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カエルの為にそれは在る  作者: オイペン19世
2章 仲間との出会い
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大規模戦


「プギィイイイ!?」


突然オーク陣営の前衛を務める者達の悲鳴があがる。


「どうした事ダ!?敵は、まだ遥か遠くではナイか!?」


遠方より数百のボウケンシャ達が迫っている。その報を受け、オークスペリオルは、これを全軍をもって迎え撃つつもりであった。


ところが、敵の一部が遥か遠くに陣取り、構えを取り出す。オーク軍の動揺を見透かすように、その攻撃は行われたのだ。



遠見の者が告げる。

「ヒカリのスジが通っタ!皆傷ツイタ!タイヘン!」


(ぐぬぬ。小癪な!我等の知らぬ魔法か?動かずば、一方的に嬲られるのみ!うって出るか?)


「報告!ウヨクよりランページ様のブタイが進み出マシタ!!」


オークランページは、この軍の副将を務めている。その数は1万5千。兵は良く訓練され、士気も高い。


「ウム。流石ランページ!!我が意をよく汲んでくれル!伝令!ランページに伝えヨ!そのまま突進を続け、小虫どもを蹴散らすノダ!我等左翼陣は、回リ込ミ、相手を囲い込む。圧殺陣形をトル!」


素早く伝令は、騎獣を走らせ、右翼陣へ向かう。


再び敵陣より、光の筋が伸びてくる。光は、鎧を突き破り、その背後を進む者の身体をも貫く。


「オノレ!騎獣隊を急がセロ!ランページの部隊を救うノダ!」


既に2回の光の筋で、500匹以上が殺された。1万を分けた部隊も、未だ戻らぬ以上、更に部隊を減らされれば、思わぬ苦戦を強いられる可能性がある。


皇帝の部隊との合流を目指す、スペリオルにとって、それは大きな打撃となる。


「プギュルルル!ニンゲン共め。存外やりおる」



◆



「第2射、放て!」


キンッと甲高い音を残し、眩い光の筋がオーク軍へ伸びていく。


光がオーク陣営に達したと思うと、バタバタとオーク達が倒れていく。


「ヌシよ。あれは...なんじゃ?」

「分からない。昔見た、人間達が使ってた『火縄銃』に似ているけれど...」

「ジュウ?なんじゃそれは?」


冒険者達は、信じられない物を見るような目で、衛兵団を見ていた。何も知らされぬまま、彼らのその行動は行われたのだ。


冒険者達のリーダーを務める元冒険者のゴードンが、衛兵団のビベル団長へ詰め寄る。


「ビベルさん!あんた、こんな物隠し持ってたのか。それならそれで、早く言ってくれれば、作戦に組み込めたものを!」


ビベルはポリポリと頭を掻きながら、ユックリとゴードンに向き直る。


「『魔導砲』の事ですか。俺達も、報告したかったんですがね。あいにく計算出来ない代物を、ウチの戦力です。と報告するほど、うぬぼれては居ないんでさぁ」


「計算出来ないとは?」


ゴードンの問いに、ビベルは衛兵団を指差す。



「団長!俺の相棒は2射目でオジャンです!」


「コッチは熱を持ち過ぎて、これ以上は撃てそうにない!」


「畜生!弾丸が詰まりやがった!」


あちらこちらから、悲痛な報告が上がる。


「撃てる者達だけでいい!第3射用意!...放て!」


三度の光の筋。しかし、その数は幾分少なく見える。


「ゴードンさん、あれは未完成品なんだよ。これは実戦テストみたいなもんさ。付き合わせて悪いね」


バツの悪そうな顔で、ビベルは告げる。だが、成果が出ている以上、ゴードンも、それ以上の追求はしなかった。


「...いや、いい。アレを撃てる限り撃ってくれ。野郎共!俺達は前衛に出る。衛兵団の射線を遮るな!背中に穴が空きたくなけりゃな!」


「おうっ」と冒険者達は応じ、前線へと向かって行く。




「しかし、なんだ...すげぇな」

上級中位冒険者のグルガンが呟く。


