63.一枚上手
最初に仕掛けたのはギギだった。一足で数メートルの距離を詰めると布で覆われた拳を振るう。
ゴウという風切り音を生み出しながら放たれた拳は、しかしレクイアは難なく片手で受け止めた。
レクイアは口元を歪めて笑みを作り、ギギはその光景に舌打ちをする。
だがすぐにレクイアは眉根を寄せてその場から離れようとするが、しかしギギの拳を掴んだ手のひらが動かない。よく見ると自分の手のひらが何か糸で縫い付けられたかのようにギギの拳に縛り付けられていた。
それは紛れもなくギギの拳を覆う布から伸びており、一本一本は細いが無数の強靭な糸がレクイアの手のひらを繋ぎ止めている。
今度はギギが口元を歪める番だった。
その2人の間に割って入ったのは女槍使いのキリク。黒髪をたなびかせレクイアの至近に出現する。
もちろんレクイアもその姿を認識しているが、ギギに縫いとめられており咄嗟の反応ができなかった。
キリクは片手に持った黒槍を腰だめに構え、弾丸のような速度の突きを放つ。
確実に体を穿つであろうその一撃を、レクイアは地面を蹴って躱す。一瞬後に槍が何もないその空間を通過した。はずだった。
レクイアが視線を移すと既に黒槍はキリクの手元に戻っており、次の一撃の準備が完了している。空中という逃げ場のない場所に避難したことで、次の一撃は不可避の一撃となる。
「もらった!」
キリクの掛け声で再び音速に迫る速さの一撃が振るわれた。
ふわり。
その表現が、レクイアの動きを表すのに最も適しているだろう。まるで宙に舞う羽のように、キリクの一撃が再び虚空を切った。
それはレクイアの羽ばたきによって齎された効果。キリクの目算から胴の位置がずらされたのだ。
しかしレクイアもギギに縫い付けられている以上その場から動けない。先ほどから羽ばたきで宙に持ち上げようにも、ギギは地面に張り付いたかの如く動かせないのだ。
動けないなら仕方がない。レクイアは空いた方に手に光を纏わせるとそれをギギへと向ける。
先ほどシロクが吹き飛ばされた光線が、それよりも遥かに至近からギギへと放たれた。
直前でその意図に気づいたキリクも素早く槍を放つが、レクイアの攻撃はそれより早い。手のひらから光線が放たれた。
「⁉︎」
光線は一直線に天井へと伸び岩盤を抉り取った。ダンジョンが小さく揺れ粉砕し損ねた岩がパラパラと落ちてくる。
レクイアは何が起こったかすぐには理解できず、しかしすぐに意識を戦闘に向けた。だがその一瞬の隙をキリクが見逃すはずもない。
「一閃槍!」
キリクが放てる攻撃の中で最速の一撃。その一撃がレクイアの体へと届き、突き刺さる。黒槍がレクイアの体を貫き背中側からその先端が飛び出した。
「ぬ? この体を貫きますか」
槍が体から飛び出しているにもかかわらず冷静なその言葉に、キリクは自分の攻撃が大した事ないと言われたようで激昂する。
「舐めるな! 迅旋風」
「これは」
キリクが槍を捻ると槍の周囲を旋風が発生し周囲の空間を切り刻む。その槍に貫かれたレクイアも当然逃れることもできずその旋風に晒され身体を刻んでいく。
流石のギギも自分まで被害が及びそうになったため、縫いつけた手を外してレクイアから飛び退いた。
旋風はレクイアを切り刻みながらしばらくその場にとどまり、やがてその風が無くなるとレクイアの体が地面へと落ちる。
ガンと硬い地面に何か硬いものが打つかる音が聞こえる。
レクイアは地面にうつ伏せになったまま動かない。ギギもキリクも遠目にその様子を眺めながら、いつでも攻撃に移れるよう構えを取る。
「ふぅ。困ったものです」
何事もなかったかのように嘆息吐きながらレクイアが立ち上がった。ボロボロになった衣服を摩りながら破けている箇所を確かめる。
