第二のダンジョン都市
コツコツと響く足音。
平原に敷かれた石畳の道を進むアルモニア一行。
やがて、先頭を歩くイリオスが、地平線の向こうに見えたその街の存在に気が付く。
「みんな! 見えた!」
イリオスに続いて足を止めるアルモニア一行。そこには確かに人工物があった。
「あれが――ダンジョン都市シプレ!」
「はは。はしゃぐのは良いけど落ち着け。まだだいぶあるんだから」
今にも駆け出しそうなイリオスのリュックサックを掴むディーン。
仲間たちはその様子を見てくすりと笑う。
やがて……
地平線の上にぽつんとあったその街は、徐々に大きく迫ってくる。
「これがシプレ名物の防壁ですか。世界は広いですね」
そう言うのはアルモニアでは新入りの月船。
白亜の防壁は見上げるほどの高さで、街の全容は未だ見えない。
「あー、早いところ順番来ないかな。どんな街なんだろ!」
アルモニア一行は街に入るための審査待ちの列に加わって、その時を待つ。
簡単な審査を終えていよいよ街に入る。
そこには――
リムフォードよりも遥かに広い道。たくさんの人。そして大都市でなければまず見られない、魔石を使った魔道車。
門前広場は活気に満ち溢れていた。
「おお……!」
イリオスはその様子に目を輝かせる。そしてそんな彼に向かって、
「おーい!」
と声をかける者がいた。串焼き屋台の店主だ。
「アンタたち、新入りの冒険者だろ? ようこそシプレの街に!」
イリオスが近寄ると、屋台の店主はいそいそと手を動かし……イリオスに串を一本渡す。
「はい。これあげるよ!」
「え? 良いの?」
手渡された串焼きと店主を見比べてイリオスが聞く。
「ああ! それにしても君たち、良い街に来たねえ」
店主はちらりとイリオスの背後にいる仲間たちにも目を向けて……そして大げさに両手を広げる。
「この街の名前にはね、『希望』という意味が込められているんだ!」
それを聞いてイリオスは「おー」と声を上げる。
「それは良い名前だな!」
「だろう?」
店主は人の良さそうな笑みを浮かべて言う。
「じゃあ、お兄さん! これありがとう!」
「良いって、良いって! この街を楽しんでいってね!」
「ああ!」
串焼き屋台を離れて、ご機嫌なイリオスにディーンが言う。
「良かったな、イリオス」
「ああ!」
イリオスは串焼きに刺さった肉を頬張り、「うまっ!」と声を上げる。
「とりあえず、宿を探さないとね」
幸せそうなイリオスを横目に言うのはコミティスだ。
まだ午前中という時間とはいえ、行動は早いに越したことはない。
「ではまずは、宿の場所の聞き込みだな」
アルタリアの言葉にアルモニア一行は頷く。