眼前に土煙の濁流が、大地を覆わん勢いで、地響きと共に迫ってくるのだ。


「壮観だねぇ。いや絶景絶景」

「「言ってる場合か」」


ココットの暢気な言葉に、アヴァとマデリンがツッコむ。こんな時でもブレない姿勢は、流石ココット。


「何処から手をつけたらいいか、分からないね。まっ。突っ込んで、手当たり次第千切っていけばいいか」


ゴキゴキと首を鳴らしながら、ジャニスがユックリと歩みを進める。彼女は何もしなくとも、心配無いだろう。


「ヌシよ。対集団戦こそ、ワシらの見せ場じゃぞ?何処に撃っても選り取りみどりじゃ!初っ端から一発『アレ』をかましてやれ!」


「分かった!」

ガバッとカエルは四つん這いになり、地脈に魔力を干渉させていく。


グラッとオーク軍の足元が大きく揺れる。強力な魔力を込めたアースクエイクは、亀裂を生じさせ、それだけで、数十匹のオークが飲まれていく。


上がる火の柱、雪崩のように迫る洪水、身を切り刻む嵐、闇を切り取ったような深淵。


五芒星の形に張り巡らされた、それらが巻き起こった時、頭上から光が降り注ぐ。


オークの断末魔も聞こえる間も無い連続詠唱。しかし、これでは終わらない。


「次は左側じゃ!」

オークの突撃陣形の右側に、大穴を開けた後、更にカエルは続けて詠唱を開始する。2度目の【ペンタグラム】がオーク達へ降り注ぐ。


左右にポッカリ空いた穴。それでも尚、中央から続けて突貫してくるオーク軍。


「狙いがつけやすくて助かるよ。第4射用意。放て!」


突出する形になった中央の部隊に対し、 魔導砲の閃光が突き抜ける。



「フハハハ!見ろ!豚がゴミのようじゃ!ヌシよ放ち続けろ!豚が見えなくなるまで放ち続けるのじゃ!」


「うん!」


次々と巻き起こる五芒星の力の暴力に、オークの悲鳴にも似た絶叫が、其処彼処で湧き上がり続ける。


「ベロっちこわい...」

「オークが少し可哀想に思えてくるわね」

「爽快」


レディローズの3人が、想い想いの感想を述べる。


ココットの強壮薬により、能力が1割増しているカエルの【ペンタグラム】は、既に止められる者のない災害と化していた。


既にオークランページの部隊は、3割以上を、カエルと衛兵団の魔導砲により、その数を減らしているのだ。


オーク軍は混乱し、一部の兵は既に潰走を開始している。余程のことでも無い限りは、戦列に復帰する事は無いだろう。




「第7射、放て!」

次々と倒れていくオークに、衛兵団の団長ビベルは、確かな手応えを感じていた。


「やれる。やれるぞ。大した魔力も膂力も無い我々が、オーク軍を圧倒している。オーク軍にとっては、脅威になっているはずだ」


「その通り」


突如ビベルの背後から、微かな声が聞こえた。声の方に振り返ろうとした時には、ビベルの『影』から腕が伸び、ビベルの口を抑え込む。


「ん“ぐっ!?」


そのままビベルは、後方へ倒れ込むように押さえ込まれ、自らの影の中へとズプリと沈み込んで行った。




「団長、号令を!」


団員の一人が、十数秒経っても号令が無い事に苛立ち、叫ぶ。しかしビベルの返答は無い。


「団長...?」

団員達が不審に思い、振り向いた時には、既にビベルの姿はそこに無かった。呆然とする団員達だが、ズルリと自分達の影から、真っ黒な腕が何本も伸びて来たことで、無理やり現実に戻される。


「うおお!?なんだこれは!」

「くっ!こいつら魔導砲を狙ってやがる!」

「死んでも離すかよっ!」


団員達の抵抗虚しく、次々と魔導砲は影の中へと沈み込んでしまった。


「団長は消える。魔導砲は影の中...なんなんだ一体...」


ただただ団員達は、唖然とし、指揮する者も居ないまま、戦場へと放り出されたのだ。


魔導砲による圧力が無くなり、オーク軍は眼前へと迫っている。彼等は抜刀し、予想外の戦いを強いられざるを得なくなった。


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