鹿馬
なんや。
この展開。
普通は転生者やって事を隠すん違うんか?
なんて、
オイシイ展開なんや。
「オッサン。気が付いたんか?
なんでや。
まさかお前もか?」
俺はニヒルな顔をして言った。
「そうや。俺も転生者や。神様が言うとった。他にもおるでと」
屋台のオッサンは答えた。
「そうか。そのなんで俺が転生者やって気がついた?」
俺は言った。
「お前だけや。俺の光に目がくらまされなかったのは」
屋台のオッサンは指をさす。
「それで何や。不都合な存在やからって消すつもりか?」
俺は言った。
「エドガーさん。僕も戦います」
アルフレッドは俺の前に立つ。
「魔法使いは後衛職やろ。後ろにいてくれ」
俺は言った。
「ちょっと待ってくれ。ちゃうねん。友達になりたいだけやねん」
屋台のオッサンは慌てだした。
「なんや。友達になりたいんか」
俺は言った。
「そうやって騙す気だな」
アルフレッドは目を抑えながら、警戒を露わにしている。
「とりあえずオッサン。光抑えられへんのか」
俺は尋ねた。
「すまんすまん。ちょっと抑えるわ」
屋台のオッサンは帽子を被った。
「……眩しくない」
アルフレッドは驚いている。
「それで、お前は転生者で、その光の能力を神様からもらったんかいな?」
俺は尋ねた。
「俺は前世でアニメーターだった。
その事が縁で、
神様から都合の悪いものを消せる能力をもらった」
屋台のオッサンは言った。
「なんかよくわからんけど、俺は謎の光を無効化できる能力をもらったみたいや」
俺は答えた。
「俺たちは天敵同士ということかもしれんな」
屋台のオッサンは渋い顔で言った。
「そうか?別に天敵というわけでもないやろ」
俺は言った。
「なんかよくわからないけど、お二人ともすごいですね」
アルフレッドは嬉しそうにしている。
「アルフレッド。お前転生者とか怖くないんか?」
俺は言った。
「禿同。転生者とか怖くないんか?」
屋台のオッサンは言った。
「何が怖いんですか?転生者ってだけでしょ。それってちょっと特殊な学校に行ってたくらいの感覚なのでは?」
アルフレッドは尋ねた。
「まぁそうかもしれんな」
俺は言った。
「禿同」
屋台のオッサンは言った。
「ところで俺はエドガー、こいつはアルフレッド。お前は?」
俺は尋ねた。
「俺はマッケンガー。マックンと呼んでくれ」
マックンは言った。
「それでマックン。お前はこれからどうすんねん」
俺は言った。
「君ら冒険者やろ。君らさえよければ、仲間にしてほしい」
マックンは言った。
「アルフレッドどうする?」
俺は言った。
「エドガーさんさえよければ、僕は問題ないですよ」
アルフレッドは言った。
「ほな決まりやな。よろしくな」
俺は手を差しだした。
3人は堅い握手をする。
「僕は炎属性初級の魔法使い。エドガーさんはシーフで探索と鍵解除ができます。マックンは?」
アルフレッドは言った。
「俺は戦士職だけど実は気が弱いんだ。特殊スキルで情報隠蔽ができる」
マックンは恥ずかしそうに言った。
「それで。すぐに動けるの?」
俺は尋ねた。
「一応屋台で働いているから、これから親方に別れの挨拶はしてくる。ちょっと待っててくれ」
マックンは言った。
「わかった。広場までついていくよ」
俺は言った。
「わくわくしますね。エドガーさん」
アルフレッドは言った。
目が輝いている。
ほんま、この子えぇ子やわ。
ほんわかしていた。
広場につくと、マックンは屋台に駆け寄り、店主と話していた。
店主はこちらをチラチラ見て、マックンに何かを手渡していた。
店主はこちらを見て、深くお辞儀をした。
俺らもお辞儀をする。
マックンが走ってやってきた。
「みんな。これ親方にもらったから、後で食べよう」
マックンは言った。
あぁ……、
あのバッタの入った肉か。
地味にテンションが下がる。
中身を知らずに、
アルフレッドは、はしゃいでいる。
まぁ良い。
これもオイシイ展開や。
気を取り直し、俺ら三人は冒険者ギルドに向かう。
「今からギルドに行って仕事を受けようと思うけど、なんか案あるか?」
俺は尋ねた。
「僕は特に」
アルフレッドは言った。
「今後の事を考えると、鹿馬を手に入れたほうが良いと思う」
マックンは言った。
鹿馬?馬鹿の間違いじゃなくて。
「鹿馬って何や?」
俺はアルフレッドを見た。
「気性が荒い鹿の顔をした馬です」
アルフレッドは言った。
「まぁ気性が荒いんだけど、知能が高く人語を話せる個別種もいる」
マックンは言った。
「その知能が高いのを、飼いならすんか?」
俺は言った。
マックンは俺とアルフレッドをじっと見る。
「やはり難しいか……」
マックンは呟いた。
どういう意味やねん。
「鹿やったら、鹿せんべい食わせたらええんちゃうの?」
俺は言った。
「鹿せんべい?」
アルフレッドは首を傾げる。
「あぁ鹿せんべいか。あれは、たしか米ぬかと、小麦で作るんやったな。小麦はあるけど、米ぬかはあるんかな?」
マックンは頷く。
「知らんわ。売ってへんのか?」
俺は言った。
二人とも首を振る。
「しかし頭の良い奴やろ。
なんかメリットないとついてこーへんで」
俺は言った。
「頭の良い人でも熱い心を持った人なら、
ついてきますよ」
アルフレッドは力強く言った。
「問題は理念があるか……」
マックンは呟いた。
理念、
そんなパーティ組んで間もないのに、
そんなものあるか。
「面白くなりたい、面白く思われたいはどうや」
俺は言った。
沈黙が走った。
これはあかんか。
「じゃあ、魔王を討伐するとかは?」
俺は言った。
二人とも驚いた顔をしている。
「魔王討伐ですか?僕たちが?」
アルフレッドは言った。
「いやいや。さすがにそれはないって」
マックンは言った。
「そうやな。魔王討伐なんて無理やろな」
俺は答えた。
二人とも頷いている。
「まぁ鹿馬ってのも、見たことないし、とりあえずノープランで行ってみよか?」
俺は言った。
「それなら、鹿馬の生息地近くのクエストを受けて、ついでに行くっていうのは?」
アルフレッドは尋ねた。
「グッジョブ」
マックンは言った。
「グッジョブ」
俺は言った。
アルフレッドは訳もわからず、頷いている。
「グッジョブは、ええ仕事したな。つまり良い感じの事言ったなお前ちゅう意味や」
俺はアルフレッドの肩を叩いた。
「はい」
アルフレッドは嬉しそうに笑った。
ホンマクソ可愛いわ。
マックンの登場で、アルフレッドとの二人きりの時間がなくなるのは、
少し寂しいが、アルフレッドも嬉しそうやし、まぁ良いか。
「この時の俺は、鹿馬のことで、とんでもない事件が起きようとは、知る由もなかったのであった」
と俺は呟いた。
「何言ってるんですか?」
アルフレッドは不思議そうに見つめた。




