62.ダンジョン探索
一話空いたので少し分量多めにしてます。
「で、何であんたはこんな所で寝転がってるのよ!」
高圧的な物言いをしたのは王都でも指折りの高位冒険者、キリク。
そしてその言葉の先にいたのは冒険者の最高位として知られるSランク冒険者のノノである。
ノノは冒険者たちが集うテントから少し離れた木陰に寝転がっていた。他の冒険者は現在、これから行われる大規模な魔獣討伐作戦のため装備を整えていた。そんな中、主力となりうる冒険者であるノノが、こんな場所でさぼっていると知れれば、他の冒険者の士気低下につながりかねない話だ。
ノノは一度薄目を開けると、豊満な胸の上に置いた山高帽を手に取り視線を避けるように顔を覆った。
「ちょっと! 何聞こえなかった振りしようとしてんのよ」
「……」
「あんたがさっさと終わらせるみたいなこと言ったんでしょ! そのあんたがこんな所でさぼってんじゃないわよ」
するとノノはごろんとキリクのいる方向とは別の方向へと向いてしまう。その態度に思わず額に青筋を浮かべるが、しかしこれから必要な戦力と考えると手を出すことは躊躇われた。ギリリと奥歯を噛んで気持ちを落ち着けながら、彼女はノノへ伝言を伝える。
「まあいいわ。オルセイからの伝言よ。私たちは今から複数パーティーに分かれて先発隊として坑道に突入するは。あんたと同じパーティーになるのはギギさん、それと私たちヴァルバドスのメンバー3人よ」
「……」
「ちょっと、聞いてるの?」
何も反応を見せないノノに、いい加減殴ってもいいんじゃないかと思ってきたキリクだったが、ノノは無言で立ち上がると手を胸の前に掲げた。その拍子に豊かな膨らみが少し歪むが、歪むほどのモノを持たないキリクからするとそれだけで心が砕けそうになる。
ノノはキリクの存在を気にすることなく、掲げた手の先から魔法を発動させた。目の前の地面に魔法円がひとりでに描かれ光を発する。するとその魔法円からずるずると、せり上がるように巨大な棺桶が姿を現した。その全貌が露わになった後、棺桶の扉が軋みながら開かれる。
『およびでしょうか、主人様』
中から現れたのは白銀の騎士。その姿にキリクはごくりと唾を飲み込む。
歩くたびに重量のある鎧がガシャリと音を鳴らす。その重厚さだけでも威圧感を感じさせるが、キリクを委縮させるのはそれだけではない。存在そのものが放つ威圧感が圧倒的に強い。
キリクも話には聞いたことがある。ノノが扱うアンデッドのうち最上位の4体のうちの1体。白銀の騎士、ヴェルテン。しかしノノ自身がSランク冒険者であるため、操る僕はせいぜいがAランク程度の実力だと考えていた。しかし実際目にしたその姿、プレッシャーは、Aランクレベルでかたずけられるものではない。
自身を上回る実力を有す騎士を目の前にして、キリクは無意識に一歩後退った。
『おや、お嬢さんは主人様のご友人ですかな?』
「え、あ……」
ずいと自分に向けて身を乗り出す騎士に、うまく言葉を紡げない。キリクは完全にヴェルテンの放つ威圧感に飲まれてしまっていた。
「ヴェルテン。そのひとが今からダンジョンに潜るから、護ってあげて」
『分かりました。ではよろしくお願いします』
「あ……。え、ええ」
するとノノはまた木陰に横になる。今度は初めから顔に山高帽をかぶせて、それ以上話をするつもりもないようだった。
キリクは暫し呆然としながら、しかしそれ以上ノノに何か言おうものなら傍らに控える騎士がどんな動きをするか分からない。しぶしぶノノの代わりにヴェルテンを連れて、テントへと戻ることにしたのだった。
「で、ヴェルテン。ノノの代わりにお前が来たってわけか?」
『代わり、というのは何のことか分かりませんが、主人様からはこちらのお嬢さんを護るようにと言われています』
「そうか。なら任せる」
