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調和と大地の迷宮  作者: 旅燕
リムフォード編

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18/60

広がる世界

 その日の夕食。


「今日はさ、みんなに相談したいことがあるんだけど」


 珍しく食事よりも相談を優先するイリオス。


「どうしたんだ、イリオス」


 そんな彼にディーンが聞く。


「今日、商会のおっちゃんに声かけられてさ。なんでも、おっちゃんの知り合いに剣のうまい子がいるらしいんだ」


 その言葉にコミティスが肩をすくめる。


「遊びに行きたいって、相談?」

「ち、ちがうよ! その子がさ、なんか元気がないんだってさ」

「はあ……?」


 発言の意図が分からずにコミティスが首をかしげる。


「それで、気晴らしに剣の練習に付き合ってほしいって頼まれたんだ」

「結局、手合わせなんですね」


 リラがくすりと笑う。


「ま、まあ、そうだけど……」


 イリオスは頭を掻いて……続きを言う。


「一応、みんなに確認したほうが良いと思ってさ。行っても、良い?」

「別に、良いんじゃないか?」


 そう言ったのはディーンだ。


「商会なら、オレたちも普段からお世話になってるからな。恩返しってことだな」


 その言葉にコミティス、リラ、アルタリアが頷く。シグは興味がなさそうだ。


「みんな、ありがと! シグも来る?」

「おれはいい」


 イリオスからの誘いをシグはすっぱりと断った。



 翌々日。ディーンが探索から帰ってくると、既にイリオスも戻ってきていた。


「あ、ディーン!」


 部屋に入ってきたディーンにイリオスは元気良く手を振る。


「商会のおっちゃんに教えてもらった子、すごかったぜ!」


 今日はイリオスは自分から待機に入り、例の商家のところに行っていたのだ。


「ツキフネっていうんだけど、めちゃくちゃ強いんだ! 俺、負けちゃってさあ。でも次は勝つ!」

「そうか」


 イリオスは立ち上がると、ツキフネの剣技について身振り手振りを交えて説明するのであった。


「……楽しそうだな」

「ああ!」


 イリオスは無邪気に笑う。



 さらにその次の休息日。

 ディーンは所用で冒険者ギルドにやってきていた。

 用事を終わらせた帰り際、稽古場からわっと歓声が上がる。

 何事かと覗いてみれば、そこにいたのはイリオスとシグ。

 練習用の剣と剣が打ち合う。


「すげーな、あいつら」

「流石はギルドの有望株」


 ふと、イリオスと視線が合う。

 すると彼は満面の笑みでこちらに手を振り……そしてシグの一撃を慌てて受ける。

 ディーンはふっと笑うと、稽古場の人波から外れてアーインの宿屋に向かう。

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