回る現実
一方の探索パーティ。
イリオスは今回の採集対象であるチドリダケに斬りかかる。
と、その時だった。ぐるんと視界が回る。
――胞子だ!
平衡感覚を損なう胞子を吸ってしまい、イリオスは派手な音を立てて転ぶ。
「イリオス!」
リラがすぐに治癒魔法をかけて、イリオスの状態を回復する。
場所は広間。複数のチドリダケとの遭遇戦。
指揮を取っているのはアルタリアだ。
「右側が手薄だ! シグ!」
「ん」
シグはアルタリアの指示に従って、右側へと移動する。
「コミティスは牽制を優先しろ!」
「分かった」
そうこうしているうちにリラの治癒魔法がまた飛んだ。
交戦が終わって。
コミティスが解体作業をする後ろで、イリオスが「うーん」と腕を組む。
「なんか今日、疲れるな」
その言葉に答えるのはアルタリアだ。
「すまない、私の指揮が悪いようだ」
「そんなことないですよ」
「そうそう。アル姉、がんばってるよ」
リラとシグは口々に言う。
「…………」
コミティスはそんなやりとりを聞きながら、黙々と作業をこなす。
夕方。探索パーティは冒険者ギルドに戻ってきていた。
「まあまあだな」
素材の鑑定を終えた禿頭の受付はそう言う。
「……ごめん、みんな。私のせいで……」
最近の素材評価は「上出来」が多かっただけに、解体担当だったコミティスは落ち込んだ様子を見せる。
「んなことないって。コミティスはよくがんばったよ」
イリオスはぽんぽんと肩を叩く。
「そうだぞ。普段は見張り役なのだから仕方ないさ」
アルタリアもそう言ってコミティスを励ました。
その日の夜。
今日の反省会は探索に出ていたコミティスとアルタリアが中心で進められる。
「胞子への対応がカギだな」
アルタリアがはっきりと言う。
「そうだね……いつもはディーンが魔法で吹き飛ばしてくれてるけど、今日はそれが無かったからリラが大変そうだったね」
「そうだな……魔道具で対応できるか、試してみよう」
コミティスとアルタリアは頷く。
「それと、私ももうちょっと解体について勉強しなくちゃなと思ったよ。ディーンに任せっきりは良くないね。ねえ、ディーン。これからは私も解体作業を手伝っても良いかな?」
「…………」
「……ディーン?」
コミティスの呼びかけに、ディーンははっとする。
「ん、ああ。すまない。少し考えごとをしてた。……そうだな。余裕がある時には、お願いするよ」
「うん、任せて」
その後も反省会は続いていった。