ヴェルテンを連れたキリクはダンジョンに突入する準備を終え、洞穴の入口へと集まるギギたちの元まで戻った。ノノの姿がなく、ヴェルテンの姿を認めたギギは、ヴェルテンがノノの代わりの戦力として訪れたと考えたようだ。
実際キリクの護衛、という名目ではあるが、その真意は間違いなくノノの代役である。他の人間はどう考えているか分からないが、ギギだけは正確にそれを理解していた。だてに同じギルドで長く付き合っているわけではない。ギギはヴェルテンも認める数少ない人間なのである。
「んじゃ、俺たちは中の魔獣、魔物の討伐と先遣隊がどうなったのかの確認。それと、もし魔族が出た場合はここで打ち倒す」
「わ、分かったわ」
「承知しました」
「あいあい」
辛うじて頷くキリク。他のヴァルバドスのメンバー、エメルとシロクもその言葉に同意する。
「オルセイ。こっちに何かあったらノノを頼れ」
「それは、こちらにも魔物か魔族が来るということか?」
「ああ。その可能性は十分ある。まあ、あくまで念のためと思って頭の片隅に留めておいてくれ」
「そうか……。分かった。こちらも、何かあればすぐ動けるよう冒険者たちを幾らか集めておこう。対処できなさそうな場合はノノ・サーヴェッジを頼らせてもらう」
「ああ。そうしてくれ」
そうして一抹の不安を抱きながら、ギギ達は洞窟の中へと入っていた。
洞窟内を進む一行は、先頭がギギ、後にキリク、エメル、シロク、そして殿はヴェルテンという一列縦隊となっていた。更に彼らの先にはAランク冒険者をリーダーとし、Bランク冒険者で固めた3つのパーティーが先陣を切って進んでいる。魔獣の群れが出た時にまずは先頭パーティーが対処をし、ギギたちパーティーは戦力を温存しておく作戦だ。
ギギは坑道の内部を見回しながら、その違和感に意識を向ける。
アルク山はかつて金属や宝石などが産出することで名を馳せた鉱山だったが、今ではその資源も枯渇しており、山の中は広い坑道が残るだけの場所となっている。この地が王都と呼ばれるようになったのも、アルク山の資源が潤沢に産出していたころ、その資源を求めて多くの人間が集まったことで発展したといういきさつがあった。
しかし閉山してからは何に使われることもなく、勝手に住み着いた魔獣もそれほど狂暴なものはいなかった。そもそも坑道に住み着くことは魔獣としてもメリットが少ない。
理由はエサが少ないからだ。
魔獣のエサとはほかならぬ魔力。通常の獣が魔力の影響を受けることで魔獣に変化するが、その時点で食べ物を口にする必要はなくなる。その代わり魔力を摂取して生きながらえ、成長していく。多くは摂食行動を通して魔力を摂取するため、魔獣も食事をすると思われているが、本質的には何も口にする必要はないのだ。
その点で、坑道に生息する獣は少なく、まして人間などほぼいないため、魔獣にとって魔力を得る相手がいないわけだ。或いは坑道内に魔力溜まりなどがあれば、魔獣の棲息を後押しするかもしれないが、生憎そう言った報告はギルドに入っていない。
ならなぜ急に魔獣は坑道に現れ、スタンピードを引き起こすほど大きく膨れ上がってしまったのか。
その可能性として最もありうるのが、坑道のダンジョン化であった。
その前にダンジョンとは何か。この世界でその答えを持つものは、未だひとりもいない。多くの識者の中でも意見が分かれる議論であり、誰も答えを導き出せていないからだ。ただ現在最も支持されている説が、ダンジョンは魔物であるという説だ。
冒険者や獣、魔獣などに対して、魅力的なモノを提供することでエサをおびき寄せる。魔獣であれば魔力を、冒険者であれば魔獣や素材、魔鉱石のような宝石、鉱石など。
ダンジョンはそれらおびき寄せられたエサから少しずつ魔力を吸い上げ、自身の生きる糧とする。魔物である、というのはそれだけの知識を有していると考えられるからだ。だからこそダンジョンはこの世界で最大の魔物とも呼ばれている。
