忍び寄る※ゲ
「それでエドガーさん。これからどうしましょう」
アルフレッドは言った。
これからって、
この言葉は何かの誘いか……、
そんな、まだ早いって。
「それはまだ早いんじゃないか?」
俺は答えた。
「さすが慎重ですね。
まずはお互いの情報を開示しないと、クエストを受けるのもやりにくいですものね」
アルフレッドは言った。
なんや。クエストか。
「そうやな。それでどんな情報を開示したら、クエストがやりやすいやろか?」
俺は尋ねた。
「エドガーさんは、パーティ初めてなんですよね」
アルフレッドは言った。
「そうや」
俺は言った。
まぁこの世界のことすら、ようわからんからな。
「僕は魔法使いです」
アルフレッドはくるっと回った。
なんでくるっと回んねん。
クソカワイイやんけ。
それに良い匂いがふわっとしてくる。
あかん。あかん。
「そうか。魔法使いか。ほんなら魔法のじゅうたんとかで、空飛べるんか?」
俺は尋ねた。
「魔法のじゅうたん?空を飛べる?何ですか、それ」
アルフレッドは不思議そうな顔をした。
「いや。そういう魔法とかあったりしないのかなってな」
俺は答えた。
「聞いたことがないですね。僕の使えるのは、炎属性の魔法だけです」
アルフレッドは言った。
「炎属性。なんかスゴイやないかい」
俺は前のめりになった。
「初級のものだけですけど」
アルフレッドは照れくさそうに言った。
「ちょっと使ってみてくれへんか」
俺は頼んだ。
「街中ではダメですよ。魔術協会から怒られます」
アルフレッドは言った。
「そういうのがあるんか。どこでやったら使えんねん」
俺は尋ねた。
「魔物と戦う時くらいですね」
アルフレッドは言った。
「あぁそうなんか」
俺は言った。
「エドガーさんは、シーフ職なんですよね」
アルフレッドは尋ねた。
シーフ職ってなんや。
俺はエドガーの記憶を掘り出す。
そうか、盗賊か。
「そうやな。シーフや」
俺は答えた。
「どんなスキルが使えるんですか?」
アルフレッドは言った。
心なしか、ワクワクしているように見える。
ほんま何ができるんや?
探索って出てきたな。
「探索」
俺は言った。
「探索スキル。
良いですね。
探索スキルがあると、迷子の猫とか探せますし、
お宝とかも探せます」
アルフレッドは嬉しそうに言った。
これで良かったんかな。
他にもあるな。
鍵解除。
「鍵解除」
俺は言った。
「めちゃ良いじゃないですか。鍵解除ができたら、鍵を無くした人の家の鍵を開けたり、金庫の鍵を無くした人の金庫を開けたり、ダンジョンにある鍵付き宝箱の鍵を開けたりできます。
それに人の心の鍵も……」
アルフレッドは言った。
そうか……。
色々できんねんな。
ちょっと待て。
最後の人の心の鍵ってなんやねん。
「最後の、人の心の鍵ってなんやねん」
俺は言った。
「……はは。冗談ですよ。冗談」
アルフレッドは笑った。
「なんやビックリするやないか」
俺は言った。
「エドガーさんは、魔物討伐の経験は?」
アルフレッドは尋ねた。
アンデッドスライム 30体
紫猪 3体
緑熊 1体
頭の中に数字が現れた。
「アンデッドスライム 30体
紫猪 3体
緑熊 1体
やと思うわ」
俺は言った。
「めっちゃスゴイじゃないですか。
僕なんて、
普通のスライムを50体
雑魚ゴブリン2体
子供のトロント1体
だけですよ」
アルフレッドは肩を落とした。
「悪くないんちゃうか」
俺は答えた。
なんやよくわからん。
基準がないからな。
「どうやったら、エドガーさんみたいに強くなれますか?」
アルフレッドは尋ねた。
まぁ俺じゃないしな。
知らんけど。
あ……、
頭の中にセリフが出てくる。
「俺は強くなりたくて、こいつらを倒したんじゃない。
たまたま倒さんといかん状態になっただけや。
生きとったら強くなれるわ」
俺は答えた。
「その自然体が強さの秘密なんですね」
アルフレッドは目を輝かせた。
なんかよくわからんけど、
上手くいったみたいやな。
「それでこんな感じで情報開示したら良いんか?」
俺は尋ねた。
「そうですね。これで冒険者ギルドに行って、自分達に合ったクエストを受ければいいだけです」
アルフレッドは言った。
「なんかパーティ登録みたいなのはいらんのか?」
俺は尋ねた。
「パーティ登録?そんなのしたことないですよ」
アルフレッドは答えた。
「あぁそうなんか。じゃあ次は?」
俺は言った。
「次は冒険者ギルドです」
アルフレッドは答えた。
「よしわかった。行こか」
俺は言った。
俺はその場でじっとする。
アルフレッドが動く方角を見極めるためだ。
しかし、
アルフレッドも動かない。
「行かないんですか?」
アルフレッドは尋ねた。
「行きたいんやけどな。忘れてん。案内してくれ」
俺は言った。
「あぁそうでしたね。じゃあ行きましょう」
アルフレッドは俺の手を引っ張った。
小さく柔らかい手、
あぁ……、なにこの幸せ。
幸せ過ぎて俺、死ぬんちゃうか。
そう思った。
広場から離れ、
冒険者ギルドに向かう。
さっきから何か尾行されているような気配がする。
後ろを振り向いても、何もない。
一体何なんだ。
とっさに、
「路地裏に入れ」
俺は言った。
アルフレッドの顔は緊張する。
「……はい」
アルフレッドは言った。
俺たちは路地裏に入り、
尾行者がやってくるのを待った。
「まぶしい」
アルフレッドは言った。
俺は振り返る。
そこにはさっきの屋台のオッサンがいた。
「俺になんか用か?」
俺は尋ねた。
「エドガーさん。何が起こっているのですか?僕には眩しくて何も見えません」
アルフレッドは言った。
「おい。お前は何者や」
俺は尋ねた。
「お前、転生者なんか?」
屋台のオッサンは言った。
なんや。
なんでこいつわかんねん。
しかしマズいな。
アルフレッドに知られることになるわ。
どうしよ。
「お前、転生者やろ」
屋台のオッサンは言った。
「エドガーさん。転生者なんですか?」
アルフレッドは目を抑えながら尋ねた。