服の隙間から見える肌は顔と同じく灰色をしており、しかしどこにも傷らしい傷は見当たらなかった。唯一腹を貫通した部位だけ赤黒い血が固まっていたが、既にその傷口は完全に塞がっており、何の痛痒も感じていないようだ。
「おいおい、マジかよ……」
自身の一撃が本当に効いていないと分かり、キリクの感情は怒りを通り越して呆れに変わった。
最大威力の攻撃でなかったとは言え、しかし並の魔獣であれば今の一撃で細切れだ。ギギのサポートでほぼまともに攻撃を当てたにも関わらず、かすり傷ひとつ付けられないのは明らかに異常。
確かにAランク相当の魔獣であれば耐え抜けるかもしれない攻撃だが、やはりそれでも無傷というのは幾ら何でもあり得ない。
つまり目の前にいる魔物は、Aランクを超えたさらに上。Sランク相当の魔物である可能性が高い。
それなりに経験豊富なキリクですら、Sランクの魔獣に会ったことは数えるほど。ベヒモスやリヴァイアサンと言った幻獣種がそれに当たるが、その時は魔獣の規模が大き過ぎて逃げ出すしかなかった。
もし目の前の相手がSランクであれば、幻獣と戦うのと同等、いや、知能を有している以上幻獣よりもよほど厄介な手合いだ。
知らぬうちに額の汗を浮かべており、空いた手でそれを拭った。それ程のプレッシャーということか。
「俺が奴を足止めする。その隙にお前らの最大威力の攻撃を繰り出してやれ」
ギギが彼のパーティー全員に聞こえるよう声を張り上げた。
「それとヴェルテン。お前もコイツを倒すのに協力してくれ。どのみちそれが出来なけりゃキリクも守れねーし、外にいるノノにも危険が及ぶ」
「……仕方ないですね」
ヴェルテンも重い腰を上げ剣を抜く。
白銀の刃が光源の少ないダンジョン内できらりと光る。レクイアも危険を察してか、双眸を細めた。
「キシシ。今度は全員で、ですか。確かにこの人数は中々骨が折れそうですが……。私を見くびらないでいただきたい」
レクイアが腕を振るうと虚空から槍が現れその手に握られる。赤い槍の表面を黒い血管が広がっており、まるで鳴動するかのように時折槍自体が上下していた。
その場にいた全員がその槍の異様さに目を見開くが、同じ槍使いであるキリクは一際怖れを抱かされた。自身の持つ黒龍の槍もこの世界で数少ない国宝級の武装だ。大概この槍も魔槍と呼ばれるに値するじゃじゃ馬である。
しかし目の前の槍は、魔槍である黒龍の槍以上に禍々しい。自身の槍が怯えるほどに。
槍自体に意思があるわけではないが、それでも長年連れ添った相棒。何となくの雰囲気で相手の力量を判断し、今まで助かったことも多い。その相棒が怯えるほどの槍。
見た目の禍々しさからも決してあの槍の攻撃を喰らってはいけないように感じた。
「ギギさん。あの槍ヤバイよ。絶対攻撃は喰らわないで下さい」
「そうか。お前がいうなら相当なんだろうな」
ギギも拳を握って開いて、気持ちを落ち着かせる。
接近戦を得意とするギギにとって、槍の攻撃を避けるのは非常に難しい。懐に入れば対応できるかもしれないが、槍とはそもそも懐に入らせない武器だ。距離の利を持って相手を叩き伏せる。
500年生きた相手が生半可な実力者とは思えない。それを数十年生きただけの拳士が、果たしてこの相手に一撃をもらわず懐に入ることができるのか。
知らぬうちにギギの顔に笑みが零れる。極度の恐怖と緊張の中で、しかし確かに興奮と高揚を感じている自分がいる。その高ぶりをすべて拳に込め、ギギはレクイアに突き出した。
「面白い。久方ぶりに滾ってきたわ!」
「キシシ。面白い方だ」
「なら、もっと面白くしてやろう。行くぞ」