一見突拍子もない理論のようにも聞こえるが、ダンジョンにはダンジョンコアというモノがあり、それを壊すことでダンジョンを消滅させることができる。そのダンジョンコアに到達するまでには何かしら意思のようなものを感じると、ダンジョンに入る者は誰しもが口にする。だからこその、ダンジョン=魔物の説だ。
それを証明することは至極難しいだろうが、今はその真偽などどうでもいい。スタンピードが起こる理由を考えると、坑道がダンジョンになったという理由が最もしっくりくるのだ。
しかしギギからすると、既にここはダンジョン化している確信があった。
この坑道に入る際、ダンジョンの入口はアングリーベアなどの比較的大柄な魔獣が出入りできる程度には広かったが、中は更に広大だ。天井は数メートルの高さがあり、横幅も数メートル。ここがただの坑道だったころはここまで広さはなかったと聞いていたが、坑道がダンジョン化したのだとすればこれだけの変化が起こってもなんら不思議ではない。
憂慮すべき問題はダンジョンだけではない。先遣隊の報告にもあった魔族と思わしき存在。裏で魔族が手引きをし、ダンジョンとなった、或いはダンジョンを生み出しそこに魔獣を集めた。おとぎ話の中の存在であるが、言い伝えだけでも人類に弓引く存在。あり得なくはない話である。
だからこそ、今は少しでも魔獣を間引きしダンジョンを攻略する。そして魔族を退治する。
並みのクエストではないが、ここにはSランク冒険者と王都屈指のAランク冒険者がいる。ギギたちのパーティーほどではないが、先陣を切る冒険者も名の知れた冒険者たちだ。魔族という存在が不安だが、確認された魔獣はいずれもCランク程度の存在との報告だ。数は多いだろうが、道中は大した不安もなく進めるはずだ。
いざ本命が出てきたときは、ギギたちが対処に乗り出す。それまでできる限り体力を温存しておく。それが彼らにとっての最重要任務であった。
ダンジョンの先から戦闘の音が聞こえてくる。どうやらいずれかのパーティーが魔獣に接敵したようだ。その音はさほど時間をかけずに止む。そうして先頭から順にリレー形式で戦闘終了の報告が伝わってきた。
「今のところは順調そうだな」
「まだ入ってすぐですからね。しかしこの風景、やはりダンジョン化していたようですね」
エメルの言葉にギギも頷く。
先に受けた報告ではダンジョンは3層構造となっており、下に進むほど魔獣の強さが増すらしい。しかし強くなったところで所詮Cランク。魔物でも現れない限り、そうそう先頭組が遅れをとることもないだろう。
それから多少下層への入口探しに時間はかかったものの、1日経たない程度で第2層へと降りることができた。道中坑道内にぎっしりと魔獣がひしめいていたが、まだ魔獣が弱いのか大した労力もかけずその数を間引いていく。これだけでも暫くはスタンピードを先延ばしできるだろう。
ここまでは順調。パーティーの誰ひとり欠けることもなく、全員が下層へと降りる。そのままの勢いで第2層も同じくらいの時間をかけ下層への入口を発見できた。
報告通りではあるが、しかしそれが逆に不安を掻き立てる。
先遣隊は偵察を得意とする熟練のBランクパーティーだったはずだ。Bランクの冒険者2人にCランク冒険者4人の6人編成。Cランクの魔獣の群れであれば厳しいかもしれないが、一般的には決して弱いパーティーではない。
しかし彼ら彼女らも、魔族のような存在を目撃したという報告を最後に消息を絶った。
魔物程度であれば対処できなくはないだろうが、果たして今の戦力で魔族と相対して打ち倒すことができるのだろうか。
第3層の地を踏んで、ギギは胸中を不安で染め上げた。
この階層は明らかに空気が違う。第2層とは全くの別次元だ。
