市街地での約束
その翌日。
何ごともなかったかのように任務につくアルタリア。今日は市街地の巡回だ。
自分は真面目に、仕事をするだけである。そうすればいつか、誰かが評価してくれるかもしれない。
余計なことは考えないようにしていた。
と……
「アル姉!」
市街地のある区画で、アルタリアはそう呼ばれる。
そこにいたのは青い髪の十四歳。かつての非行少年シグだ。
「シグか。今日も元気そうだな」
「ん」
シグの家はこの辺りにあるので、この区画で会うことは多かった。アルタリアも疑問を持たずに彼に答える。
シグはアルタリアに会って機嫌が良さそうな表情をしていたが……すぐに真面目な顔になってアルタリアの表情を見る。
「どうした? そんなに人の顔を見て」
いつもの気さくな口調でアルタリアは聞く。すると、シグは自身の目元に指を持っていく。
「目」
「ん?」
「腫れてる」
「えっ」
アルタリアは驚いて目元を押さえる。
朝、ちゃんと冷やしてきたはずなのに……!
するとシグは……くすと笑う。
「ウソ」
「は?」
「ウソだよ」
その言葉にアルタリアはむっと顔をしかめる。
「シグ、おまえな……」
「なんかあったの?」
けれど、直後に投げかけられた言葉に思わず口が止まる。
「…………」
少しの間沈黙が続いた後、ふとシグが口を開く。
「いつもの店のパフェ」
「へ?」
「おごって」
その言葉にアルタリアは呆れた顔をする。
「あのな。どうして私がおまえにパフェをおごらなくちゃならないんだ?」
腰に手を当ててジト目を向けるも、シグは気にしない。
「話を聞くお礼ってことで。じゃ、夕方待ってる」
「あ、おい!」
言いたいことだけを言い残してシグは走り去っていった。




