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ソラモヨウ  作者: SIN
78/88

78片

少し前の話。

 俺の目は悪い。

 生まれつきの乱視なので、ハッキリクッキリと物を見た事がない。

 自分の見ている光景が正しいのか、正しくないのかは分からないが、ギリギリ手の届く場所にあるコップの中にストローを入れろと言われて失敗する距離感のなさを思うと、間違っているのだろう。

 焦点が合わないので文字の大小は関係なく、画数が多いと滲んで読めないし、だからと言って画数が少ないと滲んで背景と同化してしまうので、これもまた読めない。その上二重にダブって見えるので、なんか書いてるんやなぁ。としか。

 目の調子が悪くなると、必死に焦点を合わせようとしても合わなくなるので100均で購入した老眼鏡と虫眼鏡で無理矢理に文字を見るしかない。

 必死に見ているのはパソコンモニタなので、見開いている目にブルーライトがガッツリと入っている事になる。

 これはこれで目に悪いのだろうが、見えないのだからしょうがないのだ。

 こんな目の調子が悪い時でもお構いなく買い物には行かなければならないので、毛むくじゃらにスーパーまでついて来てもらった。

 もちろんタダという訳ではなくて、

 「アイス買ってもらうからな」

 という訳だ。

 その日のメニューは麻婆豆腐、お肉は家にあったので、ニラと豆腐を買うつもりでいる事を毛むくじゃらに伝えて、野菜コーナーへ。

 これはネギか?ニラか?と値札を見てみると、ネギの方には「青ネギ」と3文字になっていた。ニラはニラと2文字だったので、値札の黒い模様が2つある方を買い物籠の中に入れ、続いてはお豆腐が置いてある冷蔵棚へ。

 納豆は赤色のパッケージの物が多いのでよく分かるし、こんにゃくは容器ではなく袋状のパッケージなので、これもまたよく分かる。分からないのは豆腐。

 絹?絹ごし?木綿?ソフト木綿?焼き豆腐?と、種類が豊富なのだ。

 木場家の麻婆豆腐は木綿豆腐を使用しているので、ソフトでもなく至って普通の木綿が欲しいのだが、値札には値段しか書かれていないので文字数での判断は難しい。

 左隣を見れば毛むくじゃらがいるので。

 「木綿が欲しい!」

 と、結構なハキハキ度合いで豆腐が並べられている棚を指差しながら言った。

 「え!?」

 そしてスグに聞こえた困惑したような声。

 なんだろうか?と振り返って見た所で余り状況は分からないので、左隣を見ると、

 「後ろ、陳列中の店員。豆腐を前にして豆腐が欲しいって言う客にビックリしたんやろ」

 と、笑い声。

 あぁ、なるほど……恥ずかしっ!

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