過去高位の魔物と相対した経験を持つギギでさえ、それは感じたことのない空気だった。生ぬるいというか、ねっとりと貼り付くような気持ち悪さ。息をするだけで体力が奪われるような奇妙な感覚。
強さを測ることはできない。しかし明らかにこの先に待ち受ける存在が自分の記憶の中にいないものだと感じさせられる。だからこその不安。
勝てるかどうか、先の読めない戦いになるだろうことが予想された。
ギギはぎゅっと拳を握りしめ、いつ何が起こっても対処できるように身構える。
ヴェルテンも、ギギとは少し違う感覚だったがこの先に待ち受けるものがただモノではないことを察した。間違いなく強敵。主人から受けた命を完遂するために剣の柄に手を置く。
どうやらこの空気を感じ取っているのはギギとヴェルテンだけのようで、他の冒険者たちは大して異様さを感じていないようだ。シロクだけは野生のカンなのか、異様な空気に毛を逆立てていた。
そうしてまた魔獣の襲撃に冒険者たちが対処する。
さすがに第3階層まで来たためか、戦闘時間も初めより長くなった。しかしCランク魔獣が増えた所で、冒険者たちも総力を合わせて対処するため、それほど苦戦することはない。坑道内のため炎などの広域せん滅用の魔法は使えないが、土や氷の魔法で魔獣たちの数を確実に減らしていった。
そのまま魔獣の流れを押し込み広い空間に出る。周囲に多くの通路が見えているが、そこから溢れ出るように次々と魔獣が押し寄せてくる。
さすがに前方3パーティーだけでの対処が難しくなってきたのか、少しだけギギが力を貸すべく前へと踏み出した。が、その肩を掴む者があった。
「あいあい。ここはシロクがやるクマ」
歩み出たのはシロク。未だ毛を逆立たせた状態だが、それでもやる気は満々のようだ。
未だ混戦状態の中に飛び込むと、他の冒険者の攻撃を避けながら腕の一振りで狂暴化したアングリーボアを吹き飛ばす。まるでボーリングのピンのようにぶつかった魔獣が吹き飛んでいった。更に飛び上がると少し離れた場所にいる魔獣の上に着地。それだけで魔獣がぺしゃんこになり絶命する。続けて目の前にいた魔獣の牙を掴むと、超質量の重りと化した魔獣を回転して鈍器のように扱う。周囲の魔物が根こそぎその勢いに耐え切れず弾き飛ばされた。
シロクが戦闘に参加して暫く、魔獣の追撃がおさまる。複数ある通路からは完全に魔獣の気配はなくなっていた。
その様子に何とか攻防を乗り切った冒険者たちは口々にお互いをねぎらったり、その場に腰を下ろしたりと、一様に安堵の溜息をついていた。
シロクも同様に落ち着いた雰囲気を感じさせたが、しかし次の瞬間全身の毛を逆立たせて背後の通路へと傍らに横たわる魔獣の死体を掴み放り投げた。がごんと質量のあるものが何かにぶつかる音が聞こえる。
僅かばかりの静寂、魔獣の死体が投げられた通路から閃光が爆ぜたのは直後だった。あまりに唐突な出来事に誰も反応することが出来ず、直線状にいたシロクが閃光に照らされ轟音とともに吹き飛ばされる。一直線にギギたちの元へと飛来した巨体に冒険者たちは呆然となったが、ギギが前へと歩み出るとその巨体を受け止めた。
明らかにギギ以上に巨体のシロクを受け止めた膂力に、他の冒険者が驚嘆の表情を浮かべた。目の当たりにしたSランク冒険者の力の一端に呆けた冒険者たちを、直ぐにギギの大声が叱り付ける。
「貴様らは後ろへ下がれ!」
その一声で冒険者たちはギギの後ろへと下がった。
シロクを傍らに寝かせると、しかし動けないほどのダメージではないようで、何とか立ち上がる。
「大丈夫か?」
「あいあい……。けど回復しないと厳しいクマ」
「そうか。ならエメルに回復してもらえ」
「あいあい……」
直ぐにギギの元へ近寄ってきたキリクとエメル。エメルはシロクの傷を確認すると、その傷の深さに顔を顰め、しかし回復魔法を施す。
恐らく今の攻撃、シロクでなければ命がなかっただろう。シロクは魔獣で、身体能力が高いからこそあの光線に堪え切れたのだろうとギギは判断する。
