迷宮  作者: 旅燕
シプレ編

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40/60

第二のダンジョン都市

 コツコツと響く足音。

 平原に敷かれた石畳の道を進むアルモニア一行。

 やがて、先頭を歩くイリオスが、地平線の向こうに見えたその街の存在に気が付く。


「みんな! 見えた!」


 イリオスに続いて足を止めるアルモニア一行。そこには確かに人工物があった。


「あれが――ダンジョン都市シプレ!」

「はは。はしゃぐのは良いけど落ち着け。まだだいぶあるんだから」


 今にも駆け出しそうなイリオスのリュックサックを掴むディーン。

 仲間たちはその様子を見てくすりと笑う。

 やがて……

 地平線の上にぽつんとあったその街は、徐々に大きく迫ってくる。


「これがシプレ名物の防壁ですか。世界は広いですね」


 そう言うのはアルモニアでは新入りの月船。

 白亜の防壁は見上げるほどの高さで、街の全容は未だ見えない。


「あー、早いところ順番来ないかな。どんな街なんだろ!」


 アルモニア一行は街に入るための審査待ちの列に加わって、その時を待つ。



 簡単な審査を終えていよいよ街に入る。

 そこには――

 リムフォードよりも遥かに広い道。たくさんの人。そして大都市でなければまず見られない、魔石を使った魔道車。

 門前広場は活気に満ち溢れていた。


「おお……!」


 イリオスはその様子に目を輝かせる。そしてそんな彼に向かって、


「おーい!」


 と声をかける者がいた。串焼き屋台の店主だ。


「アンタたち、新入りの冒険者だろ? ようこそシプレの街に!」


 イリオスが近寄ると、屋台の店主はいそいそと手を動かし……イリオスに串を一本渡す。


「はい。これあげるよ!」

「え? 良いの?」


 手渡された串焼きと店主を見比べてイリオスが聞く。


「ああ! それにしても君たち、良い街に来たねえ」


 店主はちらりとイリオスの背後にいる仲間たちにも目を向けて……そして大げさに両手を広げる。


「この街の名前にはね、『希望』という意味が込められているんだ!」


 それを聞いてイリオスは「おー」と声を上げる。


「それは良い名前だな!」

「だろう?」


 店主は人の良さそうな笑みを浮かべて言う。


「じゃあ、お兄さん! これありがとう!」

「良いって、良いって! この街を楽しんでいってね!」

「ああ!」


 串焼き屋台を離れて、ご機嫌なイリオスにディーンが言う。


「良かったな、イリオス」

「ああ!」


 イリオスは串焼きに刺さった肉を頬張り、「うまっ!」と声を上げる。


「とりあえず、宿を探さないとね」


 幸せそうなイリオスを横目に言うのはコミティスだ。

 まだ午前中という時間とはいえ、行動は早いに越したことはない。


「ではまずは、宿の場所の聞き込みだな」


 アルタリアの言葉にアルモニア一行は頷く。

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