適当
俺らパーティは、広場に向かう。
そういえば、もうパーティやということでええねんな。
一応聞いておこう。
「アルフレッド。お前もう俺のパーティメンバーってことでいいんだよな」
俺は尋ねた。
「エドガーさんさえよければ」
アルフレッドは真っ赤になっている。
なんで真っ赤になんねん。
こっちまで恥ずかしくなるやろが。
そういえば、
俺、こっちのことがよくわかってない。
これ言っとかんと、マズいよな。
なんて言おか?
まぁいいわ。適当に言お。
「あのな。昨日俺殴られたやん」
俺は言った。
「はい。ボコボコでした」
アルフレッドは少しクスっと笑いながら答えた。
なに笑ってんねん。
クソかわいらしいな。
あかん。
あかん。
こいつは男や。
まぁ男でもええんちがうか。
どうやろ。
俺、前世で彼女おらんかったからな、
もちろん彼氏もおらんかったけど。
えっそういう事なんか?
まぁ良いわ。
「それでな。頭を打ったせいか、記憶がちょっと変やったりするねん」
俺は言った。
「それは大変ですね。たしかグンダラー樹海という所に、記憶を蘇らせる草……。
なんだっただろう。忘れな草という薬草が生えてると聞きました。
それを取りに行きましょうか」
アルフレッドは真顔で答えた。
なんやグンダラー樹海って、
なんか違和感のある名前やな。
まぁええわ。
忘れな草、
これもなんか聞いたことがあるな。
「なんやグンダラー樹海って、危険そうな名前やけど、大丈夫なん?」
俺は尋ねた。
「情報が乏しいんです。行った者は戻らないから、願い事が叶うとも言われています」
アルフレッドは言った。
「不思議な話やな。行った者は戻らないのに、願い事が叶うとか、記憶を蘇らせる草があるとか。そういう噂が流れるの」
俺は首を傾げた。
「そういえば、たしかに……」
アルフレッドは呟いた。
「……君子なんとかに近づかんや。やめとこ。
俺の記憶がどうとかちゃうねん。
たまに常識的なこと忘れてるから、支えてなってことや。
相棒」
俺はアルフレッドの肩を叩いた。
「はい」
アルフレッドはニコっと笑った。
いや。
この笑顔カワイイわ。
それに目が大きくてキレイ。
やば。
恋ちゃうやろか。
ドキドキしてるもん。
まぁ良いわ。
俺たちは広場につく。
広場には10店ほどの屋台が立ち並んでいた。
ハーブや、焦げた肉や、パンのニオイが混じり合った空間だった。
俺の腹もなる。
「そういえば、あそこの屋台って、後ろで作業をしている人がいるのですが、いつも光って何をしているのかわからないんですよね」
アルフレッドは指をさした。
そこにはつるつるした頭のオッサンが、何かの作業をしている。
そうか、あの頭に光が反射して、アルフレッドには見えてないんか。
俺は……。
ハッキリ見えるで。
なんかの動物の内臓を取り出しとるな。
あとあれは虫か?バッタやな。
「動物の内臓を取り出してるのは、見えてるんやよな」
俺は尋ねた。
「動物の内臓?僕には見えてません」
アルフレッドは言った。
嘘をついているようには見えない。
「えっそうなん?」
俺は言った。
しかし俺にはハッキリと見える。
俺は近くのオッサンにも聞いてみる。
「あそこのハゲたおっさん、なにしてるか見えるよな」
俺は尋ねた。
「あそこ謎の光があって、いつも見えない。あれ気になるよな」
近くのオッサンは答えた。
「エドガーさんだけですよ。多分見えてるの」
アルフレッドは言った。
謎の光……。
まさか神様の言ってた光ってこの事やったんか。
おぉすげー。
ってスゴイか?
ちょっと、
見たくないものを見てるだけやぞ。
「まぁええわ。行こ」
俺は言った。
「あそこの屋台人気なんですよ。行きません?」
アルフレッドは尋ねた。
アルフレッドの顔をじっと見る。
こいつ虫を食いたいんか?
「あそこは何屋やねん」
俺は尋ねた。
「それがなんかわからんけど、美味い肉を出してる店なんです。海老のようなうまみがあると聞きました」
アルフレッドは答えた。
そういえば、バッタは海老っぽい味がするって聞いたことあるよな。
たしかに美味いのは美味いかもな。
「俺は遠慮しとくわ」
俺は答えた。
「そうですか、じゃああそこのパン屋さんはどうですか?パンもエールも安いですよ」
アルフレッドは言った。
エール。
たしかビールみたいなもんやな。
昼間っから酒飲むのは贅沢な気がするけど。
まぁいいか。
「じゃあ、そこ行こか」
俺は言った。
「はい」
アルフレッドは頷いた。
パン屋は数名の列ができていた。
俺たちは並ぶ。
俺たちの順が来た時、
柄の悪そうな男がやってきた。
「おい。兄ちゃん。俺ら腹減ってんだ。順番譲ってくれるよな」
リーダーっぽい男は言った。
「エドガーさん。こいつらタチの悪い連中です。譲って他に行きましょ」
アルフレッドは俺をつついた。
後ろを見ると、皆目をそらす。
店主の方を見ても、目をそらす。
なんや。
めっちゃ美味しそうな状況やんけ。
「おい。兄ちゃん。俺ら腹減ってんだ。後ろに並んでくれるよな」
俺は言った。
リーダーっぽい男は眉間にシワを寄せる。
「何、俺のセリフ取ってんだ」
リーダーっぽい男は顔を近づける。
「セリフを取った?何言ってんねん。お前のセリフのどこに面白いところあんねん」
俺は言った。
リーダーっぽい男は袖をまくりあげる。
筋骨隆々の腕に、無数の傷が見える。
どうだと言わんばかりに、腕を組み威圧してくる。
周りは騒然としている。
「お前俺を誰だと思っている」
リーダーっぽい男は再び顔を近づける。
「下っ端連れて粋がってる筋肉バカ」
俺は言った。
リーダーっぽい男は眉間にシワを寄せ、拳を握りしめている。
あちゃ~。
これまた殴られるパターンかな。
だったら滅茶苦茶美味しいかもな。
なにが笑えるやろ。
ノーガード戦法が一番アホやろな。
よしやったろ。
俺は手をだらりと垂らし、うなだれる。
顔はニヤニヤと笑う。
どや気持ち悪いやろ。
「殴りたいんやろ。殴れよ」
俺は笑った。
「よしわかった」
リーダーっぽい男は拳を鳴らす。
周りは騒然としている。