再びギギは一足でレクイアとの距離を詰める。しかし勿論レクイアもそれをさせるわけがない。
レクイアはギギを迎撃戦と槍を突き出す。禍々しい表層をした槍がまだ距離のあるギギの眼前に迫った。
「ふっ」
ギギが片手をあげ布に覆われた拳を槍の側面に叩きつけ弾いた。そのまま懐に潜り込むため地面を踏み込む。地面が小さく陥没し、反対にギギが爆発的な速度でレクイアへと近づいた。
いつの間に戻したのか、既にレクイアの手元に槍の切っ先が戻っている。槍の射程よりは内側だが、しかしその程度の攻撃が熟練の槍術士に通用するはずはない。突き出した拳は浅く持った槍の腹で受け止められる。
レクイアはその光景に笑みを深くした。
瞬間、拳の異変に気付きギギはその場から飛び退る。見ると拳に巻いた布が黒く変色しており、その範囲を現在進行形で徐々に拡大していた。どのような効果があるか分からないが、これを放置してはどう考えてもいい結果を齎さないだろう。
ギギは腕を振ると拳を覆う布を破り捨てた。
レクイアはまだ余裕の笑みを崩さない。それどころか槍をくるくると回しながらまるで遊んでいるかのようだった。
(次は防げないとでも思っているんだろうな)
ギギは再び踏み込むと、今度は深くまで切り込む。恐らくレクイア自身がわざと誘い込んだのだろう。なら、その罠ごと打ち砕くまで。
再び先ほどと同じ拳を振りぬきレクイアへと突き出した。勿論レクイアは、それを先ほどと同じように槍の腹で受け止める。そのことにレクイアは満足そうに笑んだ。が、一瞬後、その表情が歪む。
「よそ見してんじゃねーぞ」
ギギのもう片方の拳が圧倒的速度を持ってレクイアの腹部に突き刺さった。その一撃にレクイアが思わず口を開き体をくの字に折り曲げる。
キリクの槍を受けても平気なほどの頑強さと回復力を持っている体が、しかし拳の一撃に耐えられないなど誰が思っただろうか。勿論レクイア自身、そんなことがあるはずないと考えていた。だがその拳の衝撃は体を突き抜け全身に伝播する。下がった顎をすかさずアッパーが貫いた。レクイアの体が宙を舞い背後に吹き飛ばされる。
すかさず空中で体勢を整えた後、羽を動かしその場に滞空した。
口内に広がる血の味を、久方ぶりに感じながらそれを地面に吐き出す。
一撃は喰らったが、それでもギギは先ほどの槍を素手で受け止めた。その事実にレクイアは笑う。
レクイアの槍は大量の瘴気を纏った一振り。一度でも接触すれば相手の体を蝕み、やがて全身を瘴気で覆い尽くし命を奪う、まさに一撃必殺と言って過言ではない槍だ。先ほどギギは拳を布で覆っていたため瘴気の影響を受けなかったようだが、今度は間違いなく素手で触れた。瘴気に侵された布を捨てたのだ。
直ぐに動けなくなるわけではないだろうが、それも時間の問題。徐々に体を蝕む瘴気はとりついた相手に極限の痛みと体力の低下、更には範囲が広がるほどに能力を奪っていく。
触れた時点で勝ちが確定する。自身の耐久力の高さを知っているからこそ、レクイアは勝利を確信した。
だからその光景は、レクイアに戸惑いを生み出させるには十分だった。
ギギの拳は、変わらず布に覆われどこにも瘴気に蝕まれた後はなかった。
「な、何故だ! 貴様は確かに私の槍を受け止めたはずだ!」
「誰がそんな気持ち悪いもん素手で受けるかよ」
「なにぃっ」
ふと視線を下に移すと、そのには瘴気に蝕まれた布が2枚落ちている。一撃目に布を捨てた後、もう一度布を捨てた。つまり、2度目は再び布を纏っていたということだ。そして目の前のギギは、やはり布をその両こぶしに纏っている。
「布が増えたとでも言うのか?」
「はは。お前、いいカンしてるよ」
「くっ、私をバカにする気か!」
「いいや。それより、さっきも言ったはずだぜ。よそ見すんなってな」
