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初指名依頼2

「それって・・・陛下が出した依頼をコウスケが受けたって事?」


コウスケの言葉にそんな確認の言葉を返したのはエドだった。


「‘受けちまった’な?そこ大事だから!」


エドの確認の言葉に、そんな訂正の言葉と共に詰め寄るコウスケ。


しかしエドは


「コウスケッ!やっぱりコウスケは、口では面倒臭い、面倒臭いって言ってるけど、困っている人を見ると助けてしまうんだね?僕は信じてたよッ!!」


そう感動した様に声を上げる。


「人をツンデレの親戚みてぇに言うんじゃねぇッ!!耳が詰まってんのか?それとも悪いのは頭の方か?‘ちまった’って言ってんじゃねぇかッ!」


コウスケの行動を、盛大に勘違いしたエドへそう叫ぶコウスケ。


コウスケの叫びでようやく理解したのか、表情を曇らせたエドは


「?良く分からないよ?どうしてそんな事になるんだい?・・・無理矢理依頼を押し付けられたとか?」


と、首を傾げながらコウスケへと尋ねた。


「・・・いや・・・そうじゃねぇけど・・・」


コウスケは、少し勢いを落としてそう答える。


「じゃあ・・・説明された依頼の内容と受けた依頼の内容が違ってたとか?」


更に首を傾げたエドが再び尋ねる。


「それも違うって言うか・・・説明されてないって言うか・・・」


部屋へと入ってきた時の勢いを完全に失ったコウスケは、辿々しく答えた。


「説明されてない?・・・やっぱり分からないよ?内容も聞かずに受けるとは言えないだろ?」


遂には眉を寄せてしまうエド。


しかしコウスケは


「・・・それは・・・言った・・・かな?」


最後は視線を逸らしてそう答えた。


そんなコウスケに、数回瞬きを繰り返したエドは


「・・・つまりコウスケは、無理矢理押し付けられた訳でも無い依頼を、内容も確認せずに受けたって事?」


徐々に表情を呆れたものに変えていきながらそう尋ねる。


エドのそんな言葉に


「・・・いや、まぁ、そのぉ・・・うん」


歯切れ悪く答えるコウスケ。


そんなコウスケの答えを聞いたエドは


「いやそれ、コウスケに怒る資格無いでしょ!!何でそんな馬鹿な事したんだよッ!」


と、叱責の声を上げた。


そんなエドの言葉を聞いたコウスケはカッと目を見開くと、逸らしていた視線をエドへと向け


「仕方ねぇだろッ!Eランクで指名依頼の確認だぞッ?窓口のオバちゃんに可哀想な目で見られたりすんだぞッ?でもそこで指名依頼が来てる。しかも初めての!何だよ?ちょっと浮かれたよ!悪ぃか?しかもオバちゃんまで凄い、凄いって言って来るしよ?そこで「どうする?」って聞かれたら勿論「受ける!」って見栄張って答えるだろ?普通」


そう言って、さも当然と言わんばかりの態度でエドへと詰め寄る。


勢いを取り戻したコウスケの言葉に、体を仰け反らせるエドではあったが


「でも確認しないで依頼を受けたのはコウスケだろう?」


そう核心を突く言葉を放った。


「・・・」


エドの言葉に返す言葉が見当たらないのか、コウスケは再び視線を逸らす。


こうして、この件はコウスケの安易な行動の結果。自己責任だという事に落ち着いた。


因みに、ハインツ国王は終始二人のやり取りを眺めながらニヤリと笑っていた。


しかし、これが計画的なものか偶然なのかは分からなかった。





その日の夜。


コウスケは首都にいた。


「全く!何が「取り敢えずは城の状況の確認だけで良い。私も直ぐに制圧して来い!とは言わんよ?」だッ!俺的には弟も嫁さんも貴族共も知ったこっちゃねぇんだよッ!問答無用でぶっ飛ばして城取り返した方が楽だってのに・・・」


テーブルに頬杖をついたコウスケが、そう悪態をつく。


諦めて依頼を受ける決意をしたコウスケが、どうせやるならさっさと済まそう。そう考え、問答無用の武力制圧の準備をしていると、ハインツ国王から先程の言葉を掛けられたのだ。


