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調和と大地の迷宮  作者: 旅燕
リムフォード編

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20/60

焦燥

 翌日。

 ディーンはチドリダケの群れを相手に剣を振るう。

 胞子を出そうとすればただちに吹き散らす。

 仲間に被害を出さないこと。

 とにかくそれを意識して立ち回った。


「はあっ、はあ……」


 戦闘終了後、ディーンは肩で息をする。

 少し魔法を使い過ぎただろうか。頭の奥に鈍い痛みがある。

 けれどこれならと、そう思った時であった。


「ディーン」


 声をかけてきたのはシグだった。彼はいつも通りのぶっきらぼうな口調で言う。


「前に出すぎ。アル姉、大変そうだった」


 ディーンは息を呑む。


「…………」


 誰も、何も言わない。

 重い沈黙が場を支配して……


「……ごめん」


 ほどなくディーンは、小さな声で謝った。



 夕方。


「ただいま」


 ディーンは自分達の部屋に戻ってきた。するとそこには、ご機嫌で鼻歌を口ずさむイリオスがいた。今日の彼は待機メンバーであった。


「あ、おかえりディーン!」


 イリオスはニコニコと手を振る。


「ご機嫌だな」

「ああ! 今日やっと、ツキフネから一本取れてさ!」

「へえ。そうなのか」


 ツキフネに会いに行くたびに「次は勝つ」と宣言していたイリオスだが、ようやくそれが叶ったらしい。


「最近さ、強くなった気がするんだ! シグやツキフネといっぱい手合わせしてるからかな!」


 イリオスは無邪気に笑う。


「そうか。……良かったな」

「おう!」


 そしてイリオスは、身振り手振りでツキフネとの手合いを説明する、いつもの流れに入った。



 深夜。

 明かりの落ちた部屋のベッドに、ディーンは座っていた。

 風のない静かな夜。

 イリオスの規則正しい寝息だけが、聞こえていた。



 さらに次の日の朝。

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