冒険者ギルドの陰謀
その頃冒険者ギルドでは、ちょっとした騒ぎになっていた。
(おいおい聞いたか。特別指定悪魔のサキュバス三銃士が出たっていうじゃないか)
(サキュバス三銃士って、あのAランク冒険者パーティの残雪の峰をも魅了して廃人にしちまった奴か)
(それがニャーラの辺りに出没するってさ)
(あっち方面に行く冒険者にはナエールを無料配布中なんだと)
ーーー
「噂になっているから知っているとは思うが、ニャーラ付近で特別指定悪魔のサキュバス三銃士が確認された。奴らは冒険者を廃人にしてしまう。
頼れるのは、このナエールくらいだ。これをニャーラ付近にクエストに出かけるパーティに配布してやってくれ」
ギルド長は言った。
「そのナエールというのは?」
受付嬢は尋ねた。
「これは、オッサンの加齢臭を集めて生成したものだ。臭いを嗅ぐと、サキュバスの魅了から解放される」
ギルド長は言った。
受付嬢は嫌そうな顔をした。
「それは私達が手渡さないといけませんか?」
受付嬢はげんなりとした顔をした。
「そうだな。
ギルドの隅っこに置いておくから、そこから持っていくように伝えてくれればいい」
ギルド長は答えた。
「わかりました」
受付嬢は言った。
「くれぐれも言っておく。
普通のサキュバスなら、大して問題はない。
しかしあのサキュバス三銃士は別格だ。
冒険者の命がかかっているから、くれぐれも忘れるな。
あとでギルドの責任問題になりかねないからな」
ギルド長は言った。
「わかりました」
受付嬢は答えた。
……
「着きましたよ。ここが冒険者ギルドです」
アルフレッドは言った。
「あぁそうか」
俺は言った。
冒険者ギルドと書いてある。
不思議だ。
見た事のない字だが、
ハッキリ読める。
俺たちは冒険者ギルドに入っていく。
中世の居酒屋というような雰囲気だろうか。
石造りの建物に、木で出来たカウンター。
掲示板には依頼が貼られていた。
人はまばらで、
受け付けは一人だけ、
冒険者らしきものは2人ほどだった。
ギルドの隅っこには、
何か嫌な臭いがするものがあった。
皆鼻を抑えている。
「ちょっと、いつもと様子が違いますね」
アルフレッドは言った。
「そうだね」
マックンは言った。
「そうなのか?」
俺は言った。
「さっさとクエストを受けて、行きましょう」
アルフレッドは言った。
マックンと俺は頷いた。
アルフレッドは、掲示板を探る。
俺は面倒なので任せた。
「これなんかどうですか」
アルフレッドは言った。
それは、
ニャーラで錯乱している者が増えている原因を解明もしくは解決するというクエストだった。
報酬は金貨5枚。
「金貨5枚はいいな」
マックンは言った。
そうなのか。
いいのか。
「じゃあ、それにしよう」
俺は言った。
二人とも頷く。
……こいつらノリ良いな。
「すみません。これお願いします」
アルフレッドは言った。
……
冒険者ギルドの受付嬢は、いらついていた。
先日ケントがこの街から去った件でだ。
実は彼女はケントに銀貨10枚を貸していたが、
ケントが去ったことで、回収が不能になった。
そしてその怒りの矛先は、
エドガーに向かっていた。
あのエドガーって男さえいなければ……。
彼女もその怒りが理不尽であることはわかっていた。
しかしぶつける場所がなかったのだ。
銀貨10枚というと、
受付嬢にとっては大金である。
怒りでおかしくなっても不思議ではなかった。
「すみません。これお願いします」
あまり顔を見ない冒険者が言った。
受付嬢は依頼内容に目を通す。
これはニャーラの近く、
サキュバスの件を伝えなくては……。
「これをお受けになるのですか?」
受付嬢は言った。
「ダメですか?」
あまり顔を見ない冒険者が言った。
受付嬢はその冒険者と連れを見る。
そこにはエドガーらしき姿があった。
「パーティメンバーのお名前をうかがっても?」
受付嬢は尋ねた。
「僕はアルフレッド、あとはエドガーとマックンです」
あまり顔を見ない冒険者が言った。
やはりエドガーか。
サキュバスの件を伝えるべきかどうか……。
受付嬢はしばらく考えた。
(内緒にしてたって、バレないって……ひひひひひひ)
何者かが受付嬢の耳元で囁いた。
「わかりました。お受けします。お気をつけて」
受付嬢は笑顔で言った。
「ありがとうございます」
あまり顔を見ない冒険者が言った。
受付嬢は、
自分の行った行動が罪深いものだとは気が付いていた。
しかし、
それを止めることは彼女にはできなかったのだった。
……
「感じの良い人だったね」
マックンは言った。
「そうだな」
俺は言った。
「ニャーラまでは、特に魔物も出ませんし、安心ですね」
アルフレッドは言った。
そうか。
魔物は出ないか。
それはいい。
ニャーラまでは、徒歩で2日ほど。
俺らは食料を仕入れ、早速向かった。
夜も更け、
俺たちは野営の準備をし始めた。
するとどこからか香水の匂いがし始めた。
「こんな山奥で香水の匂い?」
俺は言った。
「何か怪しいですね」
アルフレッドは答えた。
「ははは。はくしゅん」
マックンはくしゃみをした。
気が付くと、
目の前に3人の女がいた。
身体に張り付くようなピタッとした黒、紅、白のドレス姿の女たち。
肌は透き通るような白さだった。
ナイスすぎるバディやろ。
俺は思った。
「なんや。君らは」
俺は言った。
「私たちは旅のものよ。焚き火にあたらせてもらえる?」
黒いドレスの女は言った。
俺はアルフレッドとマックンを見る。
二人とも頷いている。
「ええよ」
俺は言った。
3人の女たちは会釈をする。
(ふふふふふ)
その瞬間……。
世界は変わった。
俺はキレイな寝室にいた。
ふかふかのベッドとさっき嗅いだ香水の匂い。
これは……。
「ねぇ。あなたって逞しいわね」
黒いドレスの女は言った。
気が付くと俺はベッドに座り、その隣に女はいた。
女の手が俺の胸を触る。
なんてふしだらな。
隣を見ると、胸の谷間が見える。
山の谷間を見ても、
なんとも思わんのに……。
そう思った。
「私の胸の谷間を見たいの?」
黒いドレスの女は言った。
「谷間なんてな。ビルの谷間で十分や」
俺は答えた。
自分でも何を言っているのか、わからんかった。
「もうムリしちゃって」
黒いドレスの女は笑った。
「ムリなんかしてない」
俺は視線を逸らす。
「疲れているでしょ。癒してあ・げ・る。
癒し系の女は嫌い?」
黒いドレスの女は俺の太ももの内側をなぞった。
体に緊張が走る。
「お前、癒し系いうより、いやらしい系やろ」
俺は叫んだ。
その瞬間。
元の焚き火の場所に戻った。
3人の女は倒れて、
息を切らしていた。