「何?」
ギギの言葉で背後の気配に気づくのが遅れる。
視線を背後に移すとそこにはキリクが槍を構え、今か今かとその時を待ち構えていた。
まだ距離はある。しかしキリクは槍をレクイアへと突き出さんと動き出す。
何か来る。レクイアは直感でその攻撃がやばいものだと判断。直ぐに離脱のため羽を動かす。
「させないクマ」
シロクが動き出しを狙って側にいた魔獣の巨体を放り投げる。側面からの大質量に、しかし迎撃してはキリクの攻撃の回避が間に合わない。素早く背後へと回避を実行する。
「私もいますよ」
それはこの戦いで初めて口を開いた神官、エメル。待ち構えたかのようにレクイアの回避先に光のサークレットを出現させる。それは邪なる存在を縛り付ける封陣。近づくだけで魔物には堪えるそれは、ともすればキリクの一撃以上に大ダメージを負いかねない。
再び転進するが、それはすべて目論見通り。距離を離した下方で、キリクの槍は完全にレクイアへ向けて突き出された。
「龍咆縛塵」
咄嗟に手に持った槍で防御姿勢を取ろうとするが、それが適う前にキリクの槍から莫大な衝撃波が殺到した。
それはまるで竜の咆哮。威力は伴わない。しかしその衝撃波はレクイアの体の自由を奪い、まるで縛り付けられたかのようにその場から動けなくなった。
僅かに遅れて穂先から威力を伴う槍撃が発せられる。
一撃目の咆哮で相手の自由を奪い、二撃目で高威力の衝撃波を浴びせかける。咆哮を受ければ避けること適わず、不可避の一撃となる。龍を撃滅せしめん破壊の一撃。それがキリクの一撃必殺の技、龍咆縛塵。
「ぐ、おぉぉぉぉぉ!」
見事にその術中にはまったレクイアは、続く二撃目を何の防御姿勢を取ることもなく前進で受け止める。
先ほどキリクが放った迅旋風とは比べ物にならない威力。龍の息吹を思い起こさせるその攻撃は、レクイアの体を跳ね上げダンジョンの天井にぶつけた。それでもなお龍の一撃は止まらない。
質量を伴う衝撃波がレクイアの体を押しつぶし、ダンジョンの内壁を掘り進む。
ダンジョンの壁は階層を隔てる部分で非常に硬質化している。今レクイアの体は、その硬質な壁と高威力の衝撃波の間に挟まれ、全身くまなく圧迫された。普通の人間や魔獣なら既に圧殺され天井の染みと化している所だが、流石の頑強さに肉体は未だ破壊されてはいない。しかしそれでも確実にダメージは通っていた。
それは時間にして数瞬。だがレクイアにとっては非常に長い時間に感じた。
魔物になってからこれ程の大威力の攻撃を受けたことはない。勿論これ程のダメージを受ける経験もなかった。秘密裏に活動していたというのもあるが、魔物となったことで苦戦を強いられることが今までなかったからだ。
思考は冷静。痛みはある。だからこそ初めての経験。そして、自身の肉体がどの程度の攻撃にまでなら耐え得るかを認識する。
そして攻撃が終わり、体が重力に引かれて地面へと落下した。
まるで大岩が天から降ってきたかのような衝撃。ドズンと鈍い音がダンジョンの空間に響いた。
レクイアの体は傷だらけ。手に持っていた禍々しい槍も今はどこかへと消えている。
キリクの強力な一撃が、間違いなくこの強力な魔物を追い詰めた。周囲で行く末を見守っていた他の冒険者たちが、その結末を見届けどっと歓声を上げた。
ピクリとも動かないレクイアに、しかしギギ達パーティーはまだ警戒を解かず、状況を見守っている。あれだけの攻撃を受けて原型を留めていること自体がキリクにとっては驚きだが、流石にこの状況、もう一度立ってくることはないだろう。
暫く経って何も動きを見せないレクイアに、キリクはほっと息を吐いて強張った筋肉を弛緩させる。
