出発前夜
日記をしまい、明日の出発に向けた準備を整えたリラ。
寝支度を整えて窓辺に立っていると、アルタリアがお茶を持ってくる。
「いよいよ明日には出発だな」
「はい。晴れそうで良かったです」
「全くだ」
窓の縁に置かれた茶は静かに湯気を立てている。
「ああ、そうだ」
二人で感傷に浸っていると、ふとアルタリアが口を開く。
「なんでしょう?」
「父君の気持ちは、分かりそうか?」
「…………」
リラは窓の外に目を向ける。
「……そうですね。何となく、分かってきたと思います」
「そうか。……まあ、そうでなければ次の街に行こうなどと思わないだろうが」
「そういうことです」
穏やかに頷くリラ。
それから少し間が空いて。
「ところで、アルテの旅の目的は果たせそうですか?」
リラが問いかけるとアルタリアは「ああ」と頷く。
「十分、果たせているよ」
「……そうですか」
「…………」
そしてまた少し沈黙が落ちた後、再びリラが口を開く。
「そういえば……結局アルテは、どうしてわたしに付いてきてくれたんですか?」
その言葉にくすりとアルタリアは笑った。
「言っただろう? ……内緒だ」
リラは少しふてくされたように言う。
「もう。アルテばっかりわたしのこと知ってて、ずるいです」
「ふふ」
カップが湯気を立てる中、二人は静かに感慨にふける。
この後7時10分に、非常に短いけど独立ページにしたかったエピソードが追加で出ます。




