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調和と大地の迷宮  作者: 旅燕
リムフォード編

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24/60

繋がる世界

 寝支度を整えたイリオスとディーンの部屋。

 そこではイリオスが楽しそうに喋っている。


「それでさ、ツキフネの剣がこう来て、だからオレはこう返して……」


 その会話をディーンもやはり楽しそうに聞いている。目をキラキラさせながら語るイリオスを優しい目で見ている。

 ある程度イリオスの話が落ち着いてきたところで……ディーンはふと言葉を漏らす。


「……その『ツキフネ』っていう人、オレも会ってみたいな」


 ディーンの言葉に、落ち着きかけていたイリオスは再びテンションを上げる。


「分かった! 今度の休息日に一緒に行こう!」

「ああ」


 すかさず挙げられたイリオスの提案にディーンは淀みなく頷く。



 そして約束の休息日。

 ディーンが連れてこられたのはリムフォードの街の高級住宅街であった。

 イリオスの足取りは迷いない。やがて一軒の邸宅の前で足を止める。

 家政婦に案内されたのは、邸宅の裏庭。そこにはこの辺りでは珍しい「和装」に身を包んだ少女が一人素振りをしている。


「おーい、ツキフネ! 遊びに来たぞ!」


 その声に少女はくるりと振り返る。茶色の髪がさらりと揺れる。


「ああ、イリオスさん。こんにちは」

「おう!」


 少女は刀を下ろすと、ディーンの方に目を向ける。


「……その方は?」


 少女の目は不意の侵入者に戸惑っているように見えた。


「ディーンだ。イリオスと一緒にチームを組んでいる、冒険者だよ」


 ディーンが自己紹介をすると、少女もなるほどと頷く。


「失礼いたしました。私は、穂永月船と申します。この家に居候させてもらっている身です」


 月船は愛想の良い笑みを浮かべる。



 イリオスとディーン、そして月船はガゼボに移動する。

 家政婦が持ってきた茶と菓子を口にしながら話を進めていく。


「へえ。この街に来たのは、最近のことなんだな」

「はい。縁あってこちらでお世話になっています」


 イリオスは茶菓子を遠慮なく口にしながらそれを聞いている。


「こちらのお食事はおいしいですね。故郷ではあまり口にする機会のないものもあって……」

「へえ。逆に、ツキフネの故郷ではどんなものが食べられているんだ?」

「そうですね。大きく違うのは……」


 淀みなく進んでいく雑談。その流れの中でアルモニアの活動についても触れられる。


「オレは魔法剣士をやってるんだ。で、イリオスが剣士。すぐに飛び出そうとするから大変だよ」


 そう言ってディーンは肩をすくめる。


「ふふ。想像できます」

「えー? そう?」


 イリオスの返しにディーンと月船はくすくすと笑った。



 やがてイリオスが茶菓子を食べ尽くしたところで、お茶会はお開きとなった。


「今日は突然来たのに、出迎えてくれてありがとう」

「いえいえ。私もイリオスさんのお友達に会えて楽しかったです」


 穏やかに語り合う二人に、イリオスはニコニコと笑っている。


「それじゃあ、また」

「はい。機会があれば」


 月船はイリオスとディーンを邸宅の門まで見送る。

 そしてその姿が見えなくなった頃……


「このバカ!」


 ディーンはようやくイリオスに向かって怒鳴る。


「え?」


 イリオスはきょとんと首をかしげる。その態度にディーンはため息をつき、そして呆れたように言う。


「おまえな……オレが来ること、彼女に伝えていなかっただろ。そういうのは事前に伝えるべきだ」


 そこまで言われてようやく怒鳴られた理由が分かったらしく、イリオスは「ああ」と漏らす。


「そういえばそうだったかも」

「はあ……」


 二人はアーインの宿屋に向かって並び歩く。

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