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調和と大地の迷宮  作者: 旅燕
リムフォード編

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14/60

撒かれた種

 夕食の後、いつも通りイリオスたちの部屋で反省会が開かれる。

 もちろんシグも招かれており、ベッドに腰掛けてディーン、コミティス、アルタリアの会話を眺めている。

 今日議題に上がるのは、やはりというかシグのことだ。

 とはいえ彼の動きに問題は無かった。連携に慣れていない様子こそ見られるが、慣れの問題だろう。

 あとは六人体制になったことで、チームの運用も大きく変わるだろうという話になったことくらいか。誰か一人に過度に頼ることがないよう、工夫していこうという話になった。


「じゃあ、今日もお疲れ様」


 ディーンが帳簿を閉じる。イリオスとディーン以外の四人……コミティス、リラ、アルタリア、シグが部屋を退出する。

 四人を見送ったあと、イリオスは部屋の鍵を閉めた。ディーンは帳簿を手に取り、片付ける。

 と、イリオスが思い出したように言う。


「今日はシグ、すごかったな」

「ああ」


 ディーンもその意見に同意する。


「明日は俺が手合わせを挑もうかな。どう思う?」

「ああ。良いんじゃないか? 受けてもらえると良いな」

「おう!」


 イリオスは良い笑顔を向ける。



 一方、廊下を進むコミティス、アルタリア、リラ、シグの四人。


「…………」


 アルタリアは静かに考え込んでいた。

 やがて廊下の分かれ目で、コミティスが片手を挙げる。


「じゃあまた。おやすみ」


 そう言うとコミティスは一歩足を踏み出す。


「ああ、待ってくれ」


 それをアルタリアが呼び止める。


「……アル姉?」


 シグがそう言い、リラがきょとんと首をかしげる。


「ああ、すまない。コミティスと話したいことがあるんだ。リラ、シグ。おまえ達は先に部屋に戻れ」


 リラとシグは顔を見合わせると……分かったと頷く。


「あまり遅くならないようにしてくださいね、アルテ」

「ああ、分かっている」


 リラとシグはそれぞれの部屋に向かっていく。


「……どうしたの?」


 取り残されたコミティスがアルタリアに聞く。


「少し、気になることがあるんだ」



 コミティスとアルタリアがやってきたのは、誰もいない宿のロビーだ。


「それで、気になることって?」


 コミティスが聞くと、アルタリアは少し考えて……それから言う。


「今日の件がな。悪い意味で噂になっている」

「今日の件?」


 何のことか分からずにコミティスが問い返すと、アルタリアは言う。


「手合わせの件だ」


 するとそれだけでコミティスは「ああ……」と納得の声を漏らす。


「しばらくは注意して見てやった方が良いだろうな。おそらくは、私よりおまえの方が適任だろう」

「うん。そうだね。教えてくれてありがとう」


 コミティスはアルタリアの忠告を素直に聞き入れた。

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