選択の結果
翌朝。ソファの上で目を覚ましたイリオスは一瞬ぼんやりとして……しかしすぐ我に返って、ばっと立ち上がる。
――しまった、寝てた!
失態を悔やむイリオスであったが、その気持ちはすぐに打ち消される。
立ち上がったイリオスが見たのは、自分のベッドに腰掛け、何事も無かったかのように剣の手入れをしているディーンの姿だった。
「おはよう」
イリオスが起きたことに気付き、いつものように声をかけるディーン。
そのことに、言葉にできないものが一気にこみ上げてくる。
「ディーン!」
イリオスは思わずディーンに抱き着いていた。
「うわ、バカ! 危ないだろ!」
ディーンの膝から剣が落ちる。
それでもイリオスはディーンを離さない。
ディーンは自分の名前を連呼する幼馴染に面食らった顔をしていたが、やがてふっと口元を緩ませた。
朝食の時間。
無言で朝食を進めるコミティス。
いつもの姿はまだ無い。
それが「まだ」なのか「もう」なのか判断はつかない。それでも身体はいつも通り。
と、そこに明るい声が落とされる。
「おはよー!」
いつも以上に明るい声。その声にコミティスがばっと顔を上げる。
そこには喜色満面のイリオスと……少し後ろにけろりとした顔のディーンがいた。
「おはよう」
ディーンはいつもと同じ声色で声をかける。
「……うん。おはよう」
その様子を見て、アルタリアは黙って頷く。リラは微笑む。シグは……チラリと見た後すぐに食事に戻る。
何も変わらない。何も変わらない朝だった。