『まったく。厄介な魔物がいるようですね』
「魔物? 魔族ではないのか?」
『はい。魔族ではありません。よく見ていてください。姿を現しますから』
ヴェルテンの言葉を受けたわけではないだろうが、光線が発せられた通路から何者かが姿を現す。
「キシシ。今の光線を喰らって生きているとは、中々活きのいいのが来たようですね」
暗闇から姿を現したのは整った身なりの男。服装だけ見れば一見貴族のように見えなくもないが、その背中には蝙蝠のような羽が、皮膜が破れた状態で伸びている。左右の全長は人間の身長を優に超えるほどだ。
そして頭部には2本の角が生えており、顔面は灰色をしている。単純に顔色が悪い、というわけではなく、元からその色味のようだ。
『あれはイヴィルス。人が魔物化した姿のひとつです』
「イヴィルス? まさか、人間の魔物化だと?」
「おやおや、私の存在を知っている方がいるとは。中々博識じゃないですか」
そうやってイヴィルスの男は手を開いて大仰に驚く。ボロボロになった羽がばさりと羽音を響かせた。
「私の種族名を知っている方に会ったのは久しぶりですね。ああ、すみません。自己紹介が遅れました。私はレクイア・キアノート。クラン『イーブルアーラ』の一員です」
「イーブルアーラだと!」
ギギはそのクラン名に聞き覚えがあった。
それは魔王と勇者の戦いから約500年後、現在から遡ること500年前。一時期世界は混沌に包まれていた。突如として魔王信奉者を名乗るクランが現れ急速にその規模を拡大したのだ。それに対抗するように多くの冒険者たちのクランが立ち上がり、両者間で激しい闘争が起こった。
結局冒険者たちクランが魔王信奉者たちを討滅し、それがきっかけでクランを統括する組織として、ギルドという制度が作られるきっかけとなった。そうしてギルドに所属しないクランは闇クランと呼ばれ、主に魔王信奉者のような悪事に手を染める者たちの集団がそう呼ばれるようになった。
そしてイーブルアーラというクランは、500年前の闘争で魔王信奉者たちの中核を担っていたクランの名前だ。
勿論当時の闇クランはその時に滅びたという話だが、その意思を継ぐ者がいて、今現在秘密裏に活動している者がいてもおかしくない。しかしギギには、目の前の男がただそれだけではないように思えた。
「お前、まさか……」
「キシシ。あなたの予想は当たっています。私は500年前からイーブルアーラの一員だった。魔物となり、悠久の生を受け、今に至る。つまり、イーブルアーラは滅んでなどいません」
ギギは自分の予想が当たっていたことに舌打ちする。それは500年間、魔王信奉者の尖兵が水面下で魔王復活を企てていたということ。そんな奴が今ここで何かを行っている。
最早事はただの王都を巻き込むスタンピードの話ではなくなった。下手をすれば再び世界規模で冒険者たちと闇クラン、500年前と同様の闘争が巻き起こる可能性がある。
「ではそろそろ仲間たちの方の様子も気になりますし、あなた方を殺して手っ取り早く王都を滅ぼしましょうか。スタンピードは引き起こせませんでしたが、ダンジョンコアを暴走させればあたり一帯を滅却することくらいはできますからね」
「させると思っているのか?」
「キシシ。私に勝てるとでも?」
「勿論だ」
「キシシ。威勢のいい。では、その言葉を証明してもらいましょうか」
レクイアは魔力を開放すると、周囲に魔力の圧がまき散らされる。その圧力だけで、魔獣たちとの戦いで疲弊した冒険者たちは膝を屈した。
今戦えるのはギギ達のパーティーしかいない。戦力としては弩級だが、果たして目の前の500年以上を生きた魔物に敵うかどうか。しかしここで止める以外の選択肢はない。
ギギは両の拳を打つけると、レクイアに対して構えを取った。




