覚書/第5次中東戦争の危機:ハマスVSイスラエル
パレスチナのイスラム組織ハマスが、イスラエル人質としてイスラエル人を誘拐し、「反撃したら人質を殺す」と人間の盾にした上で、2023年10月7日、イスラエル主要都市の市街地に向けて大規模なミサイル攻撃をした。イスラム教を信仰するパレスチナの背後にはアラブ諸国が控えているため、第5次中東戦争の危険が迫っている。
日本を除くG7のうちの6国は、ハマスによるテロ行為を非難し、イスラエルを支持する表明をした。日本は、岸田首相をして、双方への自制を求めるという日和見な声明を出した。経緯を見てみよう。
――経緯――
パレスチナをめぐるアラブとイスラエル間の戦争は過去4次にわたってあった。 第1次が1948年のパレスチナ戦争、第2次が56年のスエズ戦争、第3次が67年の六日間戦争、第4次が73年の十月戦争だ。
事の起こりは、1914‐1918年にあった第一次世界大戦における英国による三つの矛盾した協定「三枚舌外交」に発しているとされる。イギリスは第一次世界大戦中に戦後の中東問題に対して、以下の三つの協定を結んでいた。それぞれ、アラブ・フランス・ユダヤに配慮した内容であった。――そういうわけで、事の起こりはイギリスのせいだというご意見をステレオタイプ式によく聞く。
イギリスの「三枚舌外交」とは――
1915年10月 - フサイン=マクマホン協定(中東のアラブ独立・公開)
1916年5月 - サイクス・ピコ協定(英仏露による中東分割・秘密協定)
1917年11月 - バルフォア宣言(パレスチナにおけるユダヤ民族居住地建設・公開)
過去、パレスチナを巡り、イスラエルとアラブ諸国は都合4回の武力衝突を行った。結果、イスラエルが連戦連勝したものの、アラファト議長を盟主とするパレスチナ人たちは、PLO=パレスチナ解放機構をして、その後もパルチザン的な軍事行動を継続してきた。
1993年9月、戦いに疲れたイスラエルのラビン首相とPLO=パレスチナ解放機構のアラファト議長が、仲介国アメリカのホワイトハウスで、クリントン大統領立ち合いのもと、「パレスチナ暫定自治合意」に調印。イスラエルが占領していたガザ地区とヨルダン川西岸地区で、パレスチナ人の暫定自治が始まる。この妥協策に、かつて故郷から追われたパレスチナ人の一部に不満がくすぶっていた。そのため合意の翌年から、イスラム主義武装組織が自爆テロ繰り返される一方で、95年、和平の立役者となったイスラエルのラビン首相が、占領地からの撤退に反対する過激派のユダヤ教徒に暗殺され、イスラエルを抑える人がいなくなった。以来、現在に至るまで、テロと報復の連鎖が続いている。
――中東問題専門家の意見――
日本は中立の立場をとっているが、パレスチナに対して、日本人・マスコミは同情し、イスラエルに冷ややかだ。パレスチナ人全体と、テロ行為を行ったハマスとを分けて考える必要がある。イスラエルによるパレスチナ市街地に対する報復の空爆は、テロに対する自衛権を行使したに過ぎない。
――所見――
対岸の火事の立ち位置にある日本人は、聖徳太子以来「和を持って尊としとすべし」と刷り込まれているので、判官びいきな上に、どっちもどっち「喧嘩両成敗」が大好きだ。マスコミ・岸田首相の論調は、国内世論の波に流されたものだと専門家は見ている。
そうは言っても、当事者でもない日本は、これからどうすべきなのだろう。ここはいったん同情論・人道論を横に置き、マキャベリズム的に、地政学的に、日本はどんな言動が必要か考えてみたい。
ユダヤ人と日本の関係は国家の存亡をかけた日露戦争で、1904年、米国系富豪ジェイコブ・H・シフから低利融資を受け、1986年に完済する。シフ没後、この人の同志が194年にイスラエル国家を樹立させる。物事の道理からすれば日本はイスラエルに味方すべきである。対してパレスチナから日本に支援があったことはなく、助ける理由はない。人質・人の盾をとってのテロ攻撃も卑怯だ。
とはいえ日本の死活にかかわる原油安定供給に関し、パレスチナの背後にいるアラブ産油諸国と日本は長年の信頼関係がある。また、戦争において中立国は真っ先に叩かれるとも言うけれど、日本は中東から遠い。日本と他のG7加盟国・欧米との立場は大きく異なるのである。
するとG7の他の6国がパレスチナのハマスを非難したとしても、ここはやはり、岸田流のらりくらりをしたほうが賢明に思える。焦って火中の栗を拾う必要はなく、アラブ産油国の動きを見てから物申せばいいのではなかろうか?
ノート20231013
引用参考
【戦争状態】ハマスはなぜイスラエルに侵入?攻撃は無差別テロ?日本はパレスチナ寄り?飯山陽&ユダヤ人に聞く|アベプラ:ABEMA Prime #アベプラ【公式】
https://www.youtube.com/watch?v=YP0bHkFmbYo
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