曰、アリシア、グテイ、関わった貴族達の動向。


現在の城の様子、この先の計画あたりを調べ、一度連絡を入れて欲しいとの事だった。


その報告を聞いた後、その後どうするかを決める。との事だった。


「直ぐに等と無理は言わない」


このハインツ国王の言葉は、コウスケの事を思っての言葉だったのかも知れないが、面倒事は極力避けたい。出来ないのならばなるべく早く済ませたい。


基本、そう考えるコウスケに取っては、余計な気遣い以外の何物でもなかった。


それ故の悪態だった。


しかし、そんな頬杖をつき悪態をつくコウスケへ


「貴様の事など知らんッ!そんな事よりも、何故ワシまで連れて来られたのか説明するのじゃッ!!」


そんな怒りの言葉が投げ掛けられた。


言葉の主は、コウスケが頬杖をつくテーブルの上で、コウスケと向き合う様に立ち睨み付けている小次郎だった。


小次郎の言葉に目を向けたコウスケは


「え?いやだって俺一人が貧乏くじとか納得いかねぇじゃん?一人くらい道連れがいねぇと、やってらんねぇよ?」


そう悪びれる様子も無く言った。


「それが何故ワシなんじゃと聞いておる!二人の小娘でも文字ばかり読んでいる男でも良かったじゃろう!」


コウスケの言葉に、毛を逆立てた小次郎はそう言い返した。


しかし


「ん~・・・エルネは隠密とか向いてねぇし、ミランダはここでは顔が割れてるだろ?ロイドに至っては動いてくれ無さそうだし・・・その点小次郎は適任だと思うんだよねぇ。黒いし、小さいし、猫だし。暗闇で暗躍するのに持ってこいだろ?」


そう言って肩を竦めるコウスケ。


「なら一人でやれいッ!ワシを巻き込むなッ!」


そう言い捨てる小次郎だったが


「そうカリカリすんなって?ちゃんと手伝ってやるから、な?取り敢えず手分けで良いだろ?俺は街中な?小次郎は城を頼む」


そう話を進め、頷くコウスケ。


「ちょっと待てッ!何故ワシの仕事を貴様が手伝う様な口ぶりなのだッ!しかも、貴様の役割は必要無いだろッ!城での情報収集が仕事じゃろうがッ!!」


コウスケの言葉に、そう食って掛かる小次郎。


しかしコウスケは、そんな小次郎の剣幕にも怯むこと無く


「ハァ・・・小次郎。声がデカいぞ?仮にも、お前は今からこの国の中枢に忍び込もうってんだ。そんな物騒な話、誰かに聞かれたらどうすんだ?」


そう呆れた様に、声を落として言った。


そんなコウスケの言葉に、辺りを見渡す様に二三度首を振った小次郎は


「・・・誰が居ると言うんじゃ!」


周りに誰も居ない事を確認して、そう声を上げた。


「壁に耳あり障子に目ありって言葉を知らねぇのか?どんなトコでも誰かが聞いてて見てるって意味だよ?覚えとけ?」


そう言うコウスケは、ため息と共に首を振る。


「・・・今ワシが元の姿に戻れれば、その城という所を更地にしてやるものを」


そう言って牙を剥く小次郎。


「馬鹿野郎ッ!それやって良いんなら俺がやってるよ?」


小次郎の物騒な発言を叱るかに思えたコウスケの一言目だったが、コウスケも同じ気持ちだったらしい。


すると、そんな物騒な会話をする二人へ


「テメェら、オレの店で何冗談にならねぇ物騒な話してくれてんだ?小悪党なら叱り付けて叩き出す、で仕舞いだが、それがコウスケ。オメェなら何やらかすか・・・しかも、言葉を話す黒猫が相棒とか・・・嫌な予感しかしねぇぞ?」


そんな言葉と共に近付いてくる男が。


しかし、聞かれてはいけない。と話していた会話を聞かれていたにも関わらず、小次郎は別として、コウスケは焦りを見せなかった。


それどころか、その男へ目を向け言葉を返した。


「固ぇ事言うなよ、おっちゃん。それに、俺達は王様が泣きながら頼んで来た依頼を受けてんだ。それが悪い事な訳ねぇだろ?」


そんな言葉を。


コウスケのその言葉に、眉間を指で押さえる男。


その正体は、首都で商人をしているハック商店の主ハックだった。


コウスケと小次郎は閉店後のハック商店で、城へと忍び込み易くなる深夜までの時間を潰していた。


厚かましくも、お茶とお茶受けまで要求して。


ため息の後、顔を上げたハックは


「良いか?例え捕まっても、絶対にオレの名前は出すんじゃねぇぞッ!」


そう釘を刺して、奥へと消えていった。


それを見送ったコウスケは


「成る程!もし捕まったら、城でも顔の利くおっちゃんの名前を出して何とかして貰おう!」


名案だとばかりに手を打った。


それを見た小次郎は


「貴様、何時か後ろから刺されるぞ?」


そう呟くのだった。


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