それは一瞬の油断、それは致命の失敗。
キリクの眼前に獣の如く変形したレクイアの爪があった。その速度に誰もが、ギギでさえも、動くことができなかった。鋭利な爪はキリクの頭頂部にすっと振り下ろされる。
とん、とした衝撃。キリクは何かに押されて一歩後ろに倒れこむ。
何が起こったか分からず、目の前に視線を移した。そこには自分の代わりに爪を受け止める白銀の騎士がいた。否、正確には受け止めきれず、肩から腹部あたりまでを鋭利な爪が食い込んでいる。
ヴェルテンはノノの命令通り、キリクを護ったのだ。
現状を理解できたキリクは、思わず叫び声を漏らす。
「あ、あぁ、うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
『五月蠅いですよ』
ヴェルテンは何事もなかったかのように無事な方の手を使ってレクイアに切りかかる。
レクイアはしかし微塵の油断も抱かず冷静にその剣を避けた。
拍子にヴェルテンの片腕が肩の付け根からごっそりと地面へ落下する。しかしその断面から流血することはない。ヴェルテンはアンデッド。既に死した体は、生命活動などとうの昔に終了しているのだから。
落下した腕は地面とぶつかる前に光の粒子となって消え失せた。
「あなた、アンデッドでしたか。普通ではないと思っていましたがよもや死体だったとは」
『死体と呼ばれるのは好かん。それよりさっさとその身を差し出せ。今すぐに貴様も私と同じにしてやろう』
「キシシ。その前にあなたをスクラップにしてやりますよ」
『はぁ。貴様は年上に敬意を払えと教わらなかったのか?』
「死体に敬意を払えと言われても困りますね。それにこれでも私、500年以上生きているんですけども」
『500年程度で囀るな。年功序列という言葉をその身に刻み込んでやろう』
ぐっと腰だめに剣を構えるヴェルテン。同じようにレクイアも爪を構える。今にもお互いに飛び掛からんと力を込めた。
「ちょっと待て」
しかしその2人を止めたのは筋骨隆々の獅子の鬣を思わせる男。Sランク冒険者のギギ・グリザリフだった。
「ヴェルテン。すまんがこいつは俺に譲ってくれ」
『ギギ……。分かりました。ここはあなたに譲りましょう』
そう言ってヴェルテンは背後に控えるキリクを担ぎ上げるとレクイアから距離を取る。レクイアもその後ろ姿に追撃を挟まない。ギギが見ている以上、それはできない。
「お前らも下がっとけ」
それが自分たちに向けられた言葉だと、他のすべての冒険者が理解し、ギギの言葉に従い壁際まで下がった。勿論エメルとシロクも同様である。
そうしてこの空間の中心に、ギギとレクイアの2人だけが取り残された。周囲にいた魔獣は先ほどのキリクの攻撃ですべて壁際まで吹き飛ばされており、一部は既にその死体が消え失せている。恐らくダンジョンが死体を吸収したのだろう。
「いいのですか? 先ほどの死体の方が、あなたよりも勝てそうでしたが」
「はっ! そりゃおめぇ、俺を見くびりすぎだぜ」
ギギは闘気を開放する。この空間内の空気がひりつくように刺々しくなった。それを感じ取り、レクイアも先ほどまでの油断や慢心を捨て去る。
目の前の相手は全力で当たらなければ勝てないと、本能が理解する。
まだキリクとの戦いのダメージは全快していない。超回復をもってしても回復しきれないほど、先ほどのダメージは大きかった。だが自身が負けるとは微塵も思わない。
レクイアは久々の全力の戦いに身を投じる機会に喜びを感じた。そしてそれは、ギギも同じ。お互いがお互い、その顔に笑みを浮かべる。
「さぁ、楽しもうか。全力の闘いを!」
強いおっさんキャラって個人的に好みです。
次回もっとおっさん大活躍